完結済。ぼくが子供の頃に出会った、恐ろしくも切なく妖艶な河童の正体とは。
色狂いが高じて信州の寒村に引っ込んだ大成金の父は、離れ屋敷で酒池肉林の乱行の果てに、梅毒治療のために処方されたヒ素の中毒で死んだらしい。
そんな父への憎しみが消えない高慢で気位の高い母は、幼女のような心を持つ姉娘ばかりを猫可愛がりし、父の顔によく似た末っ子の世松(ときまつ)は疎んじて、ことあるごとに土蔵に押し込む。
その晩もささいなことで叱られ土蔵に閉じ込められた世松は、土蔵の高窓から、父が死んでから人のいないはずの離れ屋敷に、浮世離れした異形の美貌の青年の姿を発見する。
その美青年の正体を、信頼する奉公人の朔太郎に聞いてもシラをきられ、これは触れてはいけない秘密なのだと察する早熟な世松だったが、小学校の春休みが終わる頃、思いがけない惨劇によって、いやおうなく残酷な真実を知らされていく。
※河童は出ません。。
(2015年6月初稿~8月中断)(2021年6月執筆再開~6月9日了)
カバー画像=「ピツメーカー」使用