永戸がレッドアイである事を証明する、決定的な動画が流れた後……。
永戸の首には、八千万円の懸賞金がかけられた。あっという間に、永戸は指名手配犯になってしまったのだ。
普通、未成年の犯罪者は少年法によって守られるはずだ。
しかし、永戸の場合、世間から人外扱いされているのでそれが適応されないらしい。それは、あの目を赤くギラギラさせた姿は、見た目からして人間とは思えないからな。未成年である彼が法で守られないのは例外だが……人の姿をした悪魔と恐れられる彼は、世間からとったらただの邪悪な存在なのだ。
一宝町には、永戸の顔写真のついた指名手配がそこら中に貼ってある。通学途中に、何枚も見かけた。
イナズマ組は、永戸をこれからどう守っていくのだろう。
イナズマ組とは、あれから一切関わっていない。メンバーに加入したのに、特に何もしていないが……。僕的には、それで良かった。パパが蓮に発した言葉が、彼らに効いたのだろうか。
しばらくの間、僕は普通に学生として、苦しい日常生活を過ごしていた。そんなある日。
ピロリロリーン……ピロリロリーン……。
繰り返される着信音で、僕は飛び起きた。
学校から帰って来て、疲労がかなり溜まっていたので、そのままベッドで眠ってしまっていたのだ。
僕は、枕元にある携帯を手に取る。
誰からだ ?
液晶画面に、秀と言う文字が浮かび上がっていた。
スマイル団が、僕に何の用だろう。まあ、僕もメンバーの一員だけどさ。面倒だな。
電話に応答するかを迷い、僕は結局は携帯を耳にあてる。
「……も、もしもし……飛華流ですが……」
「ああ、もしもし……こちら、秀だ。いきなり電話して、ごめんな。……今、時間大丈夫か ?」
直ぐに断って切ってしまいたかったが、その気持ちを抑え、僕は口を開く。
「……あ、はい。大丈夫ですよ」
「よし……じゃあ、早速なんだが、今夜の十二時に前の公園に来てほしい」
はっ ? 何だってっ ? このまま、電話をブチ切っても良いかな !
「……え ? 夜中にですか ? でも、どうして……」
「……それは今夜、イナズマ組を暗殺するかだ」
秀の唐突な言葉に僕は一瞬、自分の耳を疑った。えっ ? 今、暗殺って言ったか ? そんな、まさか……寝起きで寝ぼけている、僕の聞き間違いだろうか。頼むから、そうであってくれ。僕は、心からそれを願った。
しかし、残念ながら、秀は本気だった。
「イナズマ組を殺す作戦は、考えてある。まず、公園で皆にそれを説明する。そして、実行だ」
「あ……でも、僕……その公園に自力で行けないので……」
「よし……それなら俺が、飛華流の家に迎えに行くよ。だから、公園まで一緒に行こう」
自然に誘いを断りたかったのに、参加する流れになってしまっているんだが。
僕が、イナズマ組の暗殺を手伝う事は決して許されない行為だ。イナズマ組のメンバーである僕が、その様な行動を起こす……。そんな事をすれば、僕は裏切り者と見なされ、彼らに確実に殺されてしまう。
この電話をブチ切り、僕はイナズマ組にスマイル団の存在を伝えに行くべきだろうか。でも、僕がイナズマ組のメンバーだと知れば、スマイル団は僕の命を狙ってくるだろう。一体、僕はどうすれば良いんだ。
そもそも、イナズマ組とスマイル団の両方に所属する……。それ自体が、大きな間違いだった。こうなったのも、僕が人を呪った罰なのだろうか。
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