イザベラは校舎裏にアリシアを呼び出した。
ここなら、人目につくこともない。
「あなた、一体どういうつもり?」
「えっと、何のことでしょうか? イザベラ様」
アリシアは困惑しているようだった。
無理もない。
いきなり呼び出されたと思ったら、不機嫌そうな顔で睨みつけられたのだから。
「惚けないで頂戴。エドワード殿下に取り入ろうとしているでしょう? 私を差し置いて、随分と楽しそうにやっているじゃないの。ねぇ、泥棒猫さん?」
イザベラはアリシアを責め立てる。
アリシアは困った表情を浮かべている。
まさかイザベラからこんなことを言われるとは思っていなかったのだろう。
「わたしは別に、エドワード殿下と仲良くしたいなんて思ってませんよ……」
「あら、そうかしら。いつも仲良く話していたみたいだけど?」
「それは……エドがしつこく話しかけてくるんです!」
アリシアがそう説明する。
だが、それは火に油を注ぐようなものであった。
「『エド』ですって!? あなた、人の婚約者を愛称で呼んでいるのかしら? 馴れ馴れしい女ね!」
「ご、誤解です! わたし達は友人でして……」
「言い訳は結構よ。エドワード殿下とあんなに親しく話すなんて……許せないわ!」
イザベラは怒りを露にする。
そして、杖を取り出すのだった。
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