MARVELOUS ACCIDENT 未知の始まり 【訂正前】

闇で歪んだ世界
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85

公開日時: 2021年10月11日(月) 06:53
文字数:1,228



「ロッキー ! ……ああ、早くロッキーを助けに行かないと」

秀は倒れたまま動かないロッキーを目にし、永戸の処分を急いだ。彼の腹に、連続パンチを食らわす。

身体中から血を流しながらも、永戸は秀の前に立っていた。そんな彼は、相変わらず無抵抗だ。


「くっそ、どうしてまだ死なないんだ。こんなに、一方的に攻撃をしているのに……」

秀は息を切らしながら、拳を振るい続ける。そして、悔しそうに言った。

「俺の技をまともに受けて、まだ意識があるのか ? この、化け物め !」

「ば、化け物……だと ?」

ずっと黙っていた永戸は、秀に恨めしそうな顔をした。


「ああ、その通りだ。お前は、何の罪もない人々を殺しすぎだ。言っとくが、お前の事を恨んでいるのは、俺達だけじゃないからな。数え切れないほどの人々が、お前の存在を拒んでいる。お前は、人間のふりをした化け物だ !」

「うるせー、黙れっ !  俺は……俺は、化け物なんかじゃねーし。……うっ、ううううっ……」

永戸は口から不満の言葉を漏らすと、苦しそうに踞る。まさか、また気狂うつもりじゃないだろうな。


「ん、何だ ? 今になって、攻撃が効いてきたか ? ……まあ良い。このまま、大人しく死んでもらうぞ、レッドアイー !」

秀が、エイトの後頭部に足を振り下ろしたその瞬間……。


ビューーーーーーッ !


激しい風が、僕らの体を通り抜けていった。そして気づくと、永戸は僕らの前から姿を消していた。この数秒の間に、彼はどこへ行ったのだろう。


「ん、消えた ? おい、レッドアイ ! 逃げるつもりか ? まだ、勝負は終わってないぞ。……近くに居るのは、分かってる。隠れてないで、早く出てこい」

周囲を警戒しながら、秀は永戸を探す。

すると、狂った様な不気味な笑い声が辺りに響き渡る。

「フッハハハハハハハー。ほらほら、おチビちゃーん。ここだよ……ここここっ !」

「うあっ、うあーっ。くっそー。速すぎて、姿が見えない」

再び吹き荒れる強風とともに、スレンダーな人影が、秀の体を素早く切り裂いていく。その小さな体には、大きな爪痕がいくつも刻まれた。服が破れ、秀の体から血が飛び散る。

気狂った永戸が、秀で遊び出した様だ。痛々しくて、とても見ていられない光景だ。

秀は地面へ崩れ落ち、絶望の表情を露わにしていた。これ以上、永戸から攻撃を受け続ければ、秀は確実に死ぬだろう。



「全く……永戸の奴、またなっちゃったか。仕方ないな」

菊谷は気狂った永戸を見ると、彼へ近づいていく。

「ま、待ちやがれ……。どこに行くつもりだ ? お前は……お前は、俺が殺す」

必死に地を這いつくばり、ロッキーは菊谷の足首を掴んだ。菊谷は、もう片方の足で彼を踏みつける。彼の足から手を離し、ロッキーはそのまま気を失った。そして、菊谷は歩き出す。




「フッハハハハハハハー。楽しいなー、楽しいなー。ここには、命が沢山あるみたいだねー。全部、僕のおもちゃだー。フッハハハハハハハー」

秀を切り裂くのをやめ、永戸は赤色に光る瞳で彼らを見つめた。その後に、秀の方へ視線を戻す。


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