【3巻発売&コミカライズ決定!】自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

48歳の主人公が異世界で12歳の少女になり、冒険者として生きるお話です
如月 雪名
如月 雪名

第282話 迷宮都市 地下14階 B級冒険者への昇格試験 1

公開日時: 2023年3月13日(月) 19:53
更新日時: 2023年8月14日(月) 00:06
文字数:2,356

 月曜日。

 これからダンジョン攻略をする前に、冒険者ギルドに行ってスキップ制度の申請をする。


 シルバーとフォレストも今日から一緒に行動だ。

 2匹を冒険者ギルド前で待機させ、私達だけで中に入る。


 冒険者ギルドに行く途中すれ違う人々が一瞬ギョッとし、首に付けられている従魔の首輪を見て安心した顔になった。

 周知されるまでは好奇心の目にさらされる事になるけど、噂は直ぐに駆け巡るだろう。

  

 3人だけで中に入り冒険者ギルドの受付嬢に、スキップ制度の申請をお願いした。


「昨日、ギルドマスターからスキップ制度が受けられると聞いて申請しにきました。直ぐに受けられますか?」


「はい。サラさん達は現在C級冒険者なので、地下10階での討伐の様子をB級冒険者の方に見て頂き合格判定をもらう事になります。現在地下10階を拠点にしているB級冒険者の方で、討伐の様子を見てくれる人に心当たりはありますか?」


「はい大丈夫です」


「では合格判定が出たら、この用紙に記入してもらいギルドカードと一緒に受付まで持ってきて下さい」


「ありがとうございます」


 私は受付嬢から、B級昇格試験検査結果と守秘義務の項目が記入された2枚の羊皮紙を受け取ってマジックバッグに入れた。

 

 討伐に立ち会った冒険者は、試験を受ける冒険者の討伐の仕方について守秘義務が課せられる。

 これは冒険者の身の安全を守るために必要な手続きだ。

 

 それでも金銭で情報を売る人がいるので、受付嬢は仲の良い冒険者に頼むよう勧めてくれたのだろう。


 地下10階を拠点にしている冒険者達は、全員知り合いなので特に問題ない。

 拠点にしていた時は頻繁ひんぱんに交流をしていたし、子供達の支援をしているので顔を合わせる機会も多いからね。


 いつもは冒険者ギルド前から出る乗合馬車でダンジョンまで行くんだけど、今回から従魔じゅうまに騎乗して移動する。

 

 私はシルバーに、兄と旭はフォレストに騎乗する。


 フォレストは成人男性2人を乗せて走る事になるので、少し可哀想かわいそうな気もするけど体長3mもある魔物なので2人を乗せても平気らしい。


 子供なら5人以上は乗れそうだ。


 土曜日の午後。

 兄達は、自宅近くにある小学校のグラウンドで騎乗練習をしたそうだ。

 乗合馬車に比べると段違いに早い。

 通常30分の距離を10分で移動した。


 ダンジョンに入った後、階段まで一直線に地下1階から地下10階まで駆け抜ける。

 安全地帯に着くと、顔見知りの冒険者達が全員集まってきた。


 2匹の従魔が珍しいんだろう。

 皆が興味津々の様子で見ている。

 

「サラちゃん、昨日従魔登録をしたんだって? その2匹がそうなのか?」


 ケリーさんに聞かれて、昨日の話なのにもう知っている事に驚いた。

 きっと冒険者ギルドに居合わせた人が噂をバラまいたんだろう。


 クランメンバーは毎日1階層下の配達を請け負っているので、ダンジョン内にいても情報が直ぐに回る。


「はい、シルバーとフォレストです」


「こっちの迷宮タイガーは分かるが、もう1匹は色が違うな」


「ええシルバーは、ゴールデン・・・・・ウルフなんです」 

 

ゴールデン・・・・・ウルフ!? まぁ詮索せんさくはしないが……綺麗な毛並みだなぁ。ところで今日は、地下10階にどうしてきたんだ?」


「スキップ制度でB級昇格試験を受けるためです」


「あぁ、すっかり忘れてたがサラちゃん達はまだC級冒険者だったか。じゃあ俺が討伐の様子を見てやろう」


 ケリーさんが親切に言ってくれたので、お願いする事にした。


「ありがとうございます。これから、お時間ありますか?」


「ああいいぜ。そうだな、1人1匹ずつ指定した魔物を討伐してもらうか」


 そう言うとケリーさんはメンバーに待機しているようにと伝え、一緒に安全地帯を出た。

 

 私達と一緒に地下12階まで拠点を移動してきた5パーティーは、3ケ月毎に次の階層に移動する私達についてこれなくなり再び地下10階に戻っている。


 ケリーさんも、その5パーティーのリーダーの1人だ。

 桃の賭け事では大損し、20年振りに父親との再会を果たす事が出来たので印象が強い。


 最初は兄がワイルドウルフの討伐の様子を見せる。

 いつものように眉間にライトボールを撃ち込んで終了。


 次は旭がアラクネの討伐の様子を見せる。

 上半身が人型の女性の姿をした蜘蛛くもだが、こちらも眉間にライトボールを撃ち込んで魔石を取り出し終了。


 最後に私がナイトメア(男性体)を昏倒させ、魔石を抜き取って終了。


 良かった~。


 地下10階の魔物で、私が魔石が取れない唯一のアラクネが旭に当たって。

 アウラウネは植物系の魔物だから問題ないんだけどね……。

 

「皆一瞬か……あざやかなもんだな。魔法使いはうらやましいよ。文句無しの合格だ! というか俺が見る必要があるのかこの試験?」


 ケリーさんは、私達の討伐の様子を見て合格判定を出してくれた。

 まぁ3人が魔法を使って瞬殺しているのだから、武器を使用して倒す冒険者より有利な事は間違いないだろう。


 討伐に掛かる時間がかなり違うからね。

 それに試験の魔物も私がマッピングで索敵して探しているので、ここまで30分くらいしか経ってない。 


「ありがとうございます」


 ケリーさんに、B級昇格試験検査結果と守秘義務の項目が書かれた羊皮紙2枚にサインをしてもらう。

 立ち会ってくれたお礼に、地下14階で採取した2色のキウイフルーツを6個手渡すと大変喜ばれた。


 簡単な立ち合いで、地下14階の貴重なダンジョンの果物を手に入れたと笑っている。

 今夜の夕食にメンバーで頂くよと言い、その場を離れていった。


 あっ!

 キウイフルーツのカットの向きに注意する事を伝え忘れちゃった。


 まぁ、口に入れば同じだからいいか。

 でもあの模様も独特で綺麗だから、見てほしかったなぁ~。


 その後、私達は地下1階まで駆け上がりシルバーとフォレストに騎乗して、そのまま冒険者ギルドに直行した。


 早くB級冒険者のギルドカードを見てみたい!

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