(まあ、闇商社ならそんな感じでしょうね。出来るだけ、自分たちのことを隠そうとするでしょうし)
センドラーの言葉通りだ。そんな感じなのだろう。これ以上は、望めそうにないか。
「とりあえず、尋問はこの位にしておくわ」
センドラーはそう言ってため息をつく。どこか、疲れがあるように見えた。
(大丈夫?)
(何とかね。あまりのひどさに、いろいろと心配になって来たわ)
同感だ。けれど、嘆いてばかりいられない。例え状況が悪くたって、自分にできる精一杯のことをする。ただそれだけだ。後は、ライナだ。何か、いい資料を見つけてくれるといいが。私はもう一度小屋に戻って、ライナがいた書斎に戻る。
机で書類を確認していたライナに話しかける。
「ライナ、そっちはどう?」
「一通りチェックは終わりました。ただ、有力な情報になりそうなものはなかったですね」
そう言ってライナは、いくつかの書類の束を私の前に置いた。
「これですね。ネクロノミコンのサインが入った書類は」
使わなそうな書類を、何枚か頂いてく。紙からでも、何か分かるかもしれないから。言葉や書記、サインなどからでもわかることはある。
それだけではない。亜人達の契約書。流石に頂くわけにはいかないので、証拠として借りるということにはなったのだが。
「まあ、こんなものね」
「そうですね」
「じゃあね。この後、数々の違反行為を裁くために、兵士とか呼ぶから。そしたらちゃんと償ってもらうから覚悟しなさい」
ガルキフは、何も言わなかった。ただ何も言わずにうなだれている。言い返す言葉が、無いのだろう。後で必ず、これに対する罪は償わせる。そして、私はこの場所を後にしていく。
信じられない光景を目の当たりにした。亜人の人たちが、酷い扱いを受けている姿。見ていて、胸が痛くなる。悲しい光景。
けれど、へこたれてなんかいられない。強く拳を握って、前を向く。
みんなが救われるようにするのだって、私の使命なんだから。
数日後、私は次の行動に出た。
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