MARVELOUS ACCIDENT 未知の始まり 【訂正前】

闇で歪んだ世界
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30

公開日時: 2021年9月13日(月) 06:58
文字数:1,305


「飛華流さんに、夢製造機ゆめせいぞうきをお渡しします。こちらの装置を頭に付けて頂き、シナリオを考えて下さい。そうする事で、夢を作る事が出来ます」

 ヘルメットの様な謎の道具を、僕はエミナーから受け取った。本当にこんな物で、僕の頭の中の世界を読み取る事が出来るのかな。


「……分かりました。それで、夢を作り終えたら、どうすれば良いですか ?」

「夢の完成が確認出来ましたら、こちらで勝手に頂き、お客様の元へ届けますのでご安心下さい。……それと、お客様の声を脳内に送りますので、そちらをよく聞いて、仕事に取り組んで下さい」

 エミナーの説明を聞き、僕は驚いた。今の時代、そんな事が実現可能なのか。いや、魔女にだから出来る事なのだろうな。

「……えっと、お客様の声って……何ですか ?」

「どんな夢を希望するのかという詳しい依頼内容や、夢を体験しての感想等、お客様の率直な思いが、ダイレクトに貴方に聞こえますよと言う事です」

 なんだか、それって怖いな。夢を気に入ってもらえないと、文句を言われる可能性があるだろうし。


「……それでは、間も無く朝がやって来ますので、私はここで失礼します。本日から、お仕事を宜しくお願いしますね。さようなら」

 エミナーがそう言い終えると、僕は布団の中で目を覚ました。ゆ、夢か……そうだきっと、さっきのは夢に違いない。

 まさか、呪いの代金で三十万円も請求されるはずがない。

 しかし、枕元に目をやると、あの謎の道具がしっかりと置かれていた。夢だけど、現実だったみたいだ。




「僕は毎日、とても辛い日々を過ごしています。だから、夢の中でくらい、自分の好きな場所へ行きたいです。僕に、宇宙旅行へ行く夢を見せて下さい。宇宙人にも会いたいです」

 

 ボーッと夢製造機を眺めていると、若い少年の声が脳内に流れて来た。うっわ、びっくりした。突然、知らない人の声が聞こえて来るって、かなりホラーだな。この声の主が、どうやら最初の依頼人のようだ。

 初めての仕事は不安だらけだけど、さっそく頑張るか。装置を頭に付け、少年が宇宙旅行へ行くシナリオを僕は考え始める。


 七色に輝く宇宙船に一人で乗り込んだ少年は、青い地球から飛び出した。星の海へと飛び込み、存分に無数の光を眺め、宇宙を満喫する。

 

 地球から遠ざかってしばらくすると、少し離れた所に複数の謎の飛行物体を発見。謎の飛行物体は、こちらへと近づいて来る。あれは、UFOだ !

 少年は、持っていたデジタルカメラで、すかさずUFOを捉える。

 すると、UFOは一斉に少年の乗っている宇宙船にビームを放ち、攻撃してきた。攻撃を素早くかわし、少年は追って来るUFOから逃げ出す。

 しかし、ビームを何発も食らってしまい、宇宙船は制御不能になってしまった。そして、そのまま墜落して行き、とある惑星に到着する。

 

 少年は、運良く助かった。その惑星では文明が発達していて、地球人によく似た宇宙人が住んでいた。

 宇宙人達は「お帰りなさいませ」と、少年を大歓迎する。


 そう、少年は記憶を失っていた、この惑星の王だったのだ。


 こんな感じで、良いのかな ?

 僕は装置を外し、仕事を終えた。

 正しく夢を作れているのかも分からず、僕は毎日、十人以上のシナリオを考えていく。


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