──破滅回避の悪役令嬢── 転生令嬢、世界を救うため「書記長」というハズレ職業から冷たい戦いを制し、世界を二分する勢力の指導者にまで成り上がります

悪役令嬢×異世界転生 破滅から世界を守るため、もう一人の自分と行く異世界ファンタジー
静内
静内

第117話 闇商社

公開日時: 2022年6月15日(水) 21:10
文字数:813

(まあ、闇商社ならそんな感じでしょうね。出来るだけ、自分たちのことを隠そうとするでしょうし)


 センドラーの言葉通りだ。そんな感じなのだろう。これ以上は、望めそうにないか。


「とりあえず、尋問はこの位にしておくわ」


 センドラーはそう言ってため息をつく。どこか、疲れがあるように見えた。


(大丈夫?)


(何とかね。あまりのひどさに、いろいろと心配になって来たわ)


 同感だ。けれど、嘆いてばかりいられない。例え状況が悪くたって、自分にできる精一杯のことをする。ただそれだけだ。後は、ライナだ。何か、いい資料を見つけてくれるといいが。私はもう一度小屋に戻って、ライナがいた書斎に戻る。


 机で書類を確認していたライナに話しかける。


「ライナ、そっちはどう?」


「一通りチェックは終わりました。ただ、有力な情報になりそうなものはなかったですね」


 そう言ってライナは、いくつかの書類の束を私の前に置いた。


「これですね。ネクロノミコンのサインが入った書類は」


 使わなそうな書類を、何枚か頂いてく。紙からでも、何か分かるかもしれないから。言葉や書記、サインなどからでもわかることはある。


 それだけではない。亜人達の契約書。流石に頂くわけにはいかないので、証拠として借りるということにはなったのだが。


「まあ、こんなものね」


「そうですね」


「じゃあね。この後、数々の違反行為を裁くために、兵士とか呼ぶから。そしたらちゃんと償ってもらうから覚悟しなさい」


 ガルキフは、何も言わなかった。ただ何も言わずにうなだれている。言い返す言葉が、無いのだろう。後で必ず、これに対する罪は償わせる。そして、私はこの場所を後にしていく。


 信じられない光景を目の当たりにした。亜人の人たちが、酷い扱いを受けている姿。見ていて、胸が痛くなる。悲しい光景。


 けれど、へこたれてなんかいられない。強く拳を握って、前を向く。


 みんなが救われるようにするのだって、私の使命なんだから。





 数日後、私は次の行動に出た。

 

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