小鳥のさえずりを聞きながら、僕は昼頃に目覚めた。
休日の始まりは、本当に気分が良い。学校に縛られる事なく、自由に好きな様に過ごせるからだ。
さて、今日も漫画を描いて、ゲームを楽しむとするか。でも、その前にしっかりと、エネルギー補給をしないとな。
自室を出て、階段を下ろうとしていると、一階から真誠の声が聞こえたので僕は足を止めた。
「うん、最近はほとんど、ベランダから勝手に入ってくる。しかも、靴を履いたままで……」
どうやら、真誠は永戸と優の話をしているらしい。
「……それって、背の高い金髪のお兄さんと、片目を隠した子だった ?」
「……そうだ ! そいつらだった。金髪の奴は咥えたタバコを、飛華流の部屋に捨ててたし」
真誠は、ママにそう答えた。
「あら……そうなの。その子達は、イナズマ組のメンバーだよ。確か、永戸君と優君……だったかな。飛華流の友達だと言っていたけど」
ママが簡単に二人の説明をすると、パパが怒り口調でこう言った。
「え、イナズマ組 ? そんな奴らと関わったら駄目だ ! 無許可で人の家に上り込むような、非常識な人間だからな」
「……でもね、悪い子達じゃないよ。私にしっかりと挨拶をしてくれたし、飛華流と仲良くしてくれているからね。それに、何かあれば飛華流を守ってくれそうだし。……ほら、今この町は物騒だから」
イナズマ組を庇うママに、パパは直ぐに言い返す。
「いいや、ママ……それは違うって ! あの、おかしな連中は、この町で暴力事件とかを犯し、人様に害を与える様な奴なんだ。飛華流がそんな奴らと、友達な訳がないっ !」
「……確かに、あの子達は頭があまり良くないから、やって良い事と悪い事の区別がついていないかもしれない……だけど、きっと良い子よ」
「物事を正しく判断できない奴は、危険だ。次にあの、おかしな連中がやって来たら、警察に通報する様に、飛華流に言わないといけない」
パパのその言葉を耳にし、僕はゴクリと唾を飲み込んだ。彼らの目の前で、堂々とそんな事が出来るはずないだろ ? それに、迷惑な人達ではあるが、ママの言う通り彼らは悪い人ではない。
「俺も、パパが正しいと思う。そんなろくでなしと一緒に居たら、飛華流に悪影響だろ」
真誠はいつもの様に、パパの味方につく。パパと真誠は、思考が似ているのだろう。正しくはあるが、冷ややかな考えだ。
僕は一階へ行くのをやめ、自室へ戻った。このタイミングで下りて行けば、パパに煩く言われるだろう。それは御免だ。
ゲームを手にベッドへ転がり、僕は深いため息をつく。永戸と優は、僕の友達なんかじゃないさ。ただの知り合いだ。
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