MARVELOUS ACCIDENT 未知の始まり 【訂正前】

闇で歪んだ世界
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公開日時: 2021年10月5日(火) 18:22
文字数:1,336


「この人殺しーっ ! 地獄に落ちろーー」

地面で眠る男の体を少年はナイフで何度も突き刺し、返り血を浴びていた。縄で拘束せず、彼はそのまま攻撃しているんだな。

この調子なら、スマイル団が勝つのではないか ?

作戦は順調に進んでいるかと思えたが、そうでもなかった。



「えっ ? ノ、ノコギリ ? ……わあっ、死ねっ !」

「もう、こんなに可愛い愛羅てぃあらちゃんを傷つけようとするなんて、信じられないよ。愛羅てぃあらちゃんアターック !」

粉をふりかけようとした少年が、愛羅てぃあらにノコギリで頭を突き刺されてしまう。地面へ転がり生き絶えた少年に、愛羅てぃあらはどこか悲しそうな眼差しを向けていた。


粉をかけるタイミングが遅かったり、怯んで動きが鈍くなってしまうと、彼らにあっさり殺されてしまう。

彼らを眠らせ、無事に殺す事が出来ない人の方が多く、かなりのスマイル団が犠牲になっていく。彼らは皆、イナズマ組の胃袋の中へ入るのだろうな。


僕には、彼らの血祭りをひっそりと眺める事しか出来ない。手元にある研ぎ澄まされたナイフも、七色に輝く魔法の粉も、僕が所持していては意味がない。



「おい、この悪党 ! 悪は正義であるこの俺が、美しく成敗してくれるわ」

厨二病みたいな発言をして、麗崇らいしは陽翔の前に立ち、彼の道を塞いだ。


「兄ちゃんよー。一体、何のつもりだー ? どうやら、ぶっ殺されてーみたいだなー。あーん ?」

「ふんっ……正義は勝つっ !」

麗崇らいしは細長い足を振り上げ、陽翔の腹に蹴りを入れた。突き飛ばされる陽翔を見て、麗崇らいしは悪い笑みを浮かべる。

「ハハッ、何だ ? イナズマ組も大した事はないなー」


「ガッ、このクソガキ ! 俺様を、汚い足で蹴りやがったなー ? 死んで償えやー」

陽翔はよろよろと立ち上がり、麗崇らいしの元へ走って行く。そして、ポケットから黒い何かを取り出し、それを麗崇らいしへ投げつけた。


「ぐっ、ああっ……頭が割れそうだ」

「ハーッハハハハハハー。さっきの勢いは、どうしたんだよー。ほらほら、立てや ! もう一回、威勢よくかかって来いやー」

麗崇らいしは頭を抱え込み、地面へ蹲る。彼の足元に、血の染みたハンマーが転がっていた。これを、麗崇らいしは頭部へぶつけられたのだろう。

楽しそうに、麗崇らいしを嘲笑う陽翔の表情は、狂気に満ちていた。再びハンマーを手にし、彼は麗崇らいしへ襲いかかる。

力は、麗崇らいしの方があるだろう。だけど、陽翔はそれを卑怯な手を使い、補っているんだ。


「痛いだろ ? 苦しいだろ ? 俺様が、とっとと楽にしてやるよー。感謝しろやー」

陽翔は麗崇らいしの体に、何度もハンマーを叩きつける。


「ぐあっ、お、お前は……こんな勝ち方をして、う、嬉しいのか ?」

麗崇らいしの言葉に、陽翔は手を止める。

「あーん ? ……それはよー、俺達の台詞だなー。人様の縄張りを、好き勝手に荒らしやがってー。圧倒的な力の差を感じたんだろうが、これは卑怯でしかねーぜー」

「お前……そんな事がよく言えたな。俺の友人が、レッドアイに殺された。幼い頃から、苦難を共に乗り越えてきた、俺の大切な存在だったんだぞ。一体、あいつがお前達に何をしたっていうんだ ? お前の仲間の犯罪者が、二人の中学生の幸せを一瞬で奪った。それが、どう言う事か分かるか ?」

麗崇らいしは声を荒げ、陽翔の胸ぐらを掴む。こんな、怒りを全開にしている彼は見た事がない。相当、イナズマ組を恨んでいる様だ。


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