これは駄目だと思い、雫ちゃんへ縄を1本にしてはどうかと提案する。
このままだと、ルシファーはずっと縄に打たれ続ける事になりそうだよ。
それじゃ、あまりにも可哀想だ。
雫ちゃんは「仕方ないなぁ~」と笑い、その代わり1本で跳ぶ回数を20回に変更。
1本になったので、私とシルバーも試してみた。
タイミングを合わせ、回っている大縄の中に入る。
シルバーは縄の動きに反応し、楽しそうにジャンプしていた。
2本の縄で失敗したルシファーは、1本の縄が回る動きに合わせ慎重に中に入る。
今度は打たれず20回跳べた。
続いてセイさんが綱引きの勝負を持ちかける。
見た目が華奢な彼に勝てると思ったルシファーは、樹おじさんにアピールするため勝利宣言をした。
大縄の中心に赤いリボンを結び、半分以上引けたら勝ちとしスタートの笛を吹く。
笛を吹いた瞬間、ルシファーは縄と一緒に引きずられ速攻で負けた。
理由が分からない彼は唖然となり、次に勝つと言った手前、呆気なく負けたのが恥ずかしくなったのか顔を真っ赤にする。
うん。きっと誰も勝てないから、そんなに落ち込まなくていいと思う。
見ていたメンバーの男性陣全員とセイさんが、何故か綱引きを始める。
1人対7人って……いくら何でも卑怯じゃないかしら?
それでも結果はセイさんの圧勝だった。
ルシファーは皆が踏ん張り切れず、引きずられる姿を顎が外れるくらい口を大きく開け見ている。
セイさんは本当に力が強いらしく、これには私も驚いてしまった。
兄は竹馬を用意して、庭を一周しろと指示する。
ルシファーは何度もバランスを崩して竹馬から落ちながら、なんとか一周した。
明日は全身が痣だらけになってそう……。
旭はバスケのゴールポストを出して、ダンクシュートを決めさせる。
HPが上がり筋力が増えた旭は、お手本を華麗に見せて雫ちゃんから格好いいと称賛され照れていた。
バスケの経験がないルシファーはドリブルするのに苦戦し、ダンクシュートはジャンプ力が足りてない。
時間が掛かりそうだと思った旭が、レイアップシュートに変更。
最初から、そうしてあげればいいのに……。
雫ちゃんといい、父親が好きなルシファーが嫌いなのかしら?
最後に雫ちゃんのお母さんが、子供達の意地悪に悪いと思ってか妖精さんに作った料理を食べさせた。
あっ、それは一番酷いお願いだよ!
異世界では食事が不要なルシファーだけど、食べられないわけじゃないようで何も警戒せず口にする。
彼に渡したのはマスタード増し増しのサンドイッチだった。
一口食べたあとで悶絶し、にこにこ笑っている雫ちゃんのお母さんを見て怯えた表情になる。
涙目になりながら最後まで完食すると、直ぐ異界へ帰ってしまった。
水曜日、木曜日もガーグ老の工房の庭でルシファーを召喚して、皆と契約を済ませる。
武闘派組は筋トレを、それ以外のメンバーは毎回違う内容を願っていた。
次の爵位に必要なMPは増えたかな?
「ルシファー、爵位は上がった?」
「伯爵になった。侯爵は30,000の魔力が必要だが、残りは28,000だな。それとLvが50になるのが条件だ」
1日の契約で増える魔力は4,650だから、あと6日必要か……。
100足りない分は、私が250の契約をすればいい。
Lvに関しては摩天楼のダンジョンで魔物を倒してもらおう。
「今のLvを教えてくれる?」
「……Lv20」
少し言い辛そうだったのは、皆のLvより低いと分かっていたからだろう。
翌週もダンジョン攻略を中止して、6日間ルシファーの爵位上げに付き合った。
水曜日には私の希望した侯爵になり、木曜と金曜にセイさんが摩天楼のダンジョンでLv50まで上げる事にした。
セイさん以外のメンバーは4日間連休になる。
迷宮都市から摩天楼のダンジョンまでセイさんは飛翔魔法で移動し、冒険者が活動しない夜間に50階までルシファーを召喚するそうだ。
土曜日には、私と青龍の巫女を奪還する契約が出来るかしら?
2日間空いた連休で何をしようかと考えていたら、樹おじさんがLv上げをしたいと言う。
丁度いいので、早崎さんと一緒に魔物を倒してもらおう。
ホーム内の広いグラウンドで早崎さんには摩天楼ダンジョン31階の魔物、樹おじさんには99階の魔物を出す。
2日間で早崎さんはLv50、樹おじさんはLv70になった。
前からおじさんは、やけにLv70に拘っていたけど念願だったのかとても嬉しそう。
これで問題なくなったと両手を上げ、バンザイしている。
一体、何の問題が……?
Lv上げの様子を見にきた父が、樹おじさんの肩を良かったなと言い叩いていた。
2人の様子に疑問を感じながら竜の卵に魔力を与え、その日は就寝。
翌日、土曜日。
父と樹おじさんと一緒に異世界の家へ移転して、戻ったセイさんと再会。
ルシファーを召喚して、アシュカナ帝国に攫われた巫女を奪還する契約を交わす。
今回、契約の対価には魔力300を提示する。
侯爵になったルシファーは、樹おじさんに胸を張り必ず連れてきますと豪語した。
いや、契約者は私なんだけど……。
まぁ、本人がやる気になっているならいいか。
初めて会った時より、かなり体格が良くなっているのは武闘派組に課せられた筋トレの成果だろう。
元々、顔立ちは整っているのでルシファーの名前に恥じない青年になったと言える。
年齢が若いから、まだ威厳はないけど年を重ねれば父親のようになるかしら?
不器用さも色々な契約を達成したので少しは改善出来たと思う。
ルシファーに1人でアシュカナ帝国へ行けるか確認すると、一度でも魔族を召喚した場所なら何処にでも移動出来るそうだ。
前回、青龍の巫女を攫ったのはアシュカナ帝国人なので、その際使用した召喚陣へ移転するらしい。
私達には消えて見えなくなる召喚陣だけど、魔族が痕跡を感知出来のは都合がいいな。
ルシファーが移転するのを見送ったあとは、吉報を待とう。
ただ短期間で男爵から侯爵へと上がった分、実力不足は否めない。
最悪、契約を実行する途中で死んでも本体は異界にあるから大丈夫かな?
少々、人でなしな事を考えつつ彼が頑張ってくれるのを祈った。
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