MARVELOUS ACCIDENT 未知の始まり 【訂正前】

闇で歪んだ世界
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59

公開日時: 2021年9月26日(日) 12:46
文字数:1,031


「ロズ……来てくれたんだ……」

「当たり前でしょ……僕は、君を心から愛しているんだから。それより、酷い怪我だなあ。よくも、よくも……僕のワンナを傷つけたなー !」

ロズは、ワンナ姫を隠す様に立った。

バチッとした大きな瞳で、ロズは敵を睨みつける。そんな彼は、殺意と恐怖が混じっている様に見えた。

「君達は一体、何者なんだ ! どうして僕達を襲うの ? 僕は君達を許さない……そしてっ !」

ロズはそう言うと次に、木陰に隠れていた僕に、怒りに満ちた表情を向ける。

「君だよ君っ ! 今まで一体、何してたんだ。……どうして君は王子でありながら、ワンナを守らなかった ?」

「あ、えっと……その……ごめん。怖くて、動けなくて」

 ロズに怯んでいると、彼は僕を怒鳴りつけた。

「……はっ ? ふざけないでよね。君には、この国もワンナも守れない ! 王子である君が血を流さない分、姫が傷ついたんだよ」

「ほ、本当に……悪いと思ってるよ」

「……もう良い ! 君は本当に、王子失格だよ。僕は国のために戦うし、ワンナを命がけで守る ! 君より、僕が王にふさわしいのさ。ワンナも必ず、君には渡さない」

ロズにとことん言われ、僕は思った。


くっそ ! 王子であるこの僕に、ただの坊ちゃんが歯向かって良いとでも思っているのかな。完全に舐められている。悔し涙が込み上げてきた。

けれど、彼の言っている事は事実である。僕には、あの敵を追い払えるほどの力がない。

ここは、この謎の集団が来るまでは、争い事の起こらない平和な星だった。だから、兵士が居ないんだ。つまりは、戦える者が居ないという事。この星に、未だかつてない危機が訪れているのだ。


「死ぬ前のお喋りは、それぐらいで良いよなー。まずは、お前らから撃ち殺してやる」

「僕は死んでも、ワンナを守るんだーー」

ロズは銃を向けられ、大声で叫んだ。

コロンが待っているし、今のうちに逃げてしまおうか。

  駄目だ。体が動かない ! 恐怖で、全身が激しく震えるせいだろう。死にたくないよ。

こうしている間にも、僕の周囲で沢山の人々がられていく。




「飛華流ー、起きて起きて !」


  天空から、女性の声がする。

 誰だ……誰の声だ ? 飛華流って誰だ ?


「ねえ、飛華流……飛華流ってばー」


再び聞こえるその声と共に、僕の肩に何者かの手が触れる。

すると、絶え間なく響いていた、銃声や悲鳴がピタリと止んだ。この空間に居る、僕以外の全ての生物が停止したのだ。そして、カラフルな世界がモノクロに変わっていく。

僕の目の前に広がる光景は、パッと消えて暗闇に包まれた。

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