【3巻発売&コミカライズ決定!】自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

48歳の主人公が異世界で12歳の少女になり、冒険者として生きるお話です
如月 雪名
如月 雪名

第339話 迷宮都市 迷宮都市の子供達へのプレゼント&製麺店でのお礼

公開日時: 2023年4月11日(火) 12:05
更新日時: 2023年8月20日(日) 23:19
文字数:2,005

 年齢順に並びスヌード・イヤーマフ・腹巻・ポンチョを渡された子供達は、隣りで身に着け方を実演している兄達を真剣な表情で見て防寒着を見本通りに着ていった。


「暖かいね~。耳も首もふわふわだよ! お姉ちゃん、ありがとう~」


 スヌードとイヤーマフを付けてもらった子供達が、はしゃいで私に見せに来る。

 防寒具や防寒着を付けた姿がとても可愛い。


 着ぐるみパジャマを着せたいなぁ~。

 あれは子供だけの特権だ。


 アマンダさんは、超絶似合わなかったよ……。


 あの見ていた冒険者達の絶句した表情が雄弁ゆうべんに物語っていた。

 亀の着ぐるみパジャマと演舞の衣装は本人達にあげたけど、アマンダさんは二度と着ぐるみパジャマを着ないかもね~。


 演武の衣装は好評だったから、また着て子供の前で披露してくれるかも知れないな。


 母親達にはポンチョではなくセーターを編んでもらったので、私が編んだチョッキと一緒に渡すと大変喜んでくれた。

 子供達と御揃おそろいのスヌードとイヤーマフにも感激していたよ!


 自分の娘・息子達には、サヨさん達に教わりながらポンチョを編んだらしい。


 最後に、全員でマイムマイムを踊ったら本日のイベントは終了。

 今日も子供達は大満足だったようで別れ際、口々に感想を言ってくれる。


「お姉ちゃん、演劇楽しかった~」


「僕タートル見たの初めて~、見せてくれてありがとう!」


「旭お兄ちゃんの剣舞、格好良かったよ~」


「お姉ちゃんの扇舞、綺麗だった~!」


「また、とうもろこし食べさせてね!」


「今日もお腹一杯食べたよ! またご褒美ほうび貰えるように、ちゃんと【約束】守って生活するね」


 兄がお土産にみかんを配り、子供達に手を振って別れた。


 皆が楽しんでくれたようで私も嬉しい。

 劇も、今回は大成功? と言って良いかもね。


 物語2本に冒険者達の剣舞と槍舞・旭の剣舞・私とリリーさんの扇舞。

 娯楽の少ない異世界では、本当に貴重な体験だ。


 その後、初めて食べる『とうもろこし』の味に驚きながら『バーベキュー』をお腹一杯食べていた。

 最後は、見た事もない防寒具と防寒着のプレゼントを貰い満面の笑顔で帰っていく。


 年長者が、眠たくなってしまった子供を抱き上げあやしている。

 その姿を見て、家まで送る途中だった冒険者の男性が交代を申し出たようだ。


 う~ん、まだ1歩出遅れているらしい。 


 さて最後は、『製麺店』の従業員にセーター・スヌード・イヤーマフのプレゼントだ。

 露店に買い物に行ったり『肉うどん店』へうどんを届けたりと、外出する機会が多いので暖かい恰好かっこうで行ってほしい。


 本来なら店は日曜日で休日だったけど、頑張ってくれたサヨさんの知り合いにどうしても『うどん』をご馳走したくて、夕方店を開けてくれるようお願いしておいた。

 

 今回は店で出すメニューじゃなく、この時期に食べたくなる『五目あんかけうどん』を出す予定。


 あんかけは、うどんが冷めないから最後まで熱々の状態で食べられる。

 野菜もたっぷり入っているし、冬にぴったりのメニューだ。


 兄が学生の頃、夜食に何度か作ってあげた。

 体が温まると美味しそうに食べてくれたなぁ。


 製麺店に入ると、バスクさんが出迎えてくれた。


「オーナー、そちらの方々がお世話になった人達ですか?」


 私の後ろからサヨさんを筆頭に、続々とお店に入ってくる老婦人を見て少し驚いている。


「ええ、皆さんのセーターも編んでくれたんですよ。他にも防寒具を渡すから呼んできてもらえませんか?」


 バスクさんは一瞬、私の言葉に身じろぎした後「分かりました」と言って皆を呼びに行った。


 ?

 

 何か変な事を言っただろうか?


 サヨさん達には席に座り待っていてもらう。


 数分後、従業員達が1階に降りてきた。


「今回、皆さんのセーターを編んでくれたボランティアの人達です。お礼に、うどんを食べに来てもらいました」


 そう言って紹介すると、従業員の1人が唖然あぜんとした表情で声を漏らす。


「母ちゃん……。どうして……」


「あら嫌だわ、音信不通の不肖ふしょうの息子がどうしてここに居るのかしら?」


「……連絡出来なくてごめん。俺、へまして腕を失ったんだ。親父に反対されて冒険者になったから、家に戻りづらかったんだよ」


 老婦人は、息子が片腕になっている姿を見て涙ぐみ始める。

 数年振りに会った息子の腕が無くなっていた事に、母親としてショックを隠せないようだ。


「あんたって子は、どれだけ親に心配かければ済むの。ちょっとこっちに来なさい!」


 従業員はトボトボと母親の前に行き、耳を引っ張られて店の外に連れ出されてしまった。


 なんかもうビックリだ。

 偶然だけど、サヨさんの知り合いがうちの従業員の母親だったらしい。


 しかも怪我をしてから音信不通で家に帰っていないとか……。

 他の従業員達は大丈夫かしらと思い皆の表情を見ると、何人か顔をうつむけている。

   

 う~ん。


 他にも親に心配をかけたままの人がいそうね。

 怪我をし、冒険者を続けられなくなってしまった事が恥ずかしいのだろうか?


 命が助かっただけでも充分ありがたい事なのに……。

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