MARVELOUS ACCIDENT 未知の始まり 【訂正前】

闇で歪んだ世界
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25

公開日時: 2021年9月11日(土) 08:02
文字数:1,486



ドンドンドンッ……ドンドンドンッ !



 真誠と熱い戦いをしている最中、ベランダ側の窓を何者かに激しくノックされた。おい、嘘だろ……ここは、二階だぞ ?

 僕は恐る恐る、ベランダへ目を向ける。そこにはなんと、永戸と優の姿があった。なんて迷惑な人達なのだろう。家にも来てほしくないのに、まさかこんな場所から現れるなんて……。


「飛華流ー、遊びに来たぜーー !」

 優は大声を上げ、こちらに大きく手を振った。

 僕が仕方なく窓を開けると、二人は少しも遠慮せず、ズカズカと部屋に上がり込んでくる。しかも、土足で。それに、優はタバコを吸っているから、部屋がタバコ臭くなっていく。

「すっげー。めっちゃ贅沢してるなー」

 優は、楽しそうに部屋を見渡す。

 フィギュアやポスター等の、アニメグッズに囲まれた生活をしているが、贅沢をしているつもりはない。


「うっわ……こいつらは、インターフォンも鳴らせねーのか」

 不快そうにそう吐き捨てると、真誠は足早にこの場を去って行った。そんな真誠を目にし、優は申し訳なさそうに僕に説明する。

「あー、なんかごめんな。最初は、玄関から入るつもりだったけど、この部屋から飛華流が見えたからさ」

「ちっ、あのガキは誰だ……」

「……えっと、すみません。あいつは、僕の弟です」

 永戸が真誠の態度に腹を立ててしまったので、僕は慌てて謝った。

「それじゃあ、この可愛い女の子は誰 ? もしかして、飛華流の彼女かー ? ヒューヒュー」

 ニヤニヤしながら口を鳴らす優に、「口よりインターフォンを鳴らせっ !」って、言ってやりたかった。

「いえいえ、そんなんじゃないですよ。……こいつは、僕の……僕の妹です」

 僕は咄嗟に、またそんな嘘をつく。

「……そんなんどうでも良い。今から、お前を菊谷に会わせる。後、そのゲームも持って来い」

 そう言って、永戸はベランダへ歩いて行く。どうして僕が、イナズマ組のボスに会わなければいけないんだよ。それに、ゲームなんて持って行ったら、彼らに盗まれそうで怖いな。


「そのゲーム、俺達も持ってるから、アジトに着いたら通信しようぜ。ほら、早く行くぞー」

 優に背中を押され、僕は無理矢理足を動かす。

「ワンダ……僕、行って来るね」

「俺、ヒルと行く」

 ワンダに手首を捕まれ、僕は断りきれなかった。なので、二人の許可を得て、彼女も連れて行く事にした。

 僕は優に背負われ、彼らと共にベランダから外へ出る。


 綺麗な青空を見上げ、僕は眩い太陽に顔をしかめた。二人に乗せてもらうのを拒否し、ワンダは自力で屋根を走って行く。

「姉ちゃん、ワンダ……だっけ ? 落ちて怪我すると危ないし、あんまり無理するなよ ? 疲れたら、俺か永戸が背負ってやるからな」

「お前、キモい……。俺、できる」

 ワンダは一体、何を考えてるんだ ! 今の発言は失礼すぎるだろ。優は、ワンダを気にして声をかけてくれたのに。そう思い、僕はワンダに注意してから直ぐに優に謝罪する。

「こらっ、ワンダ ! ……優さん、こいつが失礼な事を言ってしまって、すみません」

「気にすんな。それは、別に良いぜ。……あのさ、変な質問するけど、ワンダって……人間か ?」

「な、何を言ってるんですか ? 当たり前じゃないですか」

「……いやー、角と尻尾が生えてるから、違うんじゃねーかと思ってさ」

「あ、ああ、これは……本物じゃないですよ。えっと……これは、両方ともアクセサリーです」

 優にヒヤヒヤする質問をされたが、僕は何とか誤魔化した。馬鹿なくせに変な所で頭が切れるのは、よしてくれよ。

「俺、人間だ」

 本人もこうして、「人間」であると主張しているが、実際は定かでない。だって、ワンダは全てにおいて、普通ではないから……。


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