「何でニコラが魔女なの?!」
ルーシがエミリーに迫る。
「わ、私にも分かりません。。」
アタシでもちょっと驚いた位だからエミリーからしたらかなりビックリだと思う。
「ニコラは良い人だよ?」
「そうですね。私もそう思うので困惑してます。」
1人で旅に出てから何かあったのかしら。
「でも彼女を魔女認定するかの聴聞会なんて無かったんじゃにゃい?ナミル達ならともかくエミリーなら話を聞いててもおかしくにゃいよね?」
「そうなんです。全く知らなくて、寝耳に水なんです。」
「だったら、他国で申請があったのかも知れませんねえ。」
各国の教会が申請して総本山が認定する仕組みみたいだし、ニコラがまず北に行った後も国内を廻ってるとも限らないか。
何かの間違えであって欲しいけど、もし彼女が何かしでかすとしたら紋とか加護絡みな気がする。
「メルヴィルさんは何か知らないのかな。」
「他国の事は流石に分からないと思います。」
「お話出来ない?」
「聞いて見ますが、本山に呼ばれているので難しいかも知れません。」
本山は国の北西のもっと先にあるんですって。
国内の移動の様にスムーズには行かないらしい。
そりゃそうね。
結局、早々にメルヴィルさんがエミリーを連れて本山に行ってしまったので、ニコラの事聞けなかった。
今回は国外に出るってのもあって本格的にビックスさんを司祭代理としたらしく、ニーダさんまで手伝いで内勤になったとか。
じゃぁディオ達もかと言うと、2人は次の仕事でアタシと同伴する。
詳しくは後で聞くのだけれど、大所帯で行くんだから大きな仕事なんでしょう。そしたら時間も掛かでしょうし、今回の仕事がもしかしたら、みそぎ期間最後の仕事になるかもね。
「ルーシともそろそろお別れにゃねぇ。」
「会えなくなる?」
「そんな事はないですけどお、みそぎが終わったら一緒に旅する事も無くなってしまいますからあ。」
「ルーシ君のみそぎはそろそろ終わりなの?」
とティチーノ。
「うん。1年間だったんだ。ティチ達は2年なんでしょ?」
「ええ。」
「みそぎ終わったらどうするの?この前グフリアさんにあったんだけど、」
グフリアの言伝てを伝える。
「、そう。」
「みそぎ終わったら戻る?」
「どうかしら。後1年あるし」
「他に遣りたい事なかったら戻った方がいいよ。」
とディオ。
「でも、そうしたらディオはまたフリーになるの?」
「俺はそれでもいいと思ってる。」
フリーの冒険者だとソロでダンジョン潜る事もあるだろうから心配でしょうね。
ギルドのランクはパーティー単位で与えられるからフリーだどランク外になって、良い依頼も受けられないだろうし、グフリアのクランは女性限定だからディオは入れないしね。
「2人でパーティー組めばいいんじゃない?」
ルーシの提案にナミルが頷く。
「そうしたら良いにゃ。2人で組んでくれたら教会からの依頼も受けやすいし、ナミル達が指名するにゃよ。」
「ありがとうございます。考えてみます。」
ディオは明言しない。
1年も先の話だもんね。
状況も変わってるだろうし、深い関係者が魔女になった訳だからルーシと同じ様にすんなり満了するとも限らない。
難儀ね。
今は北東に向かっている。
王都からある程度離れた移動中にナミルとコリティスが今回の内容を話してくれた。
「直接、王都教会にたれ込みがあったらしいんにゃ。」
「どんなたれ込み?」
「イプノシーが拠点としている村ですう。」
「イプノシーってつい最近認定された魔女だよな?」
「そうですう。」
ディオとティチは奴の事をそれしか知らないので詳しく説明する。
それにしても早々に情報が寄せられたわね。
そう言うもんなのかしら?アタシが知らないだけで他の魔女についても情報提供されてるのかな。
ニコラについても。
「そんな事があったんだ。だから教会内で頬を叩くのが流行っていたのか。」
流行りって言い回しはディオの比喩だけど、催眠に掛かってないかを確認する為に祈り前に叩かれるって規律が出来たらしい。
「拠点の側の教会に規律が定着してるか分からないから、今後教会に立ち寄る事は無いにゃ。」
王都から離れれば離れるだけ浸透してない可能性があるわね。
そもそも頬叩けってそんな決まり、理由も分からず従うほうが難しいわ。
「だから冒険者を装って村に潜入するにゃ。」
「それまでは『悲嘆の魔女』の話題は控えますねえ。」
『悲嘆の魔女』とはイプノシーの号。
魔女認定されると付けられる通り名みたいなモノ。
そう言うのって見た目や行いに沿って付けられるモノだと思うのだけど、正直パッとしない。
ディオとティチが育った孤児院の院長だったフィンティスは『怠惰』だし、イプノシーは『悲嘆』。
ニコラに関しては『暴食』だ。
彼女、どちらかと言うと食の細い方なのに。
「まず、ベネル寄りましょうう。」
あった事もない、何処かの誰かが付けた渾名の由来なんてしるよしもないか。
アタシはベネルに向けて速度をあげる。
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