【3巻発売&コミカライズ決定!】自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

48歳の主人公が異世界で12歳の少女になり、冒険者として生きるお話です
如月 雪名
如月 雪名

第584話 迷宮都市 地下15階 秘密のLv上げ16(摩天楼のダンジョン27階)&白梟便

公開日時: 2023年10月22日(日) 12:05
更新日時: 2024年2月13日(火) 00:38
文字数:2,207

 2人が治療を終えるのを待ち、テントからホームに戻り休憩する。

 そして3回目の攻略開始。

 父と再び摩天楼まてんろうダンジョン27階のテント内へ移動。

 セイさんはマジックバッグからテーブルと椅子を出し、水筒に入った温かいコーヒーを飲んでいた。


 雪が降っている階層のため、テントの外で休憩する冒険者はいない。

 テント内で、魔道調理器を出し料理しているんだろうな。

 セイさんは料理担当者ではなかったのか、魔道調理器を持っていないようだ。

 ホーム内で水筒を購入してきたらしい。


 テントから出ると、久し振りにポチが上空から降りて父の右肩に止まった。

 この賢い従魔は、ダンジョン内にいる父の居場所が分かるみたい。

 父の頬へ顔をこすり付け甘えた仕草しぐさをする。

 セイさんが突然飛んできた白ふくろうに驚き、討伐しようとしたからあわてて止めた。

 この白梟は、迷宮都市でお世話になっている人の従魔だと言うと首をかしげる。


「迷宮都市から、かなり離れていますけど……。その人は今、摩天楼の都市にいるんですか?」


「迷宮都市にいると思いますよ?」


「テイムされた従魔は、勝手に主人のもとを離れたりしません。しかもひびきさんへ、なついているように見えますが……」


「お父さんが大好きみたいなの。とっても賢い従魔だから、主人には連絡してると思う。あれ? 足首に何かくくり付けられてるみたい」


 私がポチの足首に付けられた丸筒のような物を見付けると、父が足から外し丸筒の中に入っていた羊皮紙を取り出した。

 

「あ~、ガーグ老からショートブレッドのお礼の手紙だった」


 私達が月曜~金曜は、ダンジョン内にいると知っているはずなのに?

 態々わざわざ、ポチを梟便にしたのかな?

 ポチは律儀りちぎに手紙を届けるため、摩天楼のダンジョンまで父を探し運んでくれたのだろう。

 かなり遠いお遣いになり、悪い事をしてしまったな。

 しかも昨日の今日だ。

 迷宮都市から摩天楼のダンジョンまで、馬車で1ヶ月の距離を1日も掛からず飛んでくるとは……。


 ポチをねぎい頭をでてあげると、父の肩から地面に降りる。

 そして数歩進み、こてんと転がった。

 それを2度ほど繰り返す。

 可愛い仕草しぐさだけど、これは魔力切れだと伝えているんだろう。

 以前、シルバーに魔力がなくなった時どうなるか聞いたら同じ行動をしていた。


「お父さん。ポチは、ここまでくるのに魔力をほとんど使用しちゃったみたい」


「あぁ、そうらしいな。折角せっかく、手紙を届けてくれたのに俺達が移動するのは可哀想かわいそうだ。今日は21階から27階まで上がってきたし、これ以上階層を上がるのは中止しよう」


「じゃあ、30階へいくのは明日だね。お父さんは、セイさんと一緒に27階の魔物を倒してて。私は、ポチにハイエーテルを飲ませてからガーグ老へ返事を書くよ。あっ、手紙を読ませてくれる?」


 父は羊皮紙を私に渡し、セイさんと泰雅たいがに乗り安全地帯から出ていった。

 ポチに声を掛けテント内へ入ると、ハイエーテルを出し飲ませる。

 魔物にポーションが効くなら、エーテルも効果があるだろう。

 羊皮紙には小さな文字でガーグ老から、ショートブレッドのお礼が書いてある。

 ただ父が筒から取り出した際、一瞬見えた枚数は2枚だったような?

 もう1通は、父宛ての物だったのか……。


 私は『14種類のショートブレッドを作ったから、来週渡すので楽しみにして下さいね』と書いた手紙を丸筒の中に入れた。

 ポチが心配だから、このままテント内でマッピングを使用し魔物を倒そう。

 冒険者と交戦していない魔物を探し、脳を石化させアイテムBOXに収納していく。

 父とセイさんは泰雅たいがから降り、魔物を倒してはマジックバッグに入れている。

 セイさんは新しく覚えた魔法を、積極的に使用しているみたいだ。

 父は、相変わらず剣での接近戦がメインのようだ。


 いつか魔法無効の魔物が出現するかも知れないので、父が剣術Lvを上げるのは賛成。

 しずくちゃんより、剣術Lvは上がったかな?

 多くの魔物を倒しているから、上限のLv10まで上がっている気がする。

 HP/MPは基礎値が78と高いのでLv40でも、Lv50の私より多くなっているはず

 その分、魔法の威力も高いだろう。


 ずっと3人で冒険者をしてきた。

 やはり、見た目が大人の存在は助かる。

 迷宮都市で私達に絡む冒険者はいないけど、拠点じゃない王都や摩天楼の都市では父と一緒の方が安心だしね。

 王都で誘拐されたのは例外だろう。

 何度もそんな目にわないだろうし、シルバーと一緒にいれば危険を察知してくれる。


 だから父のLvを上げ、強くなってほしいのも事実だ。

 まぁ、あまりLvに関係なく剣術の腕は相当高そうだけど……。

 ガーグ老との仕合では、まともに剣戟けんげきを交わしていたし。

 そんな事を考えながら、魔物を見付けては倒しアイテムBOXへ収納する。

 椅子に座ったまま、テント内から討伐するのは冒険者とはいえないだろうなぁ。

 楽なので、能力をフル活用するのに躊躇ためらいはない。

 外は雪が降っているからね。


 シルバーウルフのマントを羽織はおっていても、外気温に触れる顔や手は寒さを感じるのだ。

 暖かいテント内で、ぬくぬくしていたい。

 マジックテントは魔道具だから、外気温を遮断する効果もあるらしい。

 マジック寝袋と併せて寝れば、温かく眠れそう。

 とはいえ、私は遠慮したいけど。


 兄達は、いつまで従魔と一緒に寝る心算つもりなのかなぁ~。

 テイム魔法は習得出来るのだろうか?

 3時間後、少し疲れた表情をした2人がテント内に戻ってきた。

 27階の魔物を2人で討伐するのは大変だったのかしら……。

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