【3巻発売&コミカライズ決定!】自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

48歳の主人公が異世界で12歳の少女になり、冒険者として生きるお話です
如月 雪名
如月 雪名

第214話 椎名 賢也 31 ダンジョン 地下4階 恋愛観

公開日時: 2023年2月7日(火) 12:18
更新日時: 2023年3月19日(日) 09:38
文字数:2,040

 地下4階の安全地帯に到着。

 マジックテントを設置してホームの自宅でトイレ&食事だ。


 ここでは夜間攻略している冒険者がいないので、テントの外に出て態々わざわざ休憩する必要はない。


 正直、地下1階の時にテントの外で休憩するのは苦痛だった。

 この世界の飲み物は紅茶しか無いのか、それ以外の飲み物を飲む事が出来なかった所為せいだ。


 俺はコーヒー党なので、紅茶は余り好きじゃない。


 イメージ的に女性が飲む物だと言ったら、差別になってしまうかも知れないが……。

 お茶を飲むのは食事時くらいだ。

 

 沙良がお茶好きなので、出てくるお茶はかなり種類が多い。

 緑茶・玄米茶・ほうじ茶・そば茶・黒豆茶・麦茶・ウーロン茶……。


 冬は抹茶入り玄米茶、夏は麦茶。

 中華の時はウーロン茶を出す事が多い。


 紅茶もケーキの種類に合わせてダージリン・アッサム・アールグレイと俺が飲んでも分からないが、とにかくフレーバーティーも20種類くらいある。


 そんな中、異世界の紅茶一択の休憩は苦行くぎょうでしかない。

 周りにいるのも女性ばかりで居心地が悪いしな。

 ヒールを使える俺に、余計な秋波しゅうはを送る人も多く困る。


 この世界の人間と、恋人になる心算つもりも結婚する心算つもりもない俺には迷惑なだけだった。


 沙良のホーム内で快適に生活しているんだ。

 異世界の環境で一緒に暮らすのは、考えただけで気分がえる。


 不味いパンが主食の塩のみで味付けされた料理。

 風呂もシャワーも浴びれない不衛生な環境。

 質の悪い服に下着。

 なにより、酒は日本製が一番旨い!


 これら全ての生活をあきらめてまで、この世界の女性を選ぶ事は無いだろう。

 皆年下ばかりだし……。


 子供を相手にしているようで、その気にもなれない。

 幾ら相手が居なくとも、娘のような年齢の女性とするのは罪を犯している気分になってしまう。


 余りに年齢が離れていると会話するにも一苦労だ。

 せいぜい10歳までが限度じゃないか?


 日本にいた時に付き合った女性は、2~3歳くらいしか離れていなかった。

 それでも異性の事はよく分からない。


 女心は永遠の謎だ――――――。


 ましてやここは異世界で、こちらの常識がほとんどない俺は会話一つでボロが出そうだ。


 普段は子供のフリ・・をするのが面倒で、この世界にいる間は話さない事が多い。

 対外的な交渉は沙良に全て任せている。


 今更、相手に敬語を使って話すとか俺には無理だ。

 外科医に演技を求めるのは間違っている。

 

 外科部長として何十人と部下を持っていたんだ。

 必然、命令口調になるのは仕方ない。


 多分寡黙かもくな人間だと思われているだろうが、それでいい。

 俺が話す事で不審な目で見られる訳にはいかない。


 俺達は秘密が多い。

 極力、目立つ行為は避けたいのが本音だ。


 まぁダンジョンを2人で潜っている時点で、既に目立ってしまっていたが……。

 更に言うなら妹の容姿のお陰で、男性冒険者には目を付けられる始末だった。


 そして光魔法を使える俺にも、どうやら需要があるらしい。

 女性冒険者から、こんなにモテるとは思わなかった。


 あと30年早ければ、この状況も楽しむ事が出来たんだが……。

 55歳となった今では残念としか言いようがないな。   


 自宅に戻ると沙良がお弁当を出して、緑茶を入れてくれる。

 今日のおかずは、鳥の唐揚げ・ピーマンとウインナーのいため物・少量のナポリタン・人参しりしりだった。


 揚げたてを収納したらしく、鳥の唐揚げは熱々の状態だ。

 くし切りにしたレモンが添えてあるので、しぼって掛ける。

 

 俺は唐揚げにはレモンを掛ける派だ。

 その方がさっぱりとして美味しい。


 旭は子供舌なのか、ケチャップを付けて食べるのが好きだったな。

 沙良の作るオムライスは俺も双子も大好きだったが、旭の好物でもあった。


 まぁ、あいつは沙良の作った料理なら、何でも美味しいと言って食べるんだが。


 れた弱みか?


 兄妹の特権で、俺は毎日沙良の手料理を食べてるぞ?

 うらやましいだろう。


 高校3年生の時のお弁当は、沙良が自分の分を作るついでに俺の分まで作ってくれた。 

 両親が共働きだったので、沙良は母親の負担を軽くしようとしたらしい。


 同じ学校に通っていた旭は、沙良の作ったお弁当を食べる俺の事を贔屓ひいきだと言って責める。

 兄の分も作るなら幼馴染の俺の分も作ってほしいとあんまりうるさく言うので、沙良に月に1度500円で作ってくれるようにお願いした。


 一度オムライス弁当の時があって、上にケチャップでハートが描かれていた事があった。


 旭はそれを見て大変感激していたが、それただのマークだからな。

 俺の方には、グリーンピースでハートに描かれている分手間が掛かっているぞ?


 愛情は兄の俺の方が上だ。


 沙良の料理を食べる時、旭が毎日こんな食事を食べられる旦那さんは幸せだねとか、沙良ちゃんはよいお嫁さんになるよとかやたら言っていたが、もしかしてアレ・・が告白だったんだろうか?


 あの天然ぽややん娘には、全く通じていなかったみたいだ。


 流石さすがに俺でも、遠回し過ぎて気が付かない自信がある。

 旭の母親の残念な料理と比べられても沙良だって困るだろうに。


 そんな事を思い出しながら、今日の弁当も大盛ご飯と一緒に完食した。

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