あぁ……俺はやっと……死ねたのか……。
俺はついさっき自殺した。
全てが嫌になり、虚しくなり、鬱になり、そして首を吊った。
できることなら生きていたかった。
けど辛くなった。
できることなら普通の青春を送りたかった。
けど逃げ出した。
できることなら恋とかしてみたかった。
けど叶わなかった。
次は強くなりたい。
こんな死んでも虚しくなるような死に方をしたくない。
死んでも尚思ってる事は暗いことしか考えれないらしい。
そんな自分に嫌気がさし涙が出る。
泣いても誰も心配する人はいない。
そもそも液体が出てこない。ただ虚しくなっていく。
すると突然、真っ暗だった目の前が眩く光始めた。
光はすぐに消えたが、周りの空気が明らかに変わっていた。
目が元に戻り、状況を把握できるようなった。
「うわっ!」
地に足つかない感じで下を見ると、下は雲に変わっていた。
海外にあるような石造りの教会らしき建物や頭の上に金色の輪っかが掛かった人らしき生き物も多くいる。
どうやら天国的な所に俺は来たらしい。
「待たせてしまったな」
「ぁ……」
いきなり屈強な男が現れ声が出ない。
「俺の名前はゼウス。まあ名前くらいは聞いた事あるだろう」
「ゼウス……。まぁ聞いたことはもちろんありますが、実在したなんて」
「下界では神話の中の人だしな。そう驚くのが普通だな」
話がよく分からない。展開が早すぎる。
一瞬の沈黙があり、その場は白鳥の鳴き声で包まれた。
ゼウスは咳払いをし、一コマおき話し始めた。
「辛い人生だったな」
「…………はい」
その言葉に前世の記憶を思い出し辛くなり、声がほぼ出なかった。
「普通ならここに来た人間の前世は見ない。だが、一つだけ特例がある。それはお前さんと同じく自殺した人の過去は調べられる。そして来世ではそういった事が無いようにできる限りのことを尽くす。そうなっておる」
「そうなん……ですか」
「お前さんはほんとによく耐えてた。親からのDV。それが原因で小学校、中学校と酷いいじめを受けてた様だな。高校には進学したものの……辛かったな。ここまで酷い前世を送ってきたのは中々居ない。だから俺がここに来た。お前さんの望みを全て言ってくれ。そして俺はそれを全てお前さんの来世に叶えてやる」
目の前がキラキラ光り出す。そんな感じがする。
「お言葉に甘えても良いですか?」
「もちろんだ!」
「そ、それじゃあ眼がいい人にしてください。今は片目の視力がほぼ無くて……」
「それもいじめか……ほんとに辛いのう。他には無いのか?」
「それじゃあ、トップとまでは行かなくても、俺の事を信用して付いてくる人が沢山いて統率力が合って頭のめちゃめちゃ良い人にしてください。あ、男でそれなりにかっこ良いってのも追加で」
「それだけでいいのか?もっと他に……例えば《《チート級の能力》》とか」
ゼウスは不敵な笑みを浮かべ、誘ってくる。
「ならそれも!」
「わかった」
この時ゼウスの本心は真っ黒に染まっていた。
だが、それに気づく事は今はまだない。
「分かった。全ての願いを叶えるには、前の世界と《《同じ世界》》に降り立つとは限らんそれだけは覚悟しておいてくれよ」
「はい!」
「今までで1番生き生きしておるのう」
言われて初めて気づき生まれて始めて高揚感に駆られた。
「そうかもですね!」
「では、行くぞ」
一瞬の閃光と共に女の人の声が聞こえた。
「これでわしがもう一度世界を統一する日は近い。ふはははははは」
いなくなるのを確認するとゼウスは高笑いを上げ白鳥た達が飛び上がって行く。
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