【3巻発売&コミカライズ決定!】自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

48歳の主人公が異世界で12歳の少女になり、冒険者として生きるお話です
如月 雪名
如月 雪名

第784話 迷宮都市 地下16階&地下17階の果物

公開日時: 2024年5月12日(日) 13:21
更新日時: 2024年9月3日(火) 13:43
文字数:2,273

 周囲のソルジャーアントから魔石を抜き、襲撃がなくなったので早崎さんに魔石取りをお願いする。

 B級冒険者のスキップ制度では、魔石取りが必要な魔物が多い。

 一応、出来るように練習してもらおう。

 最初に収納したソルジャーアントを8匹出し、解体ナイフを手渡した。

 旭が手本を見せたあと、早崎さんが真似る。

 胸部を切り裂いた途端とたん、何か変な汁が出てきたよ……。

 中に手を突っ込み魔石を取り出している。


 特に嫌がりもせず行っているから、問題なさそうだ。

 一応、哺乳類も出しておこう。

 ゴブリンを2体出し、旭に手本を見せてもらい早崎さんへお願いした。

 昆虫と違い、こちらはしっかりと内臓があるし出血もする。

 難易度は高めだ。

 私はいまだに苦手だけど、事件の凄惨せいさんな現場や司法解剖に立ち会った経験がある彼は、顔色も変えず魔石を取り出していた。

 魔物はアイテムBOXに入っていたから、腐敗してないだけマシなんだろう。

 しずくちゃんとお母さんがバナナの採取を終えた頃、兄が戻ってきた。

 ランダムに生るスナックパインを発見し、全て採り終えたと満足そうに笑っている。


 迷宮アリゲーターを倒しに川へ向かおう。

 旭が嬉々ききとしてサンダーボールを水面へ打ち込むと、体長4mの魔物が浮かび上がる。

 兄が眉間にライトボールを撃ち絶命させた。

 ワニを見た雫ちゃんは、爬虫はちゅう類が苦手なのか旭の背中に隠れている。

 長い口には鋭い牙が沢山生えているから、恐怖を感じても仕方ない。

 私も日本で一緒のおりに入れられたらパニックになりそうだ。

 皮は貴族に人気があるらしく、高級鞄の素材として使用される。

 肉も食べるんだろうなぁ……。


 まだクインアントを発見していないけど、出現率が低そうだから私とあかねは別行動しハニー達のもとへ移動した。

 薬草を回収して地下17階の安全地帯でテントを設置後、果物をマッピングで探す。

 木に赤い実が付いているのを確認して、拡大すると苺だった。

 視界に映る範囲全てを収穫する。

 アイテムBOXから取り出すとてのひらサイズの大きさがある。

 これは、またデカイな~。

 1個食べただけで満足出来そう。


 ランダムに生る果物は何かしら? 目をらして、広い階層内をくまなく調べる。

 30分後、発見したのはメロンだった! 編み目模様が美しい、マスクメロンかな?

 大きさはスイカサイズで大興奮だ。

 これは半分に切り、スプーンで食べる夢のような食べ方をしたい。

 メロンは兄も好きなので喜ぶだろう。


 昼食を実家で食べ、いつきおじさんを連れ摩天楼まてんろうダンジョン32階へ移転。

 こちらも、31階から32階へ移動する。

 私が安全地帯から出ずテント内で魔物を倒すので、兄が攻略進度を変更してくれたのだ。

 ポチを肩に乗せた樹おじさんは、父と泰雅たいがに2人乗りし嬉しそうに駆け出していく。

 午前中、ダンジョンを攻略出来ず暇だったのだろう。

 シュウゲンさんは玄武げんぶ甲羅こうらを武器にするため、しばらくダンジョンへ行かないらしい。

 

 父が戻ってきたので、階層は移動せず大人しくテント内にいる。

 今日が初日の早崎さんは、旭家と一緒にいるから心配ない。

 かなで伯父さんが、危険だと思ったら何とかしてくれるはず

 早崎さんのLv上げ用に生きたまま魔物を収納し、空いた時間で料理する。

 茜はDVDプレイヤーで、13年の間レンタルになった映画を見ていた。

 2回の攻略後、樹おじさんをホームに帰して迷宮都市ダンジョン地下16階の安全地帯へ戻る。


 2パーティーとの夕食時、知らない冒険者がやって来た。

 地下16階を拠点にしている人だろうか?

 アマンダさんのクランメンバーらしく、彼女に耳打ちしている。

 それを聞いたアマンダさんは、ちょっと席を外すよと言い離れていった。

 何かあったのかな? 夕食を食べ終えても、アマンダさんは戻らず心配になる。

 彼女のメンバーはリーダーが不在で、どこか落ち着かない様子だった。

 

 翌日、火曜日。

 アマンダさんの姿を見てほっとする。

 何があったか分からないけど、ダンジョン攻略を中止する程ではなかったらしい。

 挨拶を交わし攻略に向かった。

 ガーグ老に地下15階までの魔物を倒していいと許可を貰ったから、私は地下12階で槍のLv上げを行う。

 兄は単独で地下11階から果物採取に行った。

 どんどん階層が増えるので大変だな。

 

 地下12階のリザードマンソルジャー相手に槍を突き出す。

 Lvが100を超えたお陰か、私の方が魔物より速い。

 HPが増えたので、付随ふずいする各種能力も上がったんだろう。

 槍無双出来る気がしてきたよ! シルバーに騎乗しながらだけど……。

 従魔から降りて戦う必要はないからいいのだ。

 シルバーとは一心同体。

 私の意識を読み取り行動してくれるので、呼吸もピッタリ。

 リザードマンソルジャーを倒し、ドヤ顔している私に皆が微笑ましい視線を送る。

 何だろう、強くなった気がしない。

 

 3時間後、地下16階の安全地帯へ戻るとテント前に怪我人がいる。

 ソルジャーアントに腕をみ付かれた男性冒険者だ。

 死んでも口を離さないため、首を落とした状態で腕に着けたまま来たのか……。

 普段は噛みつかれた部分の肉をぎ落し、切り離すらしい。

 旭が治療に当たり、魔物の口へ両手を入れ上下に引っ張る。

 Lv50ある旭は、この世界の冒険者より力が強い。

 見た目が小柄で童顔な旭が、魔物の口を開けたのに怪我人が驚いていた。

 素早く水を掛け治療すると、傷跡も残らず肌は元に戻った。


「ありがとう。その……、お礼を受け取ってくれないか?」


 若干じゃっかん、頬を染める冒険者からのお礼は例のアレか……。


「要りません!」


 狼狽うろたえる旭に代わり、速攻で雫ちゃんが断っていた。

 もう、いつになったら自分で断れるようになるの?

 妹に助けられるなんて情けないわよ!

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