その日の夕飯後に、皆にお願いをしようという話になった。
なんと伝えればよいのだろうか。ある少年の心を知りたいから、彼をもう一度ここに呼びたいなどと言えば、馬鹿にされるのは目に見えている。だが、噓をついたところで、彼をここに呼ぶために念じる、という実験を伝えることができなくなってしまう。
正直にいったところで聞く耳をもってもらえない、嘘もつけない。どうすればよいのか。
私は今まで孤独でも全く構わないと感じていたし、事実、その意見はつい最近まで変わることはなかった。
だが、この場面になって初めて他者の力が必要だと感じてしまっている。いや、私はそもそも孤独などではなかった。ぴーたろうとちゃちゃみという素晴らしい仲間がいたのだ。私が本当に孤独だったとしたら、私は私でなかったとさえ思う。
と、また風呂敷を広げすぎた。今は、皆に協力してもらうために、どう伝えるかだけを考えるべきだ。食事も喉を通らない。
「あなたが今考えていることはわかるわ。正直に伝えればいいのよ。私達にしてくれたように。それで私達は協力する気になったじゃない。」
「そのとおりだよ~。」
当たり前のように私と接してくれていた二匹の存在を、これほどまでに暖かく感じることは今までなかった。否、当たり前すぎてこの暖かさに気づけていなかったのだろう。私は、そんな自分自身が猛烈に恥ずかしくなった。
「ありがとう。そうすることにしよう。」
二匹はぽかんとしている。私だって礼くらい言う。
「よし、行ってくる。」
「皆の者、実は折り入って頼みたいことがある---」
先ほど食べていなかったレタスを思い切り食べる。安堵は空腹を招くものなのだ。
明日からは総勢11匹の実験がスタートする。これだけ大規模な実験だ。あの少年もきっとまた来るだろう。
「エジソンがあんなこと言うなんてね。」
「うん、驚いたけど、僕も同じ気持ちだな。子どもたちの笑顔は大好きだもん。」
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