副リーダーと合流し、数分間くらい共に走行する。そして、僕らは目的地の公園に到着した。 まだ、公園には誰一人居ない。
「よし……丁度、二十分前に到着できたな」
腕時計を確認し、秀は満足そうにしている。いくら何でも、二十分前行動は早すぎるだろ。この寒空の中、メンバーを待っていなければいけないんだぞ。
「……麗崇 ! まだ時間があるし、暗殺計画の実行について、今から確認しておこうか」
「そうだな。……じゃあ、飛華流は妹と一緒に、その辺で遊んで待っていてくれよ」
麗崇はそう言うと、秀と共に公園へ入って行く。僕らも彼らの後に続き、そこへ足を踏み入れた。
秀と麗崇は、ジャングルジムの頂上まで登り、そこで腰を下ろすと、話し合いを始めた。いや、なんて場所でやってるんだよ。
ワンダは、錆びかけたシーソーへ走って行く。それで、シーソーの手すりの上に立ち、バランスゲームの様な事を始めた。落ちない様にと小さな体を揺らしながら、上手いことバランスを保っている。 凄い……凄いけど、シーソーの遊び方を間違っている。まるで、サーカスみたいだな。
ブランコに腰を下ろし、僕はボーッと微かに揺れていた。僕の人生最後の遊びが、ブランコになってしまうかもしれない。それって、悲しすぎやしないか ?
僕はただ、時間が経過するのをじっと待つ。
十分……十五分が経過すると、公園の入り口に数台の自転車が止まった。そして、ジャージ姿の若い男女らが、ちらほらと中へやってくる。こんな時間にここへ来るという事は、恐らくスマイル団のメンバーだろう。
「……ねえ、あの子達は誰だろう」
「誰だ ? 見ない顔だな……。部外者なら、追い出さないといけないが……」
「……でも、こんな時間に公園で遊んでいるとは考えられないし、秀君の知り合いかも知れないよ ?」
彼らは、僕とワンダの方をジロジロと見た。僕らの事を、ヒソヒソと話している声が聞こえてくる。僕の事なんて、放っておいてほしい。
「さて、皆……今日はこんな時間に、わざわざ集まってくれてありがとうな。まず、暗殺計画について説明する前に、新しい仲間を紹介する。飛華流……妹と共に、挨拶をしてくれ」
秀の言葉で、彼らの視線が僕とワンダに一斉に向けられる。それと同時に、僕の鼓動は高鳴り、極度の緊張状態となる。
「はい……えっと、スマイル団に所属しました。上野飛華流です。よ、宜しく……お願いします」
「俺、ワンダ……ヨシロクな」
僕が何とか自己紹介を終えると、ワンダもその後に続き口を開いた。
ワンダの奴、「ヨシロク」って何だよ。日本語を正しく使わないと、皆に変に思われるじゃないか。ただでさえ、見た目も普通じゃないのに。
パチパチパチパチパチッ……。
挨拶を終えると、僕らは皆から拍手を浴びた。誰も、ワンダに違和感を感じてはいない様だ。それなら、一安心だ。
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