私は秋祭りを楽しんでいる。
フレッドとフルーツジュースの飲み比べをした。
「なんだか頭がぼぅっとするわねぇ」
「姉上、本当に大丈夫なんでしょうか……? 顔が真っ赤ですよ」
「だいじょうぶよぉ。ふぇへへへへへぇ」
何だかろれつが回らないけど、私は元気いっぱいよ。
ただちょっとだけ眠くなってきちゃったかな?
でも、まだまだいける気もするわ。
「イザベラ様……。どうしたのでしょう。……あっ!?」」
アリシアさんが何かに気付いたようだ。
「フ、フレッドさん! このジュース、お酒が入っているんじゃないんですかっ!?」
「え? ああっ! 本当だ! しまった! うっかりしていました!」
なにやら二人が慌てた様子だ。
「ふぇへへぇ。どうしたのぉ? 二人共」
「姉上、すみません。実はジュースではなく、ワインだったようです」
「そうなのぉ? でも、全然そんなこと感じないわねぇ。私はまだまだいけるわよぉ」
アルコールが入っていたのなら酔っ払ってしまうはずだけど、私にそんな気配はない。
度数の低いお酒だったのだろう。
うぇへへ……。
「いえ、姉上は酔っています」
「酔ってなんかいないってぇ。フレッドだって、平気な顔をしてるじゃない」
「僕は毒耐性があるので……。まぁ、ほろ酔い程度ですね」
フレッドは毒物に精通している。
単なる知識だけではなく、人体上の耐性もある。
「ふぇへへぇ~」
「駄目だ、完全に酔っ払っている……。このままでは危険です。早くここを離れましょう」
「確かにそうかもしれませんね。イザベラ様、失礼します」
「むぎゅ」
突然アリシアさんに抱き抱えられた。
彼女は、私をそのままどこかに連れて行こうとする。
「姉上、しっかりしてください。今、休憩所に連れていきますからね」
「イザベラ様は、わたしがちゃんとお運びしますよ」
「うん……。わかったぁ」
私はアリシアさんの胸に抱かれながら、ぼんやりとした意識の中で返事をする。
彼女は結構力持ちだよね。
光魔法だけじゃなくて、色んな鍛錬もして頑張っている成果だ。
「柔らかくていい気持ちぃ……」
「ひゃんっ! イザベラ様、そこは……」
なんだかアリシアさんが変な声を出している。
どうしたのだろう?
と、そんなことを考えているうちに、休憩所とやらに着いたようだ。
「イザベラ様、こちらに下ろしますからね」
「姉上、ご気分はいかがですか?」
ベンチに腰掛けると、フレッドとアリシアさんが心配そうに話しかけてきた。
「ふぇへへ……。私は、だいじょーぶよぉ。ちょっと、眠たいだけだから……」
私はアリシアさんの太股に頭を預けると、ゆっくりと目を閉じたのだった。
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