MARVELOUS ACCIDENT 未知の始まり 【訂正前】

闇で歪んだ世界
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第四章 闇に包まれた謎

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公開日時: 2021年9月12日(日) 10:21
文字数:1,063



小鳥のさえずりを聞きながら、僕は昼頃に目覚めた。

 休日の始まりは、本当に気分が良い。学校に縛られる事なく、自由に好きな様に過ごせるからだ。

 さて、今日も漫画を描いて、ゲームを楽しむとするか。でも、その前にしっかりと、エネルギー補給をしないとな。

 自室を出て、階段を下ろうとしていると、一階から真誠の声が聞こえたので僕は足を止めた。


「うん、最近はほとんど、ベランダから勝手に入ってくる。しかも、靴を履いたままで……」

 どうやら、真誠は永戸と優の話をしているらしい。

「……それって、背の高い金髪のお兄さんと、片目を隠した子だった ?」

「……そうだ ! そいつらだった。金髪の奴は咥えたタバコを、飛華流の部屋に捨ててたし」

 真誠は、ママにそう答えた。

「あら……そうなの。その子達は、イナズマ組のメンバーだよ。確か、永戸君と優君……だったかな。飛華流の友達だと言っていたけど」

 ママが簡単に二人の説明をすると、パパが怒り口調でこう言った。

「え、イナズマ組 ? そんな奴らと関わったら駄目だ ! 無許可で人の家に上り込むような、非常識な人間だからな」

「……でもね、悪い子達じゃないよ。私にしっかりと挨拶をしてくれたし、飛華流と仲良くしてくれているからね。それに、何かあれば飛華流を守ってくれそうだし。……ほら、今この町は物騒だから」

 イナズマ組を庇うママに、パパは直ぐに言い返す。

「いいや、ママ……それは違うって ! あの、おかしな連中は、この町で暴力事件とかを犯し、人様に害を与える様な奴なんだ。飛華流がそんな奴らと、友達な訳がないっ !」

「……確かに、あの子達は頭があまり良くないから、やって良い事と悪い事の区別がついていないかもしれない……だけど、きっと良い子よ」

「物事を正しく判断できない奴は、危険だ。次にあの、おかしな連中がやって来たら、警察に通報する様に、飛華流に言わないといけない」

 パパのその言葉を耳にし、僕はゴクリと唾を飲み込んだ。彼らの目の前で、堂々とそんな事が出来るはずないだろ ? それに、迷惑な人達ではあるが、ママの言う通り彼らは悪い人ではない。


「俺も、パパが正しいと思う。そんなろくでなしと一緒に居たら、飛華流に悪影響だろ」

 真誠はいつもの様に、パパの味方につく。パパと真誠は、思考が似ているのだろう。正しくはあるが、冷ややかな考えだ。

 僕は一階へ行くのをやめ、自室へ戻った。このタイミングで下りて行けば、パパに煩く言われるだろう。それは御免だ。

 ゲームを手にベッドへ転がり、僕は深いため息をつく。永戸と優は、僕の友達なんかじゃないさ。ただの知り合いだ。


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