「月は太陽の光を受けて輝くといいます。しかし、もし太陽がなければ月は輝くことができないのです。……氷魔法士を輩出するシルフォード伯爵家は、さしずめ月のような存在でしょうか」
「えっと、どういう意味なんでしょう……?」
「月は太陽なしでは輝き続けることができないと言いたかっただけです。イザベラ殿は、まるで太陽のようです」
話しすぎてしまった。
どうも、イザベラ殿と一緒にいると調子が狂ってしまう。
それ以上の醜態を晒さないよう、その日は早めに退散することにしました。
そして三か月後――
頭を冷やした私は、自領の街にイザベラ殿を招待して再びアプローチしました。
しかし、またもや失敗してしまいます。
「私が見ているのが、イザベラ殿自身ではない? どういう意味でしょう?」
「そのままの意味ですよ。つまり、オスカーさんの本当の目的は、私の持つ『ポーション生成の技術』や『魔法』でしょう?」
イザベラ殿の言葉に、私は驚愕させられてしまいます。
少々急ぎすぎたようですか……。
私の目的を見抜くとは、やはり彼女は只者ではありません。
もはやこれまで。
私が彼女のことを領地再生の手駒としか思っていなかったこと。
それがバレた以上、彼女が私になびいてくれることはないでしょう。
私は全てを諦めかけますが――
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