MARVELOUS ACCIDENT 未知の始まり 【訂正前】

闇で歪んだ世界
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24

公開日時: 2021年9月11日(土) 01:24
文字数:1,327


「ヒルに何するっ !  死ねーーっ !」

 ワンダは両手を上にかざし、何かをしようとしている。そんな、彼女の瞳はギラギラとしていてとても恐怖を感じる。普段の可愛く純な雰囲気とは、大きく違っていた。

 僕に唾を吐きかけ、勢太はワンダの方に体を向けた。

「へー、弱くて女みたいな飛華流君の妹にしては、度胸があるな。……って言うか、尻尾と角のアクセサリーとかダサすぎ」

「馬鹿……お前、ヒルよりブス……きもい」

 ワンダは勢太に怯む事なく、ストレートに言い返した。

「……ボロ雑巾にされてーみたいだね」

 勢太はワンダに腹を立て、容赦なく殴りかかろうとする。駄目だワンダ……僕の為に傷を負わないでくれ。

 本当はワンダを僕が守ってあげないといけないのに、怖くて体が動かない。僕は、なんて無力なんだ。


 信じられない事に、ワンダの目の前まで迫ってきていた勢太が、いきなり宙へ浮き出した。彼は、徐々に地面から離れていく。

「はっ ? 何だよこれ……やめろー !」

 パニック状態の勢太は、自分の意思で浮いている訳ではなさそうだ。 だとしたら、ワンダの仕業か ? 


「メッダーゾー、メッダーゾー」

 

 ワンダは謎の言語を発しながら、両手を空へ伸ばし続けている。

 すると、勢太は空高く舞い上がっていった。そして、彼の姿はどんどん小さくなる。

 屋根より少し高い位置まで勢太は飛んでいき、ワンダが手を下ろすと、そこから落下した。地面へ勢いよく叩きつけられ、勢太はそのまま気を失う。


「アハハッ……ありがとうワンダ。スッキリしたよ」

 僕はそんな間抜けな勢太を、嘲笑ってやった。いつも、彼らクラスメイトが僕にそうする様にね。

 だが、まだまだお前には苦しんでもらうよ。今度は、僕の手で呪ってやるっ !

 

 僕を馬鹿にしたらどうなるのかを、たっぷり教えてあげるからね。


 それにしても……ワンダは一体、何者なのだろう。さっきの彼女の技は、人間には到底不可能だ。だとしたら、ワンダは超能力者や魔法使いとか、そういった特殊な人間なのだろうか。


 ワンダの謎は、深まるばかりだ。



 

 いつもなら、学校で授業を受けている時間帯に、僕はのんびりと目を覚まし、大きなあくびをする。

 時計の針は午前十時を回っているから、ママとパパはとっくに会社で働いているだろう。

 学習机で少し漫画を描いた後、再びベッドへ転がり、僕は枕元に置いてあるゲーム機を手に取る。よし、カニコニ星の縄張りをどんどん広げ、宇宙最強になるんだ。

 こうして、僕は宇宙ファイティングをプレイし、ゲームの世界へ入り込む。頼もしい仲間と共に、いろんな星を手に入れていく。それが、快感だった。


 途中からワンダがやって来て、僕の隣にチョコンと座る。

「ヒル……それ、面白いか ?」

 ワンダの問いに、僕は軽く頷く。彼女との会話は、それで終わりだ。



それから、二時間後……。


 ピアノ教室から帰って来た真誠と、ゲームの通信を始めた。そんな僕らを、ワンダは無言のまま、じっと観察している。

「くっそ……何でいつも負けるんだ」

「それは、僕が強いからだよ。ただ、それだけ」

 悔しそうな顔をする真誠に、僕は偉そうな発言をする。

「……ゲームなんか出来ても、何の役にも立たないからな」

 真誠のストレートな正論に、僕は傷ついた。ゲームでは僕が勝つが、口では真誠に負けてしまう。


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