【3巻発売&コミカライズ決定!】自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

48歳の主人公が異世界で12歳の少女になり、冒険者として生きるお話です
如月 雪名
如月 雪名

第216話 椎名 賢也 33 ダンジョン 映画&デザートバイキング

公開日時: 2023年2月8日(水) 12:16
更新日時: 2023年3月19日(日) 11:02
文字数:2,243

 日曜日。

 この日は沙良と一緒に映画館に行ってきた。

 たまには大画面で、迫力のある映像を見てみたいと思ったのだ。


 映画館に着くと、沙良は早速さっそくポップコーンと飲み物のセットを購入していた。

 俺は見たい映画の上映時間を調べて、いくつかピックアップする。


 映画館で見るのならアクションがよい。

 沙良はファンタジー物を選んで悩んでいる様子だ。

 

 席は空いているので、お互い好きな映画を見れば問題ないだろうに……。

 

 結局、見たいファンタジーは3部作の内の2部が今回上映となっていて、まだ1部を見ていなかったらしい。


 俺と同じアクション映画でよいと言うので、人気のスパイアクション映画を一緒に見る事にした。

 今回から主役の俳優が変わるので、若くなった分アクションシーンに期待が持てる。


 俺達2人しかいない映画館の室内で、上映時間を待っている間に沙良はもぐもぐポップコーンを食べ始めていた。

 おいおい、俺の分も少しは残しておいてくれよ。


 上映時間開始、のっけからアクションシーンの連続だ。

 この手の映画にはヒロインが必ずいるのが定番だが、今回は敵側のスパイという設定らしい。


 お互いだまし合いの最中に、果たしてロマンスが生まれるものだろうか?

 まぁ映画なので細かい事は気にしない方が楽しめるか。

 

 内容はありきたりな物だったが、やはり大画面で見るのは良い。

 音響効果もあって、それなりに楽しむ事が出来た。

 

 2人サイズのポップコーンは食べようとした所、沙良がほとんど食べてしまい残っていなかった。

 塩味のプレーンタイプだったので、俺も食べたかったんだが……。


 キャラメル味の物は甘過ぎて俺が食べないと知って、塩味にしてくれたんじゃないのか?


 映画館に入るとポップコーンを何故なぜか食べたくなる。

 多分あの匂いが購買意欲をかせるんだろうな。


 途中で席を立って追加を買いに行く訳にもいかず、俺はほんの少し残ったポップコーンをちびちびと食べた。


 沙良が映画を見た後、アクションシーンを魔法で再現出来ないかと聞いてきた。


 いや、無理だろう。

 

 あんな高層ビルから飛び降りたら普通は死ぬ。

 飛んでる飛行機から脱出するにも、それなりの訓練が必要になる。


 妹は時々、俺の予想外の事に興味を持つから注意が必要だ。

 空を飛んでみたいのは分かる。

 

 ウィンドボールじゃ、どうイメージしても飛ぶ事は出来ないぞ?

 内緒で試したりしないでくれよ……。


 好奇心旺盛おうせいな沙良の面倒を見るのは、忍耐が必要だ。

 やっと奴隷商のターゲットから外れて安心しているのに、盛大に自爆しそうで怖い。


 旭~!!


 俺1人で沙良の手綱たずなを握るのは本当に疲れる。

 お前がいないと大変だ。


 俺はどうにか沙良の好奇心から目をらそうと、美味しいデザートを出す店に行こうと提案した。


 ホテルのケーキバイキングだが、ここのケーキはパティシエが全て手作りしていて2個食べれば充分元は取れる。


 沙良がケーキに飛びついたので、気が変わらない内にさっさと映画館を出てホテルに直行だ。

 ホテルに着くまでの間、沙良は今日見た映画の話をしてくるので気が気じゃない。


 早く甘い物を食べさせて、ビルから飛び降りるシーンの事は忘れてもらおう。


 俺は気もそぞろに相槌あいづちを打ち、これから行くホテルのケーキバイキングの話にすり替える。


 誰と一緒に来たのか聞かれて、一瞬黙ってしまった。

 過去に付き合った女性で、浮気をされ別れた事を思い出したからだ。


 しかも別れ話をしたホテルが今から向かう所とは……。


 選択をあやまった!


「研修医時代に行った事があるんだよ。ほら、旭は甘い物が好きだったろう? ここのモンブランは和栗を使用しているから旭のお気に入りでな」

 

「へぇ~、男2人で食べに来たんだ。しかも、ケーキバイキングにねぇ。周りの注目浴びまくりだね!」


「あぁ、そうだったな……」


 旭をダシに使ってみたが沙良にはバレているみたいだ。

 ここで沙良の意識をらすために、別れた女性と来た話をするのも何かが違う気がする。


 俺が盛大に自爆しそうだ!


 研修医で忙しくしていた俺は、彼女が不満をつのらせている事に気が付かずフォロー出来ていなかった。


 結局、彼女の浮気がバレて別れる事になったんだよなぁ。


 痛い思い出だ。


 過去を思い出している間にホテルに到着。

 ティーラウンジに行って、電子メニューから今月のケーキバイキング2,000円を2名分注文する。


 すると電子メニューに飲み物とケーキの一覧が表示された。

 俺はホットコーヒー、沙良は紅茶を選択。

 ケーキの種類は3つまで選ぶ事が出来る。


 夕食もあるので俺はケーキを2つ頼んだ。

 沙良は3種類頼んでいたが、お腹一杯になって今日の夕食抜きとかしないでくれよ。


 俺は苺ショートにモンブラン。

 沙良はチョコレートケーキ・ミルクレープ・ミルフィーユ。


 飲み物と一緒にテーブル上に展開される。

 

 沙良はケーキを前にして、満面の笑みを浮かべていた。

 紅茶はティーポットで出て来たので、2杯は飲めるだろう。


 俺は苺ショートの苺から食べ始めた。

 ここのケーキは甘さ控えめなので男性にもお勧めだ。

   

 サイズはやや小振りのため、直ぐに食べ終わる。

 モンブランも和栗の味がしっかりとして美味しい。


 俺はどちらかと言うと洋菓子より和菓子の方が好きで、栗の季節になると岐阜県の中津川に行って栗きんとんを買いに走っていた。

 実家に手土産で持っていくと母が抹茶をててくれたので、その日は家族全員で栗きんとんを味わったものだ。


 おや?

 沙良が3個を完食して追加を注文している。

 レアチーズケーキとパンナコッタが出てきた。


 この瞬間、今日の夕食はカップラーメンが確定となった……。

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