【3巻発売&コミカライズ決定!】自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

48歳の主人公が異世界で12歳の少女になり、冒険者として生きるお話です
如月 雪名
如月 雪名

第259話 迷宮都市 地下14階 迷宮タイガーのテイム 2

公開日時: 2023年3月2日(木) 12:02
更新日時: 2023年8月5日(土) 16:25
文字数:2,218

 魔石を取ってもらうため、先程倒したキングビー8匹を取り出して旭にお願いする。

 ハニーは自分のコロニー以外は仲間だと思っていないので、キングビーから魔石取りをしている所を見せても問題ない。


 私はその間、襲ってきたフォレストウサギをハニーと一緒に狩っていた。


 緑色の毛皮は需要があるのかなぁ?

 白色だったら、色んな色に染色出来て便利だったのに。


 マントの端に付けたいけど、緑色だとマントの色を考えないとバランスが悪い。

 2本角のフォレストウサギの上位種には、毛皮が茶色や黒色や白色の物もいるかも?


 日本ではウサギは可愛い小動物だったけど、異世界にきて最初につのウサギを見た瞬間にそのイメージは崩壊ほうかいした。


 異世界のウサギは狂暴だった……。

 そして普通に食肉として食べられている。


 寂しいと死んでしまうという、日本の可哀想かわいそうなウサギのイメージは全くない。

 実際、寂しいと死ぬ事はないんだけどね~。


 きっとこの世界の人にウサギの事を聞いたら、『肉』と即答されそうだ……。  


 旭から取り出した魔石を受け取ると、迷宮タイガーを狩りにトレントの森へ一緒に向かう。


 森の中央に発見。

 昨日の失態を踏まえて、今日は一直線に道を作り迷宮タイガーに近付いた。


 やっぱりテイムしたいなぁ。


 兄のマンションをホームに設定したら、しばらく冒険者活動を休止する予定なので移動に使える魔物が欲しい。


 たまには異世界を旅してみるのも悪くないでしょ。

 野営はマジックテントを設置して、自宅に帰ればいいだけだし。


 それは野営じゃないという言葉には、聞かない振りをしておこう。

 お風呂大好きな日本人だから、野営なんて無理です。

 

 ミリオネの子供達に、迷宮都市のダンジョンで狩った魔物肉を使ってご馳走ちそうを食べさせてあげたいし、リザードマンが持っていた武器も渡してあげたい。


 今作成中の冬用の防寒着はLvが上がるまで待っていたら時期を過ぎてしまうので、マッピングを使用して内緒で行く心算つもりだけど……。


 馬車は自動車と違って、乗り心地が非常に悪いのだ。


 それに比べて迷宮タイガーは美しい魔物だから、大変見栄みばえが良い。

 体長3mの大きな魔物だし、兄と旭の移動手段として最適だと思うんだけどなぁ。


 兄にお願いするタイミングを間違えないようにしないとね。


 取りえず、今いる迷宮タイガーは狩ってしまおう。

 また3時間もすれば出現するだろう。


 それから2時間後。

 兄が果物の収穫を終えて地下14階の安全地帯に帰ってきた。

 それをマッピングで確認し、私達2人も安全地帯に戻っていく。


 おっと、怪我人が待機していたらしい。

 兄が怪我の状態を見て水を掛け、傷口を洗い流している所だった。


 肩をフォレストウサギの角で刺されたみたいだ。

 男性だったので既に鎧は脱がされて上半身が裸になっている。


 その鍛え抜かれた体にはれとしてしまう。

 冒険者達は日頃から鍛錬たんれんおこたらないのか、いい体付きをしてる人が多い。


 それは鎧を着ていても分かるくらいに、引きまった体型をしている。

 そう言えば、太ってお腹が出ているような人は見かけた事がないかも?

 

 魔物を狩るのは肉体労働に近いから、ある程度の年齢になると引退する事も原因なのか高齢者はいない。

 迷宮都市のような大型のダンジョンにはB級冒険者が集まってくるので、年齢層は大体30代~40代。


 それでも全員が私達より年下なんだけど……。


 魔法士もMPの上限があるから、剣や槍を使えるようにしているみたいで見た目では判断出来なかった。

 唯一、治癒術師だけがちょっと華奢きゃしゃに見えるくらいだ。

 

 アマンダさんも女性で魔法士だけど、脱いだら腹筋が割れてそうな感じだしね。

 

 なんにせよ、冒険者達は私の性癖ど真ん中である事には違いない。


 筋肉フェチな私には、思いもよらないご褒美ほうびだ。

 前回は兄に目隠しをされてしまって見られなかったので、今回はじっくりおがんでおこう。


 そう思い少し近付こうとした瞬間に、旭から目隠しをされた。

 

 またですかっ!!


「あ~賢也から見せないように言われてるんで、ここから先は見ないように」


 過保護な兄の教育方針により、私だけまた見られなかったよ。


 何度も言うようだけど、私は55歳・・・のいい年した大人です!

 19歳のリーシャと違って色々経験済みなんだからね。


 治療を終えた兄が金貨16枚(1千6百万円)を受け取って帰ってきた。

 ホームの自宅に戻ってトイレ&休憩。


 3回目の攻略開始。

 兄はマンゴーの生る木を見付けに駆け出していった。

 マッピングで後を追って見てみると、躊躇ためらう事なく一直線に川方面に向かっている。


 一体どんな嗅覚きゅうかくをしているのか、うちの兄が謎過ぎる。

 魔力草と同じで、魔力を感知するセンサーでも付いているのかしら?


 兄が戻ってくるまで、旭と2人でトレント狩りをする。

 川に生息していた迷宮ウナギは午前中に旭が全滅させていたから、直ぐにマンゴーの収穫を終えて帰ってくるだろう。


 30分程して満足そうな表情の兄が戻ってきた。


 よし機嫌がよい今がチャンスだ!

  

「お兄ちゃん、マンゴー見付かった?」


「ああ、今日は川沿いにあったぞ」


 そう言って地下11階~地下14階で収穫した果物をマジックバッグから出してくれたので、アイテムBOXに入れ替える。 


 相変わらずすごい量の果物だ。


「トレントの森に迷宮タイガーがいるでしょ? マンションをホームに設定したら、異世界を旅してみたいんだよね。移動するのに丁度良い騎獣きじゅうだと思うんだけど、テイムしたら駄目かな?」


 兄は私の言葉を聞いて、一旦いったん吟味ぎんみするように眉根を寄せて少し考え込んだ。

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