【3巻発売&コミカライズ決定!】自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

48歳の主人公が異世界で12歳の少女になり、冒険者として生きるお話です
如月 雪名
如月 雪名

第653話 迷宮都市 地下15階&摩天楼のダンジョン(30階) 新しい劇の披露&『お菓子の店』の給料支給

公開日時: 2024年1月2日(火) 12:05
更新日時: 2024年4月25日(木) 10:39
文字数:2,147

 3時間後。

 地下15階の安全地帯に戻りホームへ移動し、実家で母の作った昼食を食べた。

 午後からは、シュウゲンさんと一緒に摩天楼まてんろうのダンジョンへ向かう。

 30階の安全地帯に到着すると、ポチが父を見付け飛んできた。

 毎週、迷宮都市から会いにくるのは大変そうね。

 ガーグ老のLvは祖父と同じくらいかしら?

 それなら175以上あるかも知れないので、従魔Lvも相当高い。

 2匹の白ふくろうが移動する速度は、シルバー達よりも速いのかも知れないなぁ。


 ポチが父の右肩に止まり、兄達と一緒に安全地帯から出て攻略へ行った。

 私はかなで伯父さんとテント内に入り、メンバーのLv上げ用に生きたまま魔物をアイテムBOXへ収納する。

 シュウゲンさんは、今日も洞窟で鉱物採取をするそうだ。

 マッピングで魔物を索敵しながら、妖精さん達のショートブレッド作りを始めると、テント内には甘いお菓子の匂いが充満する。

 ファイアーボールがあればオーブンは不要なため、いつでも焼けるのは便利だよね~。

 

 30階に拠点を移してから、私のLvは55のまま上がらない。

 早く100まで上げたいので次に宝箱が出現したら、31階へ移動する予定。

 その後は最終攻略組がいない階層まで駆け抜けよう。

 2回の攻略後シュウゲンさんを実家に届け、迷宮都市地下15階の安全地帯へ戻ると、テント前でしずくちゃんのお母さんが治療をしていた。

 まだ『MAXポーション』の数が足りていないのか……。


 ダンクさん・アマンダさんパーティーとの夕食時、アマンダさんから子供達に新しい劇を見せたいと提案される。

 クリスマス会では劇の披露ひろうをしなかったので、楽しませてあげたいのだろう。

 私は少し考え、『白雪姫』と『人魚姫』を教える事にした。

 『白雪姫』はアマンダさんパーティーが、『人魚姫』はダンクさんパーティーがするそうだ。


 物語を聞かせると、アマンダさんが毒りんごを食べるシーンで首をかしげる。

 いかにも怪しそうなお婆さんから貰ったりんごを食べるのは、警戒心がないと言うのだ。

 いやおっしゃる通りなんですけど、これはそういう物語なんです……。

 ちゃんと食べて下さいね?

 ダンクさんは『人魚』は魔物かと言いうなっていたよ。

 いえ、魔物ではありません。

 あぁ……、また今回もひどい内容になりそう。

 果たして、原作の面影は残るだろうか?


 私の心配をよそに、2パーティーが配役を決めている。

 白雪姫はアマンダさん、人魚姫はリリーさんがするので一先ひとまず安心した。

 赤ずきんちゃんをダンクさんがした時は、どうしようかと思ったよ。

 人魚姫は魔物じゃないから討伐しないで下さいね。

 私の結婚式に合わせ地上へ帰還するので、1ヶ月後、披露する事になった。

 またサヨさんと衣装を作ろう。

 せめて衣装だけは、まともにしたい。


 話を聞いていた雫ちゃんが、劇を楽しみにしているようだ。

 違う意味で期待を裏切らない内容になると思う。

 どうせ、原作通りにはならないだろう。

 日本人が誰も知らない、『白雪姫』と『人魚姫』が見られるんじゃないかしら?

 稽古が始まれば、直ぐに思っている内容じゃないと気付くはず

 この日、夕食後の会話は続き中々離してもらえなかった。

 皆さん明日も攻略ですよ~。

 旭が兄の肩で眠っているんですけど!


 その後、5日間の攻略は問題なく終了し地上に戻って換金を済ませる。

 『お菓子の店』で売上確認をし、給料の銀貨10枚(10万円)を子供達に渡した。


「わぁ~、僕達こんなにもらっていいの?」


 冒険者としてではなく、安全な店の従業員として給料を受け取ったのは初めてだろう。

 

「えぇ、これから毎月同じ額を払うわ。皆、頑張ってね~」


「お姉ちゃん、ありがとう!」


 リーダーのカレンちゃんの言葉に続き、店の子供達全員が一斉に頭を下げ、


「ありがとう!」


 と口をそろえてお礼を言う。

 30人の子供達が、怪我を心配せず働ける事に感謝してくれているのだろう。

 護衛のリュートさんも、アリサちゃんを見ながら微笑んでいた。


 店から出てホームに移転し、兄と旭だけを連れ再び異世界へ戻る。

 『肉うどん店』へ寄り、子供達に新しい楽曲を教えてあげよう。

 夕食は母親達と一緒に迷宮サーモンとじゃが芋を入れた『グラタン』を作る。

 異世界のパンは食べやすいよう、『フレンチトースト』にして上から蜂蜜を掛けた。


 初めて見る料理に子供達がはしゃいでいる。

 牛乳を使用した物は迷宮都市では中々食べられない。

 今は奏屋かなでやへ行けば手に入るけど、昔は店頭に置いていなかった。

 1個200円もする卵も庶民にとっては高級品だろう。

 子供達がお腹一杯になった所で、新しい童謡を歌いながら聞かせてあげた。

 今回は『森のくまさん』。

 『かえるの歌』を教えたから、魔物のベアでも問題ないかな?


 ドレミを書いた羊皮紙を渡すと嬉しそうに、練習したらまた聞きにきてねと笑顔になる。

 前回、木琴をクリスマス会で演奏した時、他の子供達もやりたいと言っていたなぁ。

 両親を召喚した後、奏伯父さんとシュウゲンさんとの再会でバタバタしていたから、そろそろ考えておこう。

 木琴以外にもリコーダーやオカリナなら出来そうだし、ピアノに似た楽器は母が教えられる。


 冒険者登録出来ない10歳未満の子供達だけで、安全に移動する手段はどうしよう?

 やはり馬車を購入して、御者を雇うのが一番良いかしら?

 また商業ギルドのカマラさんに相談する必要がありそうだ。

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