この満ち足りた匣庭の中で 一章―Demon of miniature garden― 【ゴーストサーガ】

匣庭は繰り返す。連続殺人ホラーミステリ、出題篇
至堂文斗
至堂文斗

Epilogue...?/?

『オカルト雑誌の記事より』

公開日時: 2020年11月10日(火) 22:58
文字数:861

 二〇一二年八月二日。××県光陽町満生台は、地図からその名前を消すことになった。あの忌まわしい災害から六年経った現在も、街のあった場所は復興されることなく、無残な姿を晒したままでいる。

 満生台と言えば、東京の某病院に勤め、名医と呼ばれることもあった牛牧高成氏が中心となって、医療新時代を牽引していくことを目的とし、『満ち足りた暮らし』をスローガンに掲げて開発の進んでいたニュータウンだった。

 その根幹である満生総合医療センターが完成、増築もされ、順調に発展していた街が、突如としてあのような最期を迎えることになってしまったことは、悲劇と言う外ないだろう。

 悲劇の日、八月二日は、満生台の発展に新たな一ページを加えるはずの日であった。電波通信機能向上のため建造された、満生塔という名称の電波塔が稼働する日だったからである。

 急速な発展ゆえに、住民たちからは反対も多かったという電波塔だが、それが稼働していれば、きっと満生台の明るい未来に寄与していたことだろう。実際、様々な施策により、小さな街は着実に人口を増加させていたのだから。一度は廃村になりかけた過去を持つ満生台が、真に生まれ変わる日も近かっただろうと思われる。

 しかし、一夜にして全てが無に帰してしまったことは、紛れもない事実だ。それは、或いは本当に、鬼の祟りなのかもしれない。

 鬼の祟りとは一体何のことだ。読者の皆様方は今、そう思われたことだろう。

 満生台には、地元住民に語り継がれてきた、三匹の鬼の伝承が存在したのだ。

 その伝承について調査した記事は殆どなかったが、当誌は満生台とともに埋もれてしまったその伝承について知ることが出来た。

 そこでこの記事では、あの災害について独自の目線、つまり鬼の祟りというキーワードから、紐解いていくわけである。

 さて、そもそも三匹の鬼とは――……



First episode 


-Demon of miniature garden-


The end.


And


Continue to the


-Moon of miniature garden-


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