【3巻発売&コミカライズ決定!】自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

48歳の主人公が異世界で12歳の少女になり、冒険者として生きるお話です
如月 雪名
如月 雪名

第691話 迷宮都市 地下15階&摩天楼のダンジョン(31階・99階) 増えた犯行&白雪姫の衣装合わせ

公開日時: 2024年2月9日(金) 12:05
更新日時: 2024年6月2日(日) 13:58
文字数:3,647

 今日から5日間またダンジョン攻略。

 地下11・・階で兄&フォレストと別れ、私達は地下15階の安全地帯でマジックテントを設置後、休憩したら攻略開始。

 アマンダさんと挨拶を交わしながら、子供達の話を併せ伝えていく。

 地下14階のハニーのもとに行き、マジックバッグの中身を入れ替えたら地下19階~21階のキングビー達からも薬草を回収。

 地下16階の果物採取後、地下7階で槍のLv上げを行う。


 かなで伯父さんには、しばらく娘のパーティーと行動を共にしてくれるようお願いした。

 ダンクさん達を襲った犯人がまだ捕まっていないし、他にもしずくちゃんを狙う冒険者がいるかも知れないからね。

 私のそばには、いつもあかねが付き添いボディーガードよろしく離れないから、兄は安心して果物採取へ向かったようだ。

 本人が単独行動しているのは、いいんだろうか?

 まぁ兄は遠距離からライトボールを使用するスタイルなので、敵は近付く事さえ無理か……。

 やり過ぎないといいけど。

 フォレストもいるし、兄に関しては心配無用かな?


 地下7階のミノタウロスに、ターンラカネリの槍を投げつける。

 槍は魔物にかすりもせず、ダンジョンの壁へ刺さり光った後に戻ってきた。

 魔物から距離を詰められ対処する前に、シルバーがアイスボールを撃ち倒してくれる。

 従魔との連携はバッチリ!

 シルバーは自分が倒した魔物を前足で押し、自分のポシェットに収納していた。


 地下7階でミノタウロスを沢山狩ったから、子供達にお肉を渡してあげよう。

 滅多に食べられない高級肉は喜ばれるだろう。

 私が槍のLv上げをしている間は、父と茜とセイさんが周辺の警戒をしてくれる。

 まだ複数の魔物相手に槍で無双出来る状態じゃないから、私が対応するのは1匹だけだ。


 おっと、オーガナイトが襲ってきたよ。

 今度は普通の槍で応戦する。

 シルバーに騎乗したまま速度に合わせ、接近した瞬間に首筋を切り払う。

 武器のお陰かオーガーナイトの首は、その一回で半分以上が切断され絶命した。

 隣で見ていた茜が手を叩きめてくれる。

 Lvが100に上がりHPも多くなったから、力も強くなっているんだろうか?

 あまり派手な動きをすると、内緒でLv上げをしたのがバレてしまうので自重じちょうしよう。


 3時間後、地下15階の安全地帯に戻る。

 冒険者ギルドでは、ダンクさん達を襲った犯人の特徴と雫ちゃんを狙った冒険者が捕まった情報が通達で壁に貼り出されており、冒険者達は対応策として2パーティーで行動しているみたいだ。

 別のクランの冒険者と組む事になっても同じ拠点の人間はそう入れ替わらないため、付き合いの長い相手がほとんどで特に問題はないらしい。

 アマンダさんパーティーは、元々地下18階を攻略していたから地下15階に同じクランのメンバーがいる。

 そのメンバーのパーティーと組んで攻略しているそうだ。


 午前中、犯人に襲われた冒険者はいないと聞きテント内からホームの実家へ戻る。

 母の作った牛丼に七味を掛け温泉卵を載せ、大根と揚げの味噌汁と一緒に食べ始めた。

 付け合わせの牛蒡ごぼうサラダがよく合うなぁ~。

 牛丼と言っても、使用しているのはミノタウロスの肉だからかなり美味しい。

 昼食を食べ終わり、お茶を飲んでまったりしていると兄から声を掛けられる。


「沙良。フォレストのスピードが上がったように感じるんだが…」


 あぁ! 従魔達のLvも上がっているのを、うっかりしてたよ!


「宝箱から出た、従魔用のアイテムを着けたから力が2倍になっているの。多分、その所為せいじゃないかな?」


 私は内心、言い訳が不審に思われないかドキドキしながら兄の様子をうかがう。


「そうか……。あの宝箱は役に立つアイテムも入っていたんだな」


 兄は私の言葉に納得したのか、それ以上追及されずほっとする。

 従魔用のアイテムが入っていて良かった~。

 午後からは、シュウゲンさんを連れ摩天楼まてんろうのダンジョン31階へ移転。

 茜と私はテント内で待機していると見せかけ、内緒で99階へ移動する。

 安全地帯から従魔達と駆け出す妹を見送り、テーブルと椅子を出し料理を作りながらマッピングで索敵した魔物を倒し、アイテムBOXに収納していく。


 99階層には誰もいないからテントを出す必要もなく、広々とした空間で料理が出来る。

 テント内だと、どうしても匂いが充満するから揚げ物は避けたい。

 この機会を利用して揚げ物の作り置きを増やしておこう。

 兄の好きなトンカツやエビフライに唐揚げを大量に揚げる。

 私達が食べる分は、サラダ油を使用しているから油の在庫を気にせずに済む。

 異世界のオリーブ油は高いんだよね~。


 戻ってきた茜と一緒に31階のテントへ移動。

 少し後にテント内へ入ってきた父の肩にはポチが止まっていた。

 毎週欠かさず会いにくるなんて、どれだけ父が好きなのかしら?

 迷宮都市ダンジョン地下15階の安全地帯へ移転すると、冒険者達がざわついている。

 アマンダさんに何かあったのか尋ねてみた。


「12人の冒険者に襲われたパーティーが出たらしいけど、待機していたギルド職員に捕まったようだよ」


 ダンクさん達を襲った犯人だろうか?


「良かったですね。襲われた冒険者に怪我はありませんか?」


「あぁ、『MAXポーション』で治療したから問題ない。だけど、この階層以外でも冒険者達が襲われる事態が起きているそうだ。荷物を運ぶクランメンバーから話を聞いた限りじゃ、地下10階だったようだね」


 知り合いの多い、地下10階のパーティーが襲われたと聞き心配になった。


「怪我人が出たんでしょうか?」


「詳しい事は分からなくて何とも言えない。地下10階の冒険者を襲った犯人は、逃げたそうだよ」


「そうですか……。他領から来た冒険者はたちが悪い人が多そうで心配です」


「人が増えると、どうしても問題が多くなる。だからと言って犯罪者を野放しにする訳にはいかないから、今後は領内の衛兵も動き出すだろう」


 迷宮都市に住んでいるのは冒険者だけじゃない。

 都市の安全を守る衛兵達もまた、忙しくなりそうだ。

 話を聞いた後テントからホームで休憩し、摩天楼のダンジョンには行かず迷宮都市ダンジョン地下10階へ移動する。

 安全地帯に怪我人の姿を見つけると、兄と旭が急いで駆け付け対応に当たった。

 その場にいた知り合いの冒険者から詳しく聞いてみよう。


「ケリーさん。襲って来た冒険者は、何人だったんですか?」


「あぁサラちゃん、心配してくれてありがとうな。連中は10人いたらしい。こっちは、12人のパーティーを組んでいたから何とか撃退出来たみたいだ」


 6人組が基本の冒険者より多い人数で襲撃しているのか……。

 今回は10人。

 この先も同じような犯罪者が出てきそうで嫌な気分になる。

 地下10階の冒険者は子供達の保護者だ。

 何かあってもいいように、『MAXポーション』を渡しておこう。


「ケリーさん。持っていない冒険者に『MAXポーション』を渡してあげて下さい。お金は使用した後でいいです」


 そう言って、何本か『MAXポーション』を出しケリーさんに預ける。

 

「いいのかい? 俺達は助かるけど……」


「私のパーティーは、治癒術師が3人いるから大丈夫ですよ」


「それじゃあ、俺が責任を持って使用した分のお金を回収しよう」


「はい、よろしくお願いします」


 兄と旭が治療し戻ってきた。

 ケリーさんへ別れを告げ、私達は再び摩天楼ダンジョン31階へ。

 3時間後、シュウゲンさんを実家に送り迷宮都市ダンジョン地下15階へ移動する。

 夕食をアマンダさんパーティーと食べ、地下10階で怪我人の治療をした事を伝えておいた。

 逃げた犯人の行方は分からないけど、見知らぬ冒険者の顔は目立つから捕まるのも時間の問題だろう。


 食後に白雪姫の衣装をアマンダさんへ渡し、それぞれの役を担当する人に試着してもらった。

 着替えを済ませたアマンダさんがテントから出てくると、可憐かれんな白雪姫のイメージに合わず笑いそうになる。

 こんな強そうな娘を、魔女役のケンさんが罠にめられるだろうか?

 アマンダさんは着ている衣装を見て、非常に嫌そうな顔をしていた。


「なんだって私の衣装は、こうも似合わない物ばかりなんだろうねぇ」


 前回のウサギの着ぐるみを思い出したのか、メンバー達がリーダーの姿を見て吹き出しそうになっている。 

 

「サラちゃん、やっぱり私は魔女役をするよ。白雪姫をやってくれないかい?」


 えっ! 突然そんな話を振られても困るんですけど!?


「あの、衣装のサイズはアマンダさんに合わせてあるから変更は……」


「おおっ、白雪姫か! うんうん、それなら娘に似合いそうだ。やってみるといい」


 何故なぜか樹おじさんが乗り気で口を出してきた。

 

「悪いが、キスシーンは許可出来ん」


 聞いていた兄が、きっぱりと重要な場面はさせないと言い切っている。

 それだと毒リンゴを吐き出せず、白雪姫が死んでしまうんじゃ?

 その前に、私はやると一言も言ってないんですけど……。


「あら、じゃあ私が白雪姫をしようかしら?」


 雫ちゃんのお母さんが立候補し、樹おじさんから駄目出しされている。

 外野が勝手に盛り上がる中、断り切れず私が白雪姫をする事になったのだった。

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