世界の不思議映像グランプリを、僕は胸をときめかせ、じっと見ていた。この番組では、世界で起こる奇妙な現象を、山ほど紹介している。UFOや未確認生物、心霊や小人等、オカルト好きにはたまらない映像ばかりだ。
円盤型のUFOが上空を飛び回っている映像が流れ、僕は目をキラキラ輝かせる。いつか、僕もこの目で見てみたいな。
テレビに釘付けになっている僕を目にし、真誠は呆れた顔をする。
「馬鹿じゃねーの? こんなの、CGに決まってるだろ」
「いいや、これは本物だ。お前は、目に見える物しか信じられないんだね。いいか、この世には科学で証明が出来ない事も、沢山あるんだよ」
夢を壊す様な事を言われて腹が立ち、僕は真誠を睨んだ。
「……私も、宇宙人は存在すると思うわ。だって、宇宙には無数の星があるのよ。生命体の存在する星が、地球だけだと考える方が、難しいじゃない」
「……それじゃあ、もし仮に宇宙人がこの宇宙のどこかに居るとして、どうやって地球まで来るんだ ? 今の時代に、そんな高度な技術がある訳ねーだろ」
ママの言葉に、真誠はそう返した。
「そんなの簡単な話だよ。宇宙人達は、地球人より高度な技術を持っていて、それを駆使して地球へ遊びに来てるんだ」
「飛華流さー、もう中学生だろ ? いつまでも夢見てんじゃねーぞ」
「こら、真誠 ! そんな事を言わないの。そもそも、そう言ったミステリー現象を信じるのに、子供も大人も関係ないわ。あんたは本当、直志に似てるわね」
僕を嘲笑う真誠に、ママが注意する。
もしも、この場にパパが居たら、真誠と同じ事を言って、この番組を否定するに違いない。
「煩い。静かしろ !」
僕達が、ごちゃごちゃと言い合っていたのが耳障りだったのだろう。拙い日本語で、ワンダが僕達に怒ってきた。
「あら、ごめんなさいね。ほら、真誠……皆、真剣に見てるんだから、邪魔したら駄目よ」
真誠はムスッとし、ママを無視して黙って部屋を出て行く。
「あー、凄い凄い ! 人魚だ……人魚が海を泳いでるよ !」
UFOの次は人魚が出て来て、僕は思わず声を上げた。その後にも、河童やチュパカブラ等の未確認生物が、続々と視界に入ってくる。
不思議映像に夢中になっていると、あっと言う間に二時間が経過し、番組が終わってしまった。そして、退屈なニュース番組が始まる。
あくびをしながらウトウトしていると、気になるニュースが飛び込んで来た。
「一宝町で昨夜、傷だらけの状態で救急搬送された少年が、奇妙な映像を捉えていました。こちらを、ご覧下さい」
携帯で撮影された画質の悪い動画を目にし、僕は恐怖で全身が震えた。な、何だよこれ……。
暗闇に包まれた人通りの少ない細道で、赤い目をギラギラと光らせた人影が動いているのが分かった。それは、暗くてはっきりとは認識出来ないが、人ではない何かだと感じる。だって、目が一つしかないんだから。
こいつが現れた場所は、僕の家の付近だった。それを見て、ママは言葉を失っていた。
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