【3巻発売&コミカライズ決定!】自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

48歳の主人公が異世界で12歳の少女になり、冒険者として生きるお話です
如月 雪名
如月 雪名

第563話 迷宮都市 地下15階 秘密のLv上げ9(摩天楼のダンジョン1階~10階)

公開日時: 2023年10月1日(日) 12:05
更新日時: 2024年1月22日(月) 22:16
文字数:2,177

 テントへ入って直ぐに、ポチが父の右肩へ止まる。

 余程、お気に入りの場所なのだろう。

 先程はあまり時間がなかったため、周囲をよく観察出来なかった。

 それに私達がこのダンジョンを攻略するのは違法だから、冒険者と関わりを持つのは避けたい。

 なので安全地帯にいる時は、テントから出ないよう注意する必要がある。

 ずは冒険者の数から把握しよう。


 テント内からマッピングで安全地帯の様子を確認すると、現在テントの数は100個以上あった。

 意外と、このダンジョンを攻略しているA級以上の冒険者は多いらしい。

 カルドサリ王国には大型ダンジョンが少ないから、上を目指す冒険者が集中しているのかも?

 ここも同じようにクランがあるんだろうか?

 安全地帯で休憩する人達は、やはり迷宮都市と比べて年齢層が高い。

 A級冒険者になるには10年の実績期間が必要だからね。

 50代以上に見える人がほとんどだ。


 そして女性冒険者の数が圧倒的に少ない。

 結婚して冒険者を引退した人が多いんだろう。

 子供を産むと、命の危険を伴う冒険者の仕事に復帰しようとは思わないのかも知れないな。

 自分に何かあった時、残された子供を考えてしまうからだと思う。

 安全地帯も、迷宮都市のダンジョンに比べて2倍くらいの広さがあった。

 

 次は魔物分布を調べてみよう。

 少し嫌な予感はしていたけど……。

 あぁ、成程。

 ダンジョン内に入った途端、感じた臭いの原因はこれか。

 時間がなく、さっさとマッピングで移動したから魔物を見てなかったんだよね~。

 いきなりアンデッド階層とは、A級冒険者の資格が必要な訳が分かった。

 他のダンジョンでは、地下8階から出現する魔物だし。


 それにテントが100個以上あるなら、冒険者の人数も600人はいる計算になる。

 1階を上空から俯瞰ふかんすると、1階層の広さが迷宮都市ダンジョンの倍はあるように感じた。

 大体、半径10kmくらいだろうか?

 ここも迷路状になっている。

 う~ん、アンデッド階層で人を避けながら移動しての攻略となると効率が悪いなぁ。

 それに今回は兄達がいないので浄化の魔法が使えない。

 いつもは魔物が魔石に変わるから、回収するだけの簡単な仕事だったけど……。

 倒しても、ゾンビやグールの臭いはなくならないのだ。


「お父さん。1階の魔物はアンデッド系だから、テントから出ずに倒すね」


「安全地帯から出ないという事か?」


「うん、ここは臭わないでしょ? シルバーは嗅覚が鋭いし、苦手だと思う。マッピングで索敵した魔物の体内から魔石を抜き取るよ」


「沙良、……意味が分からない。どうやって・・・・・、体内から魔石を抜き取るんだ?」


 父が怪訝けげんな顔をし聞いてくる。

 あぁ、アイテムBOXの機能を教えてなかったな。

 これはマッピング能力がある私しか出来ない方法だけどね。


「マッピングを3Dの状態で使用すると、魔物の体内を見られるの。視界に入れば魔石をアイテムBOXへ収納可能だから」


「……何て恐ろしい魔法だ。それなら、お前は一歩も動かず半径48km以内にいる魔物を全て倒せるのか?」


「うん、バレるとまずいから普段はちゃんと移動して倒すけどね」


「それは絶対秘密にした方がいい。沙良、力の使い所を間違えるんじゃないぞ」


「分かってる。無暗に使用しないようにするよ。でもこの階層は、さっさと攻略して移動しよう?」


「あぁ俺もアンデッドが苦手だから、その意見には同意する」


 父が了承したので、冒険者がいない場所にいる魔物から魔石を抜き取り始めた。

 10分程で作業は終了。


「じゃあ、次は2階に進もう! 時間がないから、次々いくよ~」


 次の休憩まで、タイムリミットは2時間を切っている。

 従魔に乗り安全地帯を出ると、2階へ続く階段まで最短距離で駆け抜ける。

 安全地帯に到着後、テントを設置し魔物分布を調べた。

 2階は全部の魔物がゴブリン系で統一されているみたい。

 特に問題なさそうなので攻略を開始。


 最終的に2時間後、10階へ辿たどり着く。

 出現する初見の魔物はおらず、少し残念。

 期待していた宝箱も見付からなかった。

 摩天楼まてんろうのダンジョンから迷宮都市へ移動する間、私はつい期待外れだった件を口にする。


「あ~あ、宝箱がなかった~」


 私の愚痴ぐちに父が首をかしげた。


「宝箱? それならさん……探せばあるかも知れないな」


「そうかな? 迷宮都市のダンジョンには、なかったよ?」


「それはさん……探し方が悪かったのかも知れないぞ?」


「だといいけど。やっぱり、ダンジョンと言ったら宝箱でしょ? そして隠し部屋が、お約束だよ!」


「隠し部屋は……見た事がない」


「隠されているんだから、そんな簡単に見付けられないよ。でも私のマッピングなら、うふふ~。発見したらきっと、すごい物があると思う。移転陣とかレア装備や武器かも~」


「まぁ……思うのは自由だから、あるといいな」


「絶対あるよ! 明日は11階から開始して、早く最終攻略組を抜かそうね。そうしたら誰もいない階層で、もっと自由に攻略出来るでしょう?」

 

「あ~、そうだな。あまり無理せずにいこう」


 父はそう言うとポチの頭をひとでする。

 ポチは一緒の時間に満足したのか、飛び立っていった。

 その日の夕食時。

 摩天楼のダンジョン最終攻略層をアマンダさんとダンクさんに聞いたら、50階だと教えてくれた。


 50階かぁ~。

 今週中にいけるかな?

 ダンクさんから、まだ10年も先なのに気が早いと笑われてしまったよ。

 3日後には攻略してると思うけどね……。

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