【3巻発売&コミカライズ決定!】自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

48歳の主人公が異世界で12歳の少女になり、冒険者として生きるお話です
如月 雪名
如月 雪名

第311話 迷宮都市 編み物教室&『肉うどん店』の夕食会 1

公開日時: 2023年3月28日(火) 12:05
更新日時: 2023年8月16日(水) 16:08
文字数:2,152

 時間を確認すると12時を過ぎていたため『肉うどん店』に向かう。

 お店の中に入ると今日も店内は満席状態だ。


 母親達に挨拶をしてサヨさんの隣に座った。

 ダンジョン攻略を中止していた時に母親達のチョッキは編み終わったので、子供達のポンチョがあとどれくらい必要か尋ねる事にする。


「サヨさん、こんにちは。今日もありがとうございます。ポンチョの進行状況はどうですか?」


「サラさん、こんにちは。そうね、後は大サイズが10枚くらいかしら?」


「えっ? もう残り10枚で終了ですか?」


 ビックリし思わず聞き返してしまった。


「ええ、皆さん頑張って下さいましたのよ。今は、セーターを編んでる人が多いかしら?」


「わぁ~すごく編むのが早いですね! 本当に助かりました」


「全員、暇を持て余している人間ですから。良い暇潰しになりましたよ」


「そう言って頂けると嬉しいです。母親達も編み物が楽しそうなので、これからも時間があれば教えてあげて下さいね」


「分かりました。皆さんにそう伝えておくわ。サラさんは今日は何を編む予定なの?」


「私は兄と旭の分のセーターを編む心算つもりです。実はセーターを編んだ事がなくて、サヨさん教えてくれませんか?」

 

「いいわよ。じゃあ毛糸から選びましょうか」


 私はサヨさんからセーターの編み方を教わりながら最初に兄の分を編み出した。

 毛糸の色はグレーだ。


 余り複雑な模様は初心者には無理なので、シンプルな編み目の物を選択した。

 集中して編んでいると2階から子供達が降りてくる。


 おっと、3時の休憩タイムだ。

 編み物を中断して自宅で焼いたバタークッキーを皿に出す。

 母親達には紅茶を配ってもらった。


 この世界の素朴なクッキーとは違い、バターと砂糖がたっぷり入ったクッキーだ。

 貴族でも食べられないかも知れない。


 クッキーを一口かじった子供達が大興奮し大変な事になってる。

 子供達には先週購入した牛乳を温め、ハニービーの蜂蜜を入れたホットミルクを飲ませてあげた。


 迷宮都市に牛乳は売っていないから、初めて飲む飲み物だろう。

 5人全員がとろけるような顔をして両手でカップを持ち、大事そうに一口ずつ飲んでいる。


 いつかココアを飲ませてあげたいな。


 母親達にもサヨさんの知り合いの人達にも、クッキーは大好評のようでレシピを聞かれてしまった。

 砂糖とバターが必要なので、申し訳ないけど企業秘密とさせてもらったよ。


 クッキーは個包装にして人数分作っておいたのでお土産として渡す。

 ボランティア活動に参加してもらっている分、何かお礼をしたい。


 そう考えて、異世界にない甘味を用意する事にしたのだ。

 これなら老婦人達も子供達も喜ぶだろう。


 何せ、ドライフルーツが主な甘味の異世界だからね!

 今回はバタークッキーにしたけど、次回も美味しいデザートを用意しておこう。 


 その後、またセーターの続きを編んで午後5時に編み物教室は終了。

 今日は『肉うどん店』で夕食を食べる事にする。


 先週『製麺店』で食事会をしたので、母親達にも鰻の蒲焼を食べさせてあげたいのだ。

 スタミナ食だからね。


 庭で『バーベキュー台』を出して、鰻を焼き始める。

 母親達には食材を渡し切ってもらった。

 子供達が大好きなお肉もたっぷり用意してある。


 5歳児に鰻の蒲焼を食べさせても良いか分からなかったので、食べるのは母親達だけにする。

 鰻のタレにくぐらせて焼くと周囲に香ばしい匂いがただよい始めた。


「本日もお疲れ様でした。店の営業と編み物を頑張っている皆さんに、迷宮ウナギをご馳走ちそうします。子供達は、お肉を沢山食べてね。頂きます!」


「頂きます!」


 全員が食事の挨拶をすると、母親達がまず子供の分を取り皿に分けてあげている。

 焼き立てのお肉は火傷しやすいから、少し冷ましてあげているようだ。


 その後、本日のメイン料理である鰻の蒲焼を食べ出した。


「オーナー! 何ですかこれっ! 美味しすぎて止まらないんですけど!」


「迷宮ウナギって、こんなに美味しいんですか!? あ~この匂いもたまりません!」


 鰻の蒲焼の味に大絶賛してくれる。


「沢山焼いたから、遠慮しないで食べてね」


「はい。あ~幸せ~」


 そう言って、母親達は笑顔で迷宮ウナギをパクパク食べている。

 確認していなかったけど、女性にも何かしら効果はあるのかな?


 沢山食べさせちゃったけど、皆夜にもんもんとしないだろうか……。

 相手がいないから、もしそうなったら可哀想かわいそうな事になってしまうわ!

 

 私は食べても全然平気だったから気にしなかったけど、これが女性だからか若いからか異世界人と違うからなのか判断つかないんだよね~。


 まっ、大丈夫でしょう。

 アマンダさんとリリーさんが食べた後でも、クレームは入らなかったし。


 子供達も普段食べる事が出来ないミノタウロスのお肉を、焼肉のタレにつけてニコニコしながら食べていた。


 ちゃんと野菜も一緒に食べてて偉いね!

 人気の野菜は意外にもマジックキノコだった。

 他にもじゃが芋を焼いた物をよく食べている。


 味は椎茸に近いから子供達には苦手かと思っていたけど、ダンジョン産のマジックキノコはジューシーで美味しいから食べやすいみたい。


 バター醤油で食べるのも良いんだけど、それは次回のお楽しみにしておこう。

 

 お腹も一杯になった所で母親達に恋バナを振ってみるか。

 彼女達は私の娘も同然だ。


 折角せっかく店の従業員として知り合ったのだから幸せになってもらいたい。

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