【3巻発売&コミカライズ決定!】自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

48歳の主人公が異世界で12歳の少女になり、冒険者として生きるお話です
如月 雪名
如月 雪名

第296話 迷宮都市 奏屋で新しい食材購入&華蘭に迷宮タイガーの皮を卸す

公開日時: 2023年3月20日(月) 18:05
更新日時: 2023年8月15日(火) 17:26
文字数:2,097

 昨日はあれから兄に『う巻き』を作ってほしいと言われ、だし巻きに残った蒲焼を入れて2本作り肝焼きと一緒に渡しておいた。


 2人は自宅で飲み直す心算つもりだったんだろう。

 今週は別々で寝ていたので、痴話ちわ喧嘩げんかでもしていたかもね~。


 朝食の準備が終わっても2人はまだ寝ているらしい。

 隣の部屋に起こしに行くと旭が兄の左腕を枕にして幸せそうに眠っていた。


 久し振りに一緒に寝られて良かったね。

 起こすと可哀想かわいそうなので私は静かに退散たいさんする。


 朝食用に作った豚汁&お握り(梅・鮭・おかか・昆布)合計8個、ネギ入りの卵焼き・アスパラのベーコン巻きをラップで包みメモ書きを残しておく。


 私は今日も予定が一杯なので、サクサクこなさないと。

 

 まずは奏屋かなでやへ果物を卸しに行こう。

 先週新調したワンピースに着替えて異世界に出発だ。


 奏屋かなでやの中に入ると、いつもの店員さんが応接室に案内してくれる。

 出された紅茶とクッキーを食べて一息いた頃に、店長さんが部屋に入ってきた。


 席から立ち上がり、お互いに挨拶を交わす。


「いつもお世話になってます。先週サヨさんにお願いしていたんですが、牛乳とバターは何時いつ頃入荷しますか?」


「こちらこそ、お世話になっております。母からうかがっております商品は、昨日の夜に到着しました」


「えっ? 迷宮都市から王都まで馬車で2週間程かかりますよね?」

 

 手に入るのは来週だとばかり思っていたので、思わず疑問が口に出た。


「はい通常のルートですと2週間かかりますが、馬車移動ではなく馬での特急便を使用しましたので」


「すみません、お手数をかけてしまったみたいで。特急便代は商品に上乗せして下さいね」


 荷物を全てマジックバッグに入れて移動するなら、馬車じゃなくても問題ないのか。

 冒険者ギルドの早馬のようなものだ。


 特急便は、テイムされたワイバーンでの航空便だったりするのかしら?

 異世界にきてから、まだワイバーンは見た事ないんだよね~。


 一度、見てみたいなぁ~。

 大きさがまったく想像出来ない……。

 体長10mくらいあるのかしら?


 着席し商品を持ってきてもらう。


 牛乳は、3ℓくらい入る大きな陶器の壺に入って1本銀貨5枚(5万円)。

 バターは500gが銀貨1枚(1万円)だった。


 マジックバッグでの輸送は、陶器に入っていても割れたりしないので日本より発達しているかも知れない。

 その代わり時間停止や冷蔵機能はないので、腐りやすい物は輸送出来ないけど。

  

 今回注文したのは、ミルクカウという魔物から取れた物なので1ケ月は保存が利く。

 バターも同じミルクカウから作られた物なので、2ケ月ぐらいは問題ないそうだ。


 一応品質を確かめるために、牛乳の壺を開けて中をのぞいてみる。

 やはり成分調整はされていないらしく、これなら上澄うわずみが生クリームとして使用可能だ。


「牛乳とバターを2つずつ下さい。果物を卸した値段と相殺出来ますか?」


かしこまりました。では果物はこちらのマジックバッグに入れて下さい」


 依頼されている果物を全てマジックバッグに入れ終わる頃に、2人の店員さん牛乳2本とバター2個、果物のお金を持って入ってきた。

 

 結局、店長さんから毎週ダンジョン産の果物を卸して頂いているのでと言われ、特急便の値段は引かれなかった。


 どうやらダンジョン産の果物を王都の本店に輸送するので、毎週特急便が出ているらしい。

 きっとその中に、私が依頼した牛乳とバターを入れてくれたのだろう。


 王都から迷宮都市までの特急便は、幾らだったのか分からないままだ。

 冒険者ギルドで早馬を依頼した事もないので、金額の予想が付かない。


 最低でも銀貨1枚(1万円)はしそう。


 銀貨12枚(12万円)を引かれて、金貨10枚・銀貨26枚を受け取った。

 兄が採取した果物は、本当に高値で売れるから嬉しい。


 店長さんに店の外まで送られて、丁寧ていねいに頭を下げられる。

 

 う~なんか面映おもはゆい。

 庶民の私には、このVIP待遇にどうにも慣れそうにないわ……。


 次は華蘭からんに迷宮タイガーの皮を卸しに行く。

 店の中に入ると老紳士が応接室に案内してくれた。


 女性の店員さんが、紅茶とデザートの盛り合わせを持ってきてくれる。

 出された紅茶と果物を食べて一息吐いた頃、老紳士が部屋に入ってきた。


「いつもお世話になってます。ご依頼の迷宮タイガーの皮を持参したので、状態を見てもらえますか?」


「こちらこそ大変お世話になっております。早速さっそく持ってきて頂き誠に有り難いです。では拝見はいけんさせてもらいましょう」


 私は床に大きな布を敷いて迷宮タイガーの皮を10枚置いた。


 皮を引き取ると言った時のアレクさんの悲しい表情に、冒険者ギルドの給料体系は一体どうなっているのか心配になったよ。

 

 老紳士は、迷宮タイガーの皮を1つ手に取り状態を確認している。

 脳を石化して倒しているから、傷はひとつも付いてないですよ~。


「これ程の品質の物は見るのが初めてでございます。そもそも迷宮タイガーの皮は滅多に市場に出回らない物ですから……。今回1枚を、金貨12枚でどうでしょうか?」


「はい、問題ありません。その金額でお願いします」


 冒険者ギルドの換金額と同じ値段で買い取ってもらえたので、魔石代銀貨40枚がもうかった。


 10枚で銀貨400枚(400万円)だ!

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