シルバーに続き、ハニーがクインビーへ進化したようだ。
それに伴い、コロニー全体もキラービーからキングビーへ進化を遂げたのかぁ。
そうなると、地下13階じゃなく出現階層の地下14階へ引っ越しした方がいいかも知れない。
一応ステータスを確認しておこう。
●ハニー Lv50(消費MP170)HP500/MP500 クインビー(雌)
使用魔法 なし 現在のコロニー キングビー72匹
おぉ、ちゃんと雄から雌に変化している。
これならシルバーも雌になれるだろう。
そしてコロニーの数が66匹から72匹に増えていた。
「ハニー! クインビーに進化おめでとう! 頑張ったね~」
私はハニーを褒め、頭を撫でてあげる。
褒められたのが嬉しいのか、ハニーは翅をパタパタと動かし喜んでいた。
「今から階層を移動するから、コロニーのキングビー達を呼んでくれる?」
そうお願いしハニーが触角をピコピコと動かした瞬間、上空にキングビーの大群が現れる。
相変わらず統率の取れた動きだ。
「じゃあ、アイテムBOXに入ってね!」
ハニーとコロニー72匹を収納し地下14階へ移動するため、父と奏伯父さんに声を掛けようと後ろを振り返ると、2人はあんぐりと口を開け固まっていた。
「お父さん。ハニー達が進化したから、地下14階に引っ越しするよ」
「本当に進化したのか……」
「何で、コロニーまでキングビーに進化してるんだ!? 有り得ない!」
奏伯父さんが絶叫し、父に肩を叩かれている。
「ハニーがクインビーに進化したからじゃない? コロニーがキラービーだったら、おかしいでしょ?」
クインビーとキングビーはセットだ。
驚いているところ悪いけど時間が勿体ないので、さっさと地下14階へ移転しアイテムBOXからハニー達を出してあげた。
「また、薬草採取をお願いね!」
ハニーから受け取ったマジックバッグの中身を収納し傍にいたキングビーの首へ掛けると、私の言葉を聞いたコロニーが薬草採取へと飛び立っていった。
いや~、優秀な従魔で助かるなぁ。
『毒消しポーション』と『MAXポーション』に必要だから、薬草はどれだけあってもいい。
あっ、樹おじさんにマジックバッグを作製してもらおう!
Lv10で作れるのはマジックバッグ10㎥だけど今週中にはLv20に上がると思うし、72匹にマジックバッグ20㎥を渡せば薬草も沢山採取出来るわよね~。
そうなれば、またポーションの価格が下がる可能性があり、ポーションが安く購入出来れば子供達が怪我をしても安心だ。
既に迷宮都市では銀貨3枚(3万円)から銅貨5枚(5千円)になっているけど、それでも子供達にはまだ高いし銅貨1枚(1千円)くらいなら、もっと気軽に使用出来るだろう。
攻略休みの土曜日に樹おじさんへお願いしようと決め、地下5階で槍のLv上げに励んだ。
どうせなら一番美味しいハイオークを優先的に狩り、ゴブリンは魔石取りが面倒だから無視しよう……。
3時間後、地下15階の安全地帯へ移動しテントからホームに戻り、実家で母が作ってくれた昼食を食べながら、樹おじさんへ土曜日は午後から時間を空けてほしいとお願いする。
「なんだ? どこか一緒にいくのか?」
やけに嬉しそうなおじさんへ、マジックバッグの作製を依頼したいと伝えた。
魔道具の中でも一番高額なマジックバッグは、沢山購入するとかなり金額が必要になるから、無料で作製出来るその能力を是非使って下さい。
「マジックバッグは、幾らぐらいするんだ?」
「今、私達が持っている30㎥の物でも金貨410枚(4億1千万円)しますよ」
「4億円!? 俺は、マジックバッグを売れば左団扇で暮らせそうだなぁ」
「樹。空間魔法持ちは、国に保護され秘匿される人間だ。下手に販売なんかすれば、速攻で捕まるぞ?」
「えっ! そうなの? なら金儲け出来ないのか……。結花や尚人のアイテムBOXの方が便利な気がする」
マジックバッグが売れないと分かり、樹おじさんはがっかりしたらしい。
「それでも、私達が使う分には購入しなくて済むから助かるよ! 樹おじさんは、マジックバッグを持ってないでしょ?」
「あぁ、そうだ。今は持ってないんだった……。試しに1個作ってみるか」
実家にあった適当な鞄に樹おじさんが空間魔法を掛け、父がそれを鑑定しマジックバッグになっている事を確認した。
「1個作製するのに、Lvの10倍MPが必要みたいだ」
Lv10でMPが100必要なら72個でMP7,200だけど5日間でLvが上がれば、もっとMPが掛かるかも知れない。
MP0になって昏倒しないよう、ステータスを見ながら作製してもらわないといけないな。
マジックバッグになった鞄を、母が嬉しそうに持っていた。
異世界のマジックバッグは大きくて使い辛いから、日本製の鞄は普段使いに丁度いいみたいだ。
買い物も鞄の重さだけで持ち運べるから役立ちそうだし、これからお腹が大きくなる母も重い荷物を持たなくて済むのは助かるだろう。
マジックバックの規格が統一されているから難しいけど、子供達にも渡してあげたいなぁ。
ホームから地下15階のテント内に戻り、雫ちゃんとお母さんは樹おじさんに任せ、旭を連れて5人で摩天楼のダンジョンへ向かう。
旭はいきなり30階からの攻略になるけど、父も兄もいるから心配無用だ。
テント内にポチが待機し待っていたから旭が驚いていた。
ガーグ老の従魔は本当に父が好きらしく、毎週会いにくるんだよと教えてあげると苦笑している。
そう言えば、タマは何処にいるのかな?
3人を見送り、今日も私はテント内から魔物の討伐をしよう。
奏伯父さんは何かあった時のためにテント内で待機している。
時間を効率よく使うため料理の作り置きを沢山作りながら通信の魔道具を取り出し、セイさんへ必要な物があれば連絡してほしい事と居場所を教えてくれるよう羊皮紙に書く。
摩天楼のダンジョンを出発し1週間経つから、そろそろ不足している物がありそうだ。
今は馬車に乗っているから、宿に着いたら連絡があるだろう。
その日の夜、セイさんから『ハンバーガーが食べたいです。』と通信の魔道具に返事があった。
ファーストフードは持っていけないので、食べたいのは何となく分かる。
アイテムBOXには×365をしたハンバーガーセットが大量にあるから、場所を確認し父と一緒に持っていってあげた。
ホーム内で暫く生活していたセイさんは、異世界の食事事情に改めて思う所があるらしい。
リクエストのダブルチーズバーガーセットとナゲットを出した途端、感激し喜んでいた。
アイテムBOXに入っていた熱々ポテトと、冷たい状態のコーラを交互に食べながら幸せそう。
明日の朝食用に作ったサンドイッチも渡したら両手を握ってお礼を言われ、その抱き締めんばかりの態度に父が隣で渋い顔をしていた。
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