「ただいま、レイ……」
「お帰り、お兄ちゃん!」宿屋に帰れば、笑顔に妹が待っている。
「どうしたの、お兄ちゃん?」俺の表情が少し暗いことを察したレイは銀色の長い髪を靡かれ、首をかしげる。
俺達には親がいない。
孤児院で育ち、17歳である俺が妹を連れて今は宿屋で暮らしている。
生計を立てるためにある冒険者のパーティーに入って剣士として生計を今まで立てていた。妹が魔導書が欲しいと言った時も買ってあげられるほどに……。
「あぁレイ、俺……パーティから追放されてな……」俺はレイにさっきの出来事を話す。
今日の朝にギルドに集合し、俺はリーダーから言われた。
「ルイス、あのな今日ルーウェルがフリーの剣士を連れてきたんだ。まぁ、その剣士が凄腕で二人か三人の強さを持っていて、これは滅多にない人材なんだ。だからルイス悪いがお前には……」
それ以降は思い出したくない。
人並以上の剣士が志願してきて、人数が多いと報酬が少なくなるということもリーダーはいい奴で全てしっかりと話してくれた。
俺は承諾するしかなかった……。
リーダーの後ろにいたルーウェル……貴族の息子なんだが、魔術にかけ、逆らえば何をされるかわからないんだ。
地位の上下で二人の時に文句をつけてくることもあった。
だからもう承諾し、俺はそこを立ち去った。
「そう、大変だったね……」
「あぁ、そうだこれ、もうお昼だろ」ここに帰る時に買ったパンをレイに渡す。毎日食べている少し塩の味がする格安のパンを二人で食べる。
「なぁレイ、俺の剣技って何がダメなのかな……」精神が半分砕けている俺は支える立場であるというのに妹に問い掛けてしまった。
だけど歳のわりに話し相手、いやそれ以上なのがレイだ。
一言で言うと天才であった。
魔導書を買って渡すと、一週間で全属性の初級魔法を覚え、俺に見せてくれた。
全属性の適正は稀の稀と言われ、その稀な人物が俺のすぐ近くにいるとは驚かなかったが、確かに言えることは俺の誇りだ。
「剣技……お兄ちゃんは動かなくても倒せるんだよ!レイは分かるよ、お兄ちゃんは全部食べちゃうんだから!」とレイは両手で空気の剣を掴み、ブンブンと振るう。
と、言っても12歳の妹はまだまだ子供だ。
こんな答えでも笑いが起こることはありがたい。
「ハハ、そうか。そんな剣士になりたいな……」
だが現実はそんなことはなく、これからの生計は一人でクエストを熟していくしかない。
お昼を終え、これからどうしようかと考え、ひとまずは一人で頑張ってみようと決断し、ギルドに行こうと立ち上がった。
その時、コンコンと扉からノックが聞こえ、開ける。
「よぉ、ルイスぅ!」気味の悪い表情を浮かべ、扉の前に貴族の息子ルーウェルが立っていた。
「な、何だルーウェル、何の用だ!」
「用?お前じゃねぇよ!俺様はお前の妹に用があるだよぉ!」
その瞬間、ルイスを蹴とばし、レイに迫る。
「あがッ――――」
「キャッ――――」ルーウェルはレイの腕を掴み、連れていこうとする。
だがレイも普通の子供ではない、無事な片手で火属性の初級魔法を発動をし、手に炎を見えた瞬間――
「だ、ダメだ!」ルイスが叫ぶ。
「あ、平民の貴様に貴族である俺様に命令するな!」とルーウェルはルイスの言葉に反応し、言い返すがルイスはルーウェルではなく、レイに言ったのだ。
「お兄ちゃん……」その理由、レイはすぐさま理解できた。
平民である二人が貴族に対して反発や攻撃を加えれば、問答無用で罰せられ、普通に死もあり得る今の世の中でレイがそれに走るのを止めたのだ。
そんなことでレイの人生を終わりにしたくなかったのだ。
お兄ちゃん……わかった。
だったら、私もお兄ちゃんに気付かせてあげる……。
レイは右手をルイスに向け、魔力を流す。
何をしているのか分からないルイスに何か変化が起こる。
ルイスの中にある力をレイは魔力で呼び覚まそうとしていた。
ずっと知っていた。
お兄ちゃんの中にある本当の力……今!
「が……」ルイスに痛みが走り、そして力が発現する。
「ふん、俺の蹴りが効いたか、じゃあこれ以上反論ができないようにもう一発いっとくか!」そう言い、ルーウェルが足を上げた瞬間、ルイスが物凄い速さでルーウェルとレイを突き放す。
「レイ、大丈夫か?」
「うん!」
「おい、お前!この俺様に!」
「ルーウェル、お前に妹はやるわけにはいかない。奪うのなら俺と戦え!」
この貴族を沈ませるには、明確は敗北が必要だ。
「ふん、いいだろう。俺の魔法と剣術で貴様を処刑してやる!おい、貴様らこいつらを連れて行くぞ!」そう言い、もう扉の前にルーウェルの騎士がいた。
そしてルイスは剣を持ち、レイは魔導書を抱きしめ、ルーウェルの屋敷へと向かった。
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