「ねぇ、フレッド。あなたは、私と仲良くしたいの?」
「もちろんです。僕は、姉上の弟ですから」
この回答は本心から出たものだ。
しかし同時に、少しばかり正確ではないところもあったかもしれない。
我ながらませているとは思うが、幼いなりに異性としての魅力を感じていたのだ。
それから更に月日が流れ――姉上が八歳に、僕が七歳になった頃に、あの出来事が起きた。
「これは……。体が熱く……。なんだか力が湧いてきますわ。気分もよくなってきたように感じます」
「本当か!? カティ!」
「えぇ、嘘偽りなく。イザベラさんとフレッドのおかげですね。二人とも本当にすごい子達です」
姉上の主導によって開発した、魔乏病に対するポーションが見事に効果を発揮したのだ。
僕の母上の難病は、それによって無事に完治した。
その時の喜びは言葉では言い表せないほどだったことをよく覚えている。
それからというのも、僕から姉上に対する感情は大きく変わったように思う。
(やっぱりこの人は凄い人だ)
幼いながらに抱いていた、淡い恋心なんていう域には留まらない。
恋慕、尊敬、崇拝――それらの感情が複雑に絡み合った結果、いつしか僕は彼女のために生きるようになっていた。
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