翌日以降、沙良と一緒にドラマを見るようになり冒険者ギルドから足早に出て直ぐにホームの自宅に戻るので、依頼された男は俺達を捕捉する事は出来なかった。
そして韓国ドラマの歴史物は話数が多い。
1ケ月後には男も割に合わない仕事だと思ったのかいなくなり、奴隷商も次の人間を送ってくる事はなかった……。
俺はこれ以上、人を手に掛ける事がなくなってどこかほっとしていた。
覚悟を決めていても、禁忌の念が消える訳じゃないからな。
沙良が韓国ドラマを見ていたお陰で、危ない思いをする事なく半年が経過。
年齢もひとつ歳を重ね、ミリオネの森で停滞していたＬｖも上がった。
【現在のステータス】
リーシャ・ハンフリー16歳
レベル 13
ＨＰ 672
ＭＰ 672
魔法 時空魔法（ホームＬｖ13・アイテムＢＯＸ・マッピングＬｖ13・召喚）
魔法 火魔法（ファイヤーボールＬｖ3）
魔法 土魔法（アースボールＬｖ3）
魔法 水魔法（ウォーターボールＬｖ3）
魔法 風魔法（ウィンドボールＬｖ3）
椎名 賢也19歳
レベル 13
ＨＰ 700
ＭＰ 700
魔法 光魔法（ヒールＬｖ7・ホーリーＬｖ5・ライトボールＬｖ7）
魔法 火魔法（ファイヤーボールＬｖ3）
魔法 土魔法（アースボールＬｖ3）
魔法 水魔法（ウォーターボールＬｖ3）
魔法 風魔法（ウィンドボールＬｖ3）
Ｌｖが13になって、2人とも4属性の魔法Ｌｖが3になった。
Ｌｖ30までは、まだまだ時間が掛かりそうだ。
この半年間で、例の卵型を全種類制覇した。
1ケ月に1個ずつ試してみた訳だが、俺は最初の物が一番良かった。
預金を使えるようになったら、高価なバージョンを是非購入したい。
いや～いい時代になったなぁ。
俺が思春期の頃に、この商品が欲しかったよ！
学生のお小遣いで充分手に入る金額だ。
おっと、年齢制限（18禁）があったらしい。
？
この商品に年齢制限を設ける意味は何だ？
若い時分にこそ必要だろうに……。
避妊具（年齢制限なし）の扱いと、どう違うんだろうなぁ。
本屋以外にも、半径13kmで行ける範囲にある店を開拓しようと探してみた。
なかなか無料で楽しめるような所はなく、休日の日曜はジムに行くか本屋に行くかの2択のみ。
沙良のアパートに住んでいた住人が持っていた釣り竿をもらったが、生憎と釣りの経験は無い。
学生時代は勉強に明け暮れていて、俺は趣味の時間を持つ事が出来なかった。
外科医になってからも緊急で呼び出される事が多く、院長の付き合いでゴルフをかじった事があるくらいだ。
学生時代やっていたサッカーも、ここじゃ1人で出来ないしなぁ。
1人でドリブル……虚しすぎる。
妹は誘っても一緒に遊んでくれないだろう。
スポーツ全般、特に球技は苦手だと言っていたから付き合わせるのも悪い。
旭や双子の弟達がいれば、テニスやバスケが楽しめたんだが……。
旭は意外と運動神経が良かった。
学生時代はバスケの主将までしていたくらいだ。
その代わりテストの成績は振るわなかった。
本当に、あいつを医大に合格させる事が出来た自分を褒めたいくらいだ。
俺は、かなり優秀な家庭教師だったと思う。
まぁ雫ちゃんの事があって、旭は切羽詰まった状態だったから頑張れたんだろう。
沙良は休日、自転車で近場の店に出かけている。
大抵は本屋の帰りに喫茶店でのんびりしている事が多い。
そういえば以前、沙良がお勧めしてくれた生クリーム大盛の店に入った時の事だ。
会計をする際、お金を入れる所にコーヒーチケットを突っ込んで返却されていたな……。
回数券が無駄になったと嘆いていたが、俺はその残念な思考回路を持った妹に泣きたくなったよ。
考えたら分るだろうに。
そこまで『手紙の人』は想定していないと思うぞ？
他にもポイントを溜めているカードが幾つかあって交換出来なかったと落ち込んでいたが、その後行ったドラッグストアーのセルフレジにポイントカードを通す機械があったらしく、ポイントが無駄にならなかったと喜んでいた。
俺は密かに『手紙の人』が、ホーム内の仕様を変更したんじゃないかと思っている。
俺達の事を、どこからか見ているんじゃないだろうか……。
謎過ぎる『手紙の人』は神様的な何かではない事は確かだが、一体どういう理由で沙良を異世界に転移させたのか分からないままだ。
いつかその理由が明かされる日が来るんだろうか……。
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