キラキラと輝く粒子が舞う白い空を見上げれば、小型飛行機や羽の生えた人間、果てはドラゴンまでも、そびえ立つ無数の高層ビルの間を縫って飛んでいる。
視線を落とし広い道を眺めると、ちょんまげ頭の侍、甲冑を装備した騎士、スーツ姿のサラリーマン、狼頭の獣人、時代も世界観も全く違う人々が当然のように闊歩していた。
お察しの通りここは現実世界ではない。
ここは第二の世界。新時代の人々が生きる場所だ。
2155年。火星探索で発見された莫大な資源、核融合発電の実用化、火星のテラフォーミングの成功などにより以前の時代まで抱えていた問題を解決。アンドロイドの普及により経済は活発になると共に、働く人々に余裕を与えた。
その余裕が人々を夢へと駆り立てた。
巨大ロボに乗る、龍の背中を駆ける、思い通りの見た目になる、空を自由に飛ぶ……人々の多種多様な夢を現実にするために世界中の大企業が総力を結集し、5年かけて作り上げたのが第二の世界
この世界では自分の好きなようにデザインしたアバターで生活できる。実在する場所だろうと、実在しない場所だろうと、どこにだって行ける。魔法を使うことも、ロボットに乗ることもできる。
幻想と夢が仮想によって現実となる。
かつてこの世界の創造を主導した男はそんな言葉を残した。
実際にその通りなのだから、人々がこの世界に熱狂するようなるまで時間はかからなかった。
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