MARVELOUS ACCIDENT 未知の始まり 【訂正前】

闇で歪んだ世界
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102

公開日時: 2021年10月21日(木) 07:00
文字数:1,033


「黙れ。二度と、笑えねーようにしてやる。…………ウッ、ウウウッ……」

俺はラーメン女に殴りかかろうとしたが、体に異変を感じ、足を止めた。

体の底から、猛烈な力がみなぎってくる。その力を上手く制御できず、俺は息苦しくてその場に蹲った。

我が身を滅ぼしかねない、果てしないエネルギーに耐えていると、脳内で誰かの声がした。


殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ……。

壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ……。


消せ消せ消せ消せ消せ消せ消せ消せ……。


その謎の男の声は、狂った様にそんな言葉を何度も繰り返す。それを聞いていると、視界が一気に暗くなり、俺は闇に包まれた。

ここは、どこだ ? 何も見えないし、聞こえない。人間は皆、俺の敵だ。殺しまくって、スッキリしたい。ここに居ると、そんな感情に襲われる。そして、意識が遠のいていった。



目を覚ますと、カーペットや家具に血が飛び散っていて、辺りは真っ赤に染まっていた。そこに、肉の塊が三つ転がっている。ラーメン女と筋肉男のものだ。

俺の手には、汚い血が染み付いていた。俺は我を失っている間に、こいつらを殺したんだ。……と言う事は、俺は立派な犯罪者なのか。

こいつらをこの手で消せた事は嬉しいが、人殺しになるのは抵抗がある。俺は、これからどうなるのだろう。

足元に転がるラーメン女の生首を、俺はぐちゃぐちゃになるまで踏み潰し、家を出た。


雪降る夜の町の中を、俺は凍えながら行くあてもなく彷徨った。中学一年生でホームレスになり、ただ一人で生きていく。

最初は、持ってきたお菓子やジュースで胃を満たしていたが、あっという間に全てなくなってしまった。

店で食料を盗むようになるが、泥棒として顔が知れてしまい、町に居づらくなる。結局、カラスとともにゴミ袋をあさったり、カエルやトカゲを捕まえて食べていた。それでは栄養が取れず、俺は日に日に痩せて行き、完全に衰弱した。


心無い人間に存在を馬鹿にされ、体の底から怒りが込み上げてくると、気づいた時には俺の前で人間が肉の塊になっている。

俺は殺人鬼だ。あいつらを殺した、あの日から……。


死ぬ寸前だった俺は、イナズマ組と言うヤンキー集団に助けられた。そいつらは、俺の事を仲間として受け入れてくれた。

森の奥深くに、ひっそりと建てられたツリーハウスは、とても居心地が良かった。イナズマ組は、俺を理解し、支えてくれる。世間から白い目で見られる、社会に適応できない者同士、協力して生きている。


母さん、見つけたよ。最高の居場所に、素敵な仲間を……。


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