駄菓子菓子。だがしかし。
現実は過酷だった。
山道は当たり前に険しい。何よりもうこれ道じゃない。道なき道を進んでいくのだ。
滑った先には崖があったり、絶対陥りたくないような泥沼(?)があったり。
急に神田がピタリと止まったと思えば、大きな声で歌わされたり。漫談させられたり。
って言うか、お前も歌えよ。喋れよ。ちなみにこの歌、歌うのやめると何が出てくるの? ねえ。そこに何がいるの?
高所のターゲットに近付くため、俺は土台になったり、木に登ったり。あっち行ったりこっち行ったり、気付けばところどころに擦り傷が出来ている。時には何か、蜂のようなもう少し大きい生物、とにかく#何か__・__#の群れに追いかけられたり。
あれなんだ? と向かってくる何かの一群を見ていた俺は「逃げて~」ととても逃避行動を促しているとは思えない声が真っ先に逃げ出したのを見て、その生物がいったいなんなのかを確認することも、叫び声を上げることすら出来ないままただひたすらに、そう必死に茂みを駆け抜け、洞穴みたいなところに逃げ込んだ。俺はもう酸素を求めてゼーゼーと肩を上下させながら荒い息を繰り返した。
神田、おまえ、注文が多すぎるぞ。山猫か。しかも難易度高↑↑↑
だいたい「逃げろ」ってなに? 生命の危機がすぐそこにあるならもっと早くに言って。命がいくつあっても足りないだろ……と、見れば神田はたいして息もあがってないようすで「いや~ あぶなかったね~ ピラニアみた~い」とわけのわからないことを言っている。
ピラニアってなんだよ。魚だろ? もうほんとわけわかんない。何よりわかんないのは、神田、お前の体力だ。本当に化け物ですか。
俺はがくりと首を落とした。
神田の採集箱に獲物が収められるたび――しかもそのほとんどが見たこともないような珍しい昆虫と……これ、ほんとに虫? 昆虫(?)だった――俺の疲労とかすり傷は増えていった。
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