【3巻発売&コミカライズ決定!】自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

48歳の主人公が異世界で12歳の少女になり、冒険者として生きるお話です
如月 雪名
如月 雪名

第657話 迷宮都市 木琴の練習&武術稽古

公開日時: 2024年1月6日(土) 12:05
更新日時: 2024年4月29日(月) 12:41
文字数:2,155

 翌日、日曜日。

 昨日迷宮都市に到着したばかりのセイさんは、1ヶ月の旅の疲れもあるだろうから兄達の家でゆっくりしてもらい、メンバー達と異世界の家へ行き炊き出し準備を始めよう。

 母親達に今日から毎日馬車で子供達の送迎を依頼してあると伝え、よければ『木琴』を他の子供達に教えてほしいとお願いする。

 彼女達は店が営業中の間、子供の面倒をみられないため逆に助かると言ってくれた。


 8時になると子供達が集まり出す。

 料理が出来るまでの間、兄達が子供達を従魔の背に乗せ遊ばせていた。

 具沢山の『シチュー』とパンを配り、今日から馬車で家へ送迎する連絡をする。

 食後、冒険者活動をする子供以外に家の中で楽器を教えるから、希望する子は残ってほしいと伝えた。

 食事を済ませた子供達に兄がバナナを渡し見送ると、私といつきおじさんは家に残りメンバー達はガーグ老の工房へ稽古に向かう。

 家には登録した人物しか入れないけど、10mの塀を超えれば中に侵入出来るからガルムのように空を飛ぶ従魔へ騎乗した敵に警戒し、樹おじさんが待機するそうだ。


 まぁ、今は私の稽古相手をしているから暇なのかな?

 残った子供達に家の中へ入ってもらい、テーブルを出し人数分の『木琴』を並べた。

 楽器を見た子供達の目がキラキラしている。

 まずはドレミを教えよう。

 皆が真剣な表情で私の説明を聞き、2本の棒を使い音を出す。

 木琴は比較的簡単な楽器なので、1時間ほど練習するとドレミの位置を覚えたようだ。

 次はクリスマス会に披露ひろうした、『キラキラ星』の演奏を歌いながら聴かせる。

 この曲は聞いた事があるから、子供達も覚えやすいだろう。

 2時間後には、全員が間違えず演奏出来るようになった。


「お姉ちゃん。楽器の演奏は楽しいね~。教えてくれてありがとう!」


 口々にお礼を言う子供達は、初めて楽器に触れる事が本当に嬉しかったのか笑顔で一杯だ。

 練習中は皆、無言だったけど今は大興奮している。

 お昼なったから昼食を作ってあげよう。

 今日は、子供達の大好きな『ピザ』がいいかな?


 『照り焼きチキン』と『ツナマヨポテト』の2種類を作り、樹おじさんにファイヤーボールを使用し焼いてもらう。

 兄達は最初『ナン』を焦がしてしまったのに、おじさんは魔法を器用に使えるようだ。

 これは年の功だろうか?

 焼きあがった『ピザ』をカットし、紅茶に牛乳とハニービーの蜂蜜を入れたミルクティーをテーブルの上に置いたら完成。


「わぁ~、『ピザ』だぁ~! 頂きます!」


 チーズは高価なため、子供達が普段口にする機会はなく喜んでいる。

 それにピザ生地は秘伝・・としているから、私以外に作れないんだよね。

 皆が美味しそうに食べる様子を見ながら、ガーグ老達のお昼は大丈夫か心配になった。

 しずくちゃんとお母さんにお願いしてあるけど、何を作るのか分からない。

 お礼のショートブレッドは旭に渡しておいた。

 妖精さん達だけじゃなく、ガーグ老達が椅子から落ちない事を祈ろう。


 午後からは、馬車が迎えにくるまで子供達と遊ぶ。

 楽器の練習は結構疲れるので3時間くらいが丁度いい。

 ダンクさんが転んだと椅子取りゲーム、オクラホマミキサーとマイムマイムを踊ったら15時の教会の鐘が鳴る。

 家の門を出ると4台の馬車が時間通り迎えに来ていた。

 明日からは、13時に家の前で待っているよう伝えバナナを渡し見送る。

 『製麺店』の子供達が先生となり、他の楽曲を教えてくれるだろう。

 

 ガーグ老の工房へメンバーを迎えに行き、工房の門を開けるとガルちゃん達が駆け寄ってくる。

 ポチとタマは樹おじさんの両肩に素早く止まっていた。

 10匹の大型魔物にじゃれつかれている私は、はたから見れば襲われているようだ。

 兄が驚いたのか対局を中断し、心配そうな顔で様子を見にきてしまった。

 私がガルム達をテイムしてしまったのを知らないから、不安なのだろう。


「お兄ちゃん、大丈夫だよ! なついているだけだから」


「そうなのか? 突然、お前に向かって走り出したから何事かと思った」


 稽古に現れずガルちゃん達が寂しかったのか、今日はすごい勢いで飛んできたからね~。

 事前に連絡しておくんだったな。

 対局中だった男性陣が指し終わるのを待ち、ガーグ老にお礼を伝え工房を出る。

 家に行く途中、雫ちゃんへお昼のメニューを聞いたら『カレー』にしたそうだ。

 激甘カレーか……。

 まだ、他の料理に比べてましだろう。


 ホームへ戻り、セイさんを連れ実家に顔を出す。

 シュウゲンさんと母に日本人の転移者であると紹介し、父が銀行の後輩だと伝えていた。

 かなで伯父さんは、摩天楼まてんろうのダンジョンで一緒にパーティーを組んでいた話しをする。

 2人は身内以外の日本人が異世界にいたと知り、かなりビックリしていたようだ。

 しかも父と奏伯父さんの知り合いだと言うので、母は不思議な縁があるのねと笑っている。

 シュウゲンさんはセイさんにLvは幾つかと聞いていた。

 気になるのは、そこなんだ……。


 夕食はセイさんの歓迎会を実家でする事になった。

 今夜は蟹鍋にしよう!

 迷宮都市で獲った魔物は出せないから、市場で生ズワイ蟹と兄達用に生タラバ蟹を購入。

 Lv50の恩恵で、ホーム内の移動距離が長くなったため海も行けるようになっている。

 マッピングで海を透視すれば、魚介も取り放題かも知れないなぁ。

 ホーム内の海に魚がいるか不明だけど……今度、時間があれば試してみようかしら?

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