【完結】TS! 俺、女の子になってるっ? 魔法少女になった俺は、最強になって百合展開を楽しむようです

TS女の子×魔法少女 女の子になってファンタジー世界を楽しもう
静内
静内

第73話 ようやくの勝利

公開日時: 2021年2月4日(木) 22:13
文字数:2,031

「けど、止めない!」


 銃弾が俺に直撃。体が宙を舞う。正直きつい。もう一発食らったら終わりだと思う。

 けれど、それに似合うだけのリターンはもらった。


 その瞬間、俺の体と剣が今までないくらい強く光始めた。


 これで俺の攻撃の威力は2倍。これなら有利に戦える!

 そう思うだけで、力が湧いてくる。俺は両足に力を入れ、ゆっくりと立ち上がった。


 立ち上がる姿を見たミュクシーが驚愕し、一歩後ずさりをする。


「お前、どうして立ち上がれる」




「応用して、いたんだ。魔力を、ダメージ軽減に。お前の攻撃を耐えられるように調整してね」


 俺は攻撃を受ける直前、身体を纏う魔力を強化したのだ。それも、あの攻撃を見極めて、ミュクシーの攻撃を食らっても勝負が決まらないくらいの魔力を。


 もっとも口で言うほど簡単なことじゃない。少しでも観測を誤ればそのまま致命傷を食らい、回しすぎれば、攻撃の上昇幅が小さくなってしまい、攻撃の通りが悪くなってしまう。


 今までの勘と、魔力を目視で計測する戦術眼がなければできない芸当だ。

 そして俺は再び立ち上がり、剣をミュクシーに向けた。


「これで、威力はほぼ2倍だ!」


「ふん。器用なことをするねぇ~~」


 確かに手痛いダメージだった。けれど、これで魔力は倍になった。


 そして俺は一気に立ち上がり、ミュクシーとの距離を詰める。

 彼女が威嚇で銃弾を撃ってくるが気にしない。


 至近距離の乱打戦。俺は再び攻勢に出る。さっきより倍以上の威力。たとえミュクシーといえども簡単には受けきれない。


「ケッ、狂人が──」


 攻撃に出る。彼女が相手ということもあり、前に出すぎないように慎重にではあるが。


 徐々に押し始める俺。ミュクシーの表情から、余裕がなくなっていっているのがわかる。

 攻撃を受けるのに、精一杯という感じだ。


 攻撃を連打しながら、感じ始める。

 ミュクシー、確かにお前は強い。

 けれど、俺にはあって、貴様にないものだってある。


 お前と違って、絶対に負けられない理由がある。

 その差を、全力で味わってもらう。


「これで、勝負を決める!」


 俺はガードのことなど考えずに全力の攻撃を彼女に叩き込む。


 ミュクシーも、似たようなことを考えているのだろう。今までないくらい強力な魔力を纏い、俺に向かってきている。


 そして、両者は急接近した後、その武器を一気に相手に振り下ろす。


 ズバァァァァァァァァァァァァァァ──!


「ぐああああああああああああああ!」


「グハァァッ──」


 俺とミュクシーは相手に攻撃を与えたと同時に攻撃を受ける。

 互いに相手からの必殺技を食らう形となり、後方に吹き飛ばされた。



 そのまま両方とも闘技場の壁にたたきつけられ、地面に力なく落ちる。


 俺は、大ダメージを受け魔力が消滅。正直生きていただけ、ありがたい。そしてミュクシーがどうなったか気になり、視線を前方へ向けた。


 ミュクシーも、魔力が尽きたようだ。これで決着はついた。


 そう考えたとき──。


 ズルズル……。タッ!


 マジかよ……。ミュクシーはボロボロになりながらもゆっくりと立ち上がり始める。

 そして1歩1歩俺に近づいてきた。


 多少時間がかかったが俺の足元へ。

 腕をポキポキと鳴らし、叫びだす。


「さすがだよアグナム。だが、私にも意地ってもんがある。一発、殴らせてもらおうか」


 マジかよ。執念深いやつだな。


 そしてミュクシーが殴りかかろうとしたが──。


 スッ。


「お前たち。倒しちまったんかい……」


 俺とミュクシーの間に現れたのはサナとレテフ。2人が俺の前に立ちはだかる。


「私のアグナムに、指一本触れさせないわ!」


「うん。観念して、捕まりなさい!」


 2人は、ボロボロになりながらもまだ魔法少女として戦える状況。

 すでに戦えない。ボロボロになっているミュクシーでは、2人に勝つのは無理だろう。勝負はあった。


 ミュクシーが俺に話しかけてくる。


「なぜガードしなかったお前!」


「なぜって? する必要がないからだよ。お前を倒せばそれでいい。」


 今回はエンペラーカップのような1対1の大会とは違う。別に俺が無理して勝利する必要がない。


 貴様さえ止めれば、それでいい。俺が無視して勝つ必要はない。

 けれど、お前は違う一人で乗り込んだせいで。俺に勝利しなければいけない。


「お前の負けだ。ミュクシー、おとなしく捕まってくれ」


 ミュクシーは倒れこんだまま微笑を浮かべる。


「ああ、今回は私の負けだ。認めてやるよ」


 そして兵士たちが出て来た。まあ、幻虚獣を繰り出してきたのだから当然だ。ミュクシーを縄で縛り上げ、闘技場の外へ。


 その姿を見ながら、俺はつぶやいた。


「本当に強かった。ギリギリの戦いだった」


 恐らく次やっても勝てるかわからない。とても強い相手。

 それでも、勝つことができた。


 その事実にサナとレテフが喜んで俺に抱き着いてきた。



「アグナム。おめでとう。すごいわ」


「まあ、運が良かったからね──」


 俺は考えた。ミュクシーとは、敵味方抜きにしてまた会いたい。いろいろ話したり、戦ったりしてみたい。


 だから、また会おう!


 そして、俺はこの場所を去っていった。

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