「イザベラさま……。ウソツキ! 口だけなら何とでも言え――」
アリシアの言葉は途中で途切れた。
ちゅっ……。
イザベラがアリシアの唇を奪ったからだ。
それは恋人同士のキスだとすればあっさりし過ぎていると同時に、友愛のキスだとすれば少しばかり情熱的過ぎるものであった。
「んむぅ……。イザベラ……さま……?」
「アリシアさん……。これで信じてくれるかしら……。私は嘘なんてついていないと」
「はい……。イザベラ様……」
「アリシアさん……」
「イザベラ様……」
二人は見つめ合い、再び口を近づけ――
「そこまでだ!」
「姉上にそれ以上手を出さないでいただきたい!」
エドワード王子とフレッドが二人を制止する。
「闇の瘴気は無事に祓えたみたいだな……。なら、それ以上のことをさせるわけにはいかねぇ!」
「その通りですね。まずは台無しになった卒業パーティの後処理をせねばなりません」
さらにはカインとオスカーも加担した。
「あら、残念……」
イザベラはそう言って微笑むと、アリシアの頭を撫でる。
「イザベラさま……」
「アリシアさん、やるべきことはたくさんあるわ。闇の瘴気の影響とはいえ、責任を全く問われないわけではないでしょう。でも、二人で――いえ、皆で一緒に乗り越えていきましょうね」
「はい……! イザベラさま!!」
イザベラが手を差し出すと、アリシアは迷わず握り返したのだった。
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