魔王の記憶:白髪少年の覚醒

AIマム
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1章

2話

公開日時: 2023年2月5日(日) 13:54
文字数:947


「凄い雨だな・・・。」


村人老人のガッシュは荷台引っ張る馬と一緒に王都から村に戻る最中であった。


「それにしても、ラビの娘の病気が治ってよかった。」


ガッシュは親友のラビをの娘を診るために、わざわざ半日かけて王都まで行ったのだ。

そのおかげで彼女の病の原因が判明して薬を渡せることができた。

最近南の方で増えている風邪と同じということもあり、対応を分かっていたため良かった。

薬を飲ませて様子を見ていたところ高熱も下がってきたので、このまま安静にしていればもう大丈夫であろう。


「しかし、この雨だと今日中に帰れるか不安だ。」


ガッシュは空を見上げながら呟いた。

大雨の影響であと数時間で川が氾濫していくことも想像できる。


「一刻も早く戻らなけねばな。」


ガッシュは馬の手綱を引いて前に進もうとすると、突然の雷鳴と共に、地面が震えた。


「うわっ!何だこれは!」


ガッシュは驚いて声を上げた。彼はこんなに大きな音を聞いたことがなかった。


「こんなところで地震か?」


彼は馬車を止めて辺りを見回した。

すると目の前に巨大な水柱が上がった。


「これは一体!?」


ガッシュは驚きながら水柱を見上げた。


生まれて初めて見る現象に思考が追いついていかない。


早く帰るべきか近づかないべきか迷った。


しかし、水柱はますます高くなっていった。


「これは危険だ!早くいかねば!」 ガッシュは馬を急かし、急いで村に帰ろうと思った。


その瞬間水柱が最初の勢いを次第になくしていき落ち着いてきた。


ふとその水柱の根本を見ると白髪の少年が倒れ込んでいるのが見えた。


「!?」


ガッシュはその姿を見て驚いた。 ガッシュは馬を止め、急いで少年のそばに走った。


彼は少年を水柱の中から拾い上げた。


「大丈夫か!?」


「・・・」


少年から反応はない。意識を失っている。


「呼吸はできているのか!?」


急いで呼吸音を確認した。


すると弱々しいが、かすかに呼吸をしている音は感じ取ることができた。


「良かった・・・。」


しかし、安心はできない急いで家に戻らねばこの少年の生命は容易にきえてしまうだろう。


ガッシュは馬を急いで走らせ、雨に打たれながら村に向かった。


「早く・・・。早く・・・。」


彼は少年がどこから来たのか、どうしてこんな状況になっていたのかと考えることはやめて、まずは少年を家に運ぶことに専念した。


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