【3巻発売&コミカライズ決定!】自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

48歳の主人公が異世界で12歳の少女になり、冒険者として生きるお話です
如月 雪名
如月 雪名

第696話 迷宮都市 地下15階&摩天楼のダンジョン(31階) 妹の結婚理由

公開日時: 2024年2月14日(水) 12:05
更新日時: 2024年6月7日(金) 14:54
文字数:2,816

 いつもとは違う温かさを感じ目覚めると、隣に兄がいた。

 ふおっ! これは、どういう状況なの?

 昨日は茜に運ばれベッドで寝てから記憶がない。

 何故なぜ、兄が一緒に寝ているか分からず首をかしげた。

 取りえず起きようと身動きしたら、兄が目を覚ます。


「おはよう沙良。お前、昨日はうなされて大変だったぞ」


「えっ、そうなの?」


「寝たばかりで、突然大声を上げるから驚いた。『毒が~』と何度も叫んでたよ。俺がホーリーで浄化してやると言ったら大人しくなったが、そのまま抱き着かれて今に至る」


「わぁ、ごめんね~。お騒がせしました」


 どうやら白雪姫が毒で倒れた後、どう生還するか夢の中で考えていたらしい。

 全然、覚えていないけど……。

 兄が提示した解決策は使えないだろう。

 皆で朝食を食べ冒険者の恰好かっこうに着替えた後、メンバーと異世界へ移転した。

 

 月曜日。

 今日から5日間またダンジョン攻略。

 地下11・・階で兄&フォレストと別れ、私達は地下15階まで駆け抜けた。

 安全地帯に着いてマジックテントを設置後、休憩したら攻略開始。

 アマンダさんダンクさんと挨拶を交わしながら、子供達の話を併せ伝えていく。

 ダンクさん達は、犯人が捕まり盗まれたマジックバッグも回収出来たので、再びダンジョン攻略をする事にしたようだ。 

 それでも1週間休むと、体がなまると笑っていた。

 家に1人でいた母親は新しい政策が施行されたのを知り、大丈夫だと言って息子を送り出したみたい。


 地下14階のハニーのもとにいき、マジックバッグの中身を回収する。

 先週、従魔達にもHP/MP値が上がる丸い玉の効果があると分かり、土日は会えないハニーに両方の玉を1日1個ずつ飲んでねと渡してある。

 赤と紫の色が区別出来るか心配だったのでHPが上がるのはどっち? と聞いたら、ちゃんと赤い玉を選んだ。

 色の違いか魔力で判断しているのかは分からないけどね。

 同じ玉を2個飲んでも効果は1個分しかないため、ハニーが両方を飲んでくれれば問題ない。


 ちゃんとHP/MPの両方が上がっているのをステータスで確認し、地下19階~21階のキングビー達からも薬草を回収した。

 毎日いるシルバー達にも当然、両方の玉を飲ませている。

 ガルちゃん達だけは、ガーグ老の騎獣なのでステータス値を上げるのは止めておく。

 勿論もちろん、私もあれから毎日丸い玉をめているよ!

 兄と旭に、ポーションを『MAXポーション』へしてもらってね。


 地下16階の果物採取をしたら、地下10階へ移動し槍術のLv上げを行う。

 Lv50になったしずくちゃんは上限が開放され、槍術のLvが20になったそうだから私も負けていられない。

 兄と旭も、槍術と剣術がLv20に上がっていると言う。

 摩天楼まてんろうのダンジョンでは、安全地帯から出ずアイテムBOXとマッピングを使用した討伐しかしていないため、なかなか槍術のLvが上がらないのだ。

 ガーグ老から許可をもらった地下10階で頑張ろう。


 アラクネを発見。

 上半身が女性の体をしている蜘蛛くもの魔物へ向かい、シルバーが駆け出す。

 糸で絡め取られる前に、飛び上がったシルバーの動きと合わせ短槍を振るう。

 首を半ばまで切断された魔物は絶命した。


 アウラウネを発見。

 上半身が女性の体をしている植物の魔物は、男性しか魅惑みわく魔法を使用しないため魔法を警戒する必要もなく、ターンラカネリの槍を投擲とうてきする。

 それを見たシルバーが、すかさずアイスボールの魔法を撃つ。

 フォローしてくれてありがとう。

 槍が当たらないと思われているのは複雑な気分だけど……。

 シルバーは自分が仕留めた魔物をポシェットへ収納し、満足そうに尻尾を振っていた。


 気を取り直してナイトメア(男性体)を探す。

 魔石が金貨5枚(5百万円)する魔物だから、Lvも高いのかしら?

 実体がないナイトメア(男性体)は、ドレインで昏倒させる方法しか倒した事がない。

 アンデッドはホーリーの魔法があれば簡単なのになぁ。

 浄化の魔法は兄と旭、雫ちゃんのお母さんしか使用出来ないんだよね~。

 どうしようか考えていると、セイさんが大槍を構え投げつけた。

 狙いあやまたず、大槍はナイトメア(男性体)を貫通して地面に刺さる。

 その瞬間、ナイトメア(男性体)は魔石に変わった。

 何で!?


「セイさん、その大槍には何か効果が付いているんですか?」


「宝箱から出たアイテイムだけど、聖魔法が付与された魔石がはまっているんですよ」


 聖魔法? 光魔法とは違うのかしら?

 聞いた感じだと、光魔法の上位魔法に当たるのかも知れない。


「へぇ~、便利な槍ですね」


 アンデッドには効果絶大だし、地下8階なら無双状態だ。

 その後、出現したワイルドウルフとシルバーウルフを槍で倒しLv上げを続ける。

 3時間したら地下15階へ移動し、安全地帯のテント内からホームの実家へ。

 母が作った昼食を食べたら、シュウゲンさんを連れ摩天楼まてんろうのダンジョン31階へ移転する。

 

 茜に内緒のLv上げが父にバレた事を伝えると、がっかりしながらも渡したDVDプレイヤーで録画したTVドラマを大人しくテント内で見ていた。

 私はマッピングで魔物を索敵して倒しアイテムBOXに収納する作業と並行し、ショートブレッドを作っていく。

 安全なテント内で茜と2人、のんびりしながら紅茶を飲んでいた。


 来週で多分、兄がLv60になると思う。

 そうなれば茜の旦那さんを召喚出来るだろう。

 早崎はやさきさんは、結婚式が終わった後に召喚した方がいいかな?

 妻が突然いなくなり心配していると思うけど、ちょっとこちらはバタバタしているからね。

 私を狙う相手を撃退しない事には落ち着かない。

  

「茜。早崎さんの召喚だけど、結婚式の後になると思う」


「あいつは、呼ばなくても本当にいいんだけどな。まぁ、母さんに言われたから召喚するか……」


 旦那さんの召喚に乗り気じゃない妹を見て心配になる。

 盆や正月に家族で集まった時、夫婦仲は良かったのに……。


「旦那さんと仲が悪かったの?」


「いや、別にそうじゃない。相棒と結婚したのは、お互い都合が良かったからだよ。私は誰とも結婚する気がなく、相棒の恋愛相手は同性なんだ。条件に合った相手というだけで、愛情はない。だから孫を期待され困ってる」


 いきなりぶっちゃけた妹の話に目が点になった。

 それは偽装結婚じゃ? 孫を待ち望んでいる母には、とても言えないわね。

 常に男装していた妹の性癖がずっと気になっていたからこの際、思い切って聞いてみよう。


「そっ、そうだったの。気付かなくて驚いたわ。2人が納得して結婚したのなら、どうこう言う心算つもりはないけど……。もしかして、茜の好きな相手は女性なの?」


「あ~、そういう訳でもない。ただ、特別な誰かを待っている感じに近いかな?」


 何だか身近に同じような事を言った人がいるよ。


「それは運命の相手?」


 セイさんが、ずっと探している相手だ。

 運命を感じた相手が私と兄と旭だったのは、どうかと思うけど……。


「運命の相手か……、いつか出逢であえるといいな」


 茜はそうぽつりとこぼし、どこか懐かしい記憶を思い出すかのように微笑ほほえんだ。

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