大規模実験が始まって二週間の間、予想外なことが起きた。
まず手始めに、全員に対して健康チェックが実施された。今思えば当然のことだと思う。前日までにあちこち動き回っていたモルモット達が、急に動きを止め、念じているのだから。ましてや、人間達からしたら念じているとは見えておらず、体調不良により動きが鈍っていると感じたのだろう。
大規模な健康チェックの結果、我々に異常は発見されなかった。当然である。これが一つ目の出来事。
もうひとつが動物園の繁盛だ。
幹丘動物園の祈りを捧げるモルモット達が話題!!
モルモット達が一か所に固まって、目をつむっている姿が珍しかったのだろうか。そんな謳い文句と共に、週末のふれあいタイムがにぎやかになったのだ。
一か所に固まっているのは私の案である。仮に念じる力が届くのであれば、それは一か所から飛ばした方がより太く、強いモノになると考えたのだ。
この予想外の出来事は我々の追い風になると考えている。この話題があの少年の耳に届けば、もう一度来てくれるかもしれない。実験というのは予想外な結果が得られることもあるのだな、と自分自身に多少の感心をしつつ、私は実験を繰り返した。
「いつになったらこの実験は成功するのかしら。」
少し豪華になった野菜をほおばりながら、ちゃちゃみの心の声が漏れる。
「わからない。だが、必ず成功させて見せる。」
わたしにはそう言うことしかできなかった。
そして、この会話がまだ記憶に新しい日に、彼は木曜日の少年として現れた。
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