【3巻発売&コミカライズ決定!】自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

48歳の主人公が異世界で12歳の少女になり、冒険者として生きるお話です
如月 雪名
如月 雪名

第643話 迷宮都市 地下15階&摩天楼のダンジョン(30階) 樹おじさんへハニーの紹介&ヒルダさんの謎

公開日時: 2023年12月23日(土) 12:05
更新日時: 2024年4月15日(月) 14:19
文字数:2,338

 月曜日、今日から5日間またダンジョン攻略。

 階段へ一直線に地下1階から地下11・・階まで進み、兄&フォレストと別れ私達は再び地下11階から地下15階まで駆け抜けた。

 安全地帯に着いてマジックテントを設置後、休憩したら攻略開始。

 アマンダさん・ダンクさんと挨拶を交わしながら、子供達の話を併せ伝えていく。


 いつきおじさんへ昨日渡したポシェットをマジックバッグにした物を返された時、こんなに沢山何に使用するか聞かれハニー達をまだ紹介していなかったと思い出す。

 ポシェットはまだ52個残っているから理由を知りたいと思い、樹おじさんを連れて地下14階へ移動すると、私に気付いたハニーが上空から降りてくる。


「おじさん。ハニーだよ! コロニーの数が多くて、従魔登録はしていないんだけど……」


「まだ他にも従魔がいたのか? しかも群れのリーダーを……」


「お願いしたマジックバッグは、ハニー達の薬草採取に必要なの。ハニー、コロニーを20匹呼び出してくれる?」


 ハニーが私の言葉を聞き触角をピコピコ動かすと、ブンっと音を立てて20匹のキングビー達が地面に降り立ち整然と並ぶ。

 その首にポシェットを1匹ずつ掛けてあげた。


「コロニーは72匹いるから、あと52個マジックバッグを作って下さいね」


「72匹!? いや、それよりポシェットの絵が……」


 絵? あぁ、〇~さんの刺繍ししゅうの事かな?


「蜜蜂用だから、蜂蜜が好きな熊の刺繍にしたの。可愛いですよね~」


「……娘が残念すぎる。相手が魔物で良かったかも……」


 樹おじさんは父に向かってそう言うと、はっとしたように振り返った。


「薬草採取? 従魔達にさせていたのか?」


「はい。今までは1個預けていたんですけど、1匹ずつ渡した方が効率がいいと思って」


「あ~参考までに渡していたマジックバッグの容量を教えてくれる?」


「3㎥です」


「そっ、それなら20・・㎥のマジックバッグを72匹に渡すと、ハニー達が大変じゃないか?」


「薬草は毎日生えるので1週間あれば、大丈夫だと思いますよ」


「いやいや、72匹が毎日採取する分はないだろう」


 やけに樹おじさんがあせっている。

 

「沙良。ハニー達には無理をさせないよう、ほどほどにな」


 父がマジックバッグの用途を知り、苦笑しながら言ってきた。


「分かってるよ~」


 何もマジックバッグを満杯にしろと指示を出している訳じゃない。

 各自が持っていれば、効率があがるだろうと思って渡したまでだ。

 用事を済ませ地下15階へ戻ると、樹おじさんはしずくちゃん達と果物採取にいった。

 さて、私も地下16階の果物を収穫してこよう。

 その後は地下5階で槍のLv上げだ。


 3時間後、地下15階の安全地帯のテントからホームへ帰り実家で昼食を食べていると、午後に摩天楼まてんろうのダンジョンへいくと知ったシュウゲンさんが付いてくると言う。

 かなで伯父さんが摩天楼のダンジョンでヒヒイロカネ・・・・・・を発見したと聞き、儂も見付けると意気込んでいた。


「シュウゲンさん、冒険者の資格はあるんですか?」

 

 移転で中に入るから必要はないけど、一応尋ねてみた。


「儂は特級・・じゃよ」


「特級?」


 初めて聞く名称に首をかしげる。


「SS級の更に上だ。国内にいる特級冒険者は、極僅ごくわずかだろう」

 

 すると話を聞いていた奏伯父さんが説明してくれた。

 父親が特級冒険者と知り、少し自慢げな表情になっている。

 へぇ~、SS級の上にまだあるのかぁ。

 

「30階は雪が降っているから防寒用のマントが必要ですが、持っていますか?」


「ドワーフには火の精霊の加護がある。寒さには強い、普通のマントで充分じゃ」


 精霊の加護? 妖精さんは知っているけど、精霊もいるんだ……。

 あぁ、種族を聞いても良いか確認しておこう。


「シュウゲンさん。種族を聞くのは失礼になりますか?」


「ドワーフは気にせんが、他種族はどうか分からんの。特に種類が多い獣人は、特性を秘密にしている場合もありそうじゃ。親しい間柄じゃなければ、聞かぬ方が良いかもしれん」


「そうですか……。ガーグ老達は、人間じゃない気がしたので……」


「ありゃ間違いなく、長命な種族だろう。ヒルダちゃんはエルフだからの。どのような縁があるか知らぬが、儂が鍛えた槍を持っていたのは親しくしていたからではないか?」


 うん? ヒルダさんはエルフだったの?

 カルドサリ王国の王女だとばかり思っていたけど……。

 私そっくりな肖像画は数百年前の第二王妃の物だったわよね?


「お兄ちゃん。確かタケルから、昔の第二王妃はエルフの王女だと聞いたんだよね?」


「あぁ。ハーフエルフが多いのも、それが理由だろう」


「ガーグ老達は、ヒルダさんを護衛していたからエルフなんじゃない?」


「それにしては、身体的特徴がないがな」


 あぁ、あのご老人達は生粋きっすいの武人だ。

 私のエルフのイメージは、線の細い容姿の綺麗な種族だった。


「あの老人達は、ヒルダちゃんの護衛をしておった者達なのか。本人は何処どこにいるんじゃ?」


 その時、同時に父と樹おじさんがお茶を吹き出し咳き込んだ。


「沙良。ガーグ老達にも、秘密にしておきたい事があるだろう。聞くのは失礼だと思うぞ?」


 父にそうさとされ亡くなった姫様の件を、これ以上話すのは問題かもと思い口を閉じた。

 ヒルダさんに似ているリーシャは、やはり血縁関係があるのかな? それなら成長しないこの体は、エルフの血筋の所為せい

 第二王妃だったエルフのヒルダさんは亡くなったと言っていたのに、樹おじさんは魔力が似ているだけで姫様と勘違いされていた。

 もしかしてヒルダさんは、まだ生きているのかしら……。

 う~ん、更に謎が増えた気がして、まだ線がつながらない。


「ヒルダちゃんに会いたいのぅ。ずっとお礼を待っておるが、約束を忘れてしまったんじゃろうか……」


 何故なぜか樹おじさんが再び、お茶を吹き出し盛大にむせている。  

 母がれた麦茶は苦くないと思うけど……。

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