俺の名前はエドワード・ラ・イース。
イース王国の第一王子だ。
幼少期より、俺は自己の研鑽に励んできた。
いずれは王になる者として、国を守るために様々な力を欲したからだ。
剣術、魔法、学問、礼儀作法、外交術など、ありとあらゆるものを貪るように吸収していった。
もちろん、王家の下にいる各貴族家との交流や支配も怠らない。
将来、王位を継承する際に円滑に事が運ぶよう、地盤固めも進めていた。
「アディントン侯爵、久しいな」
「殿下、本日はよくぞおいでくださいました」
「うむ。聞いていると思うが、今回の件は俺が陛下より任されている。今日はよろしく頼む」
十歳になった俺は、地方にあるアディントン侯爵領を訪れていた。
この地で、難病に対する特効薬が開発されたらしいのだ。
王家として適切な対価と引き換えにその情報や現物を手に入れる――というのが今回の任務だった。
「はじめまして、エドワード王子。イザベラ・アディントンと申します」
俺が初めてイザベラに会ったのは、その領地視察のときだった。
年相応の子供らしくない落ち着いた雰囲気の少女だったのを覚えている。
しかも、特効薬を開発したのも彼女だというのだから驚きだった。
アディントン侯爵との話がまとまった後、彼女の畑を視察したのだが――
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