セイさんに聞きたい話は、まだ沢山あるけど私はそろそろ夕飯の準備をしないといけない。
父へこれからどうするか聞いた所、まだセイさんと一緒にいると言う。
ホテルの駐車場へファミリーカーを出し、1人で帰ってもらう事にした。
その際、父からベンツはないのか質問されたけど、また壊されると困るからありませんと答えておく。
兄のマンションはベンツ率が高かったけどね~。
新車になった高級車は、全てアイテムBOXへ収納済みだ。
うちのアパートの駐車場にあった車とは、0が1個違うお値段である。
時間停止のアイテムBOX内なら経年劣化もしない。
兄には大人しく助手席へ乗っていろと言われたけど、父から運転の仕方を習う心算なので、いつかアイテムBOX内の車が役に立つ日がくるだろう。
実は〇ンジローバーに乗ってみたいんだよね~。
スポーツカーには興味がないけど、兄のマンションの住人さんが持っていたから是非運転してみたい!
双子達を召喚したら、私の運転で出掛けようと思っている。
その頃には、ホーム内の移動範囲も広がっているだろう。
自宅に戻り、海鮮カレーの仕込み開始。
今回は贅沢にオマール海老を使用するので、絶対美味しい筈。
材料を一口大に切り揃え、オマール海老と帆立を白ワインで蒸し焼きにする。
あまり火を通すと身が硬くなるので、カレーは煮込まず最後に投入。
完成した海鮮カレーは鍋ごとアイテムBOXに収納する。
まだ時間があるのでナッツを使用したお菓子を作ろう。
摩天楼のダンジョンで収穫した胡桃とアーモンドを、殻から取り出し刻みオーブンでローストする。
日持ちする方がいいだろうと、今回はナッツ入りのショートブレッドを大量に焼く。
小麦粉・バター・砂糖を3:2:1で混ぜ合わせるだけの簡単レシピだ。
保存食としても美味しいから、子供達が喜ぶだろう。
夕方5時。
そろそろ実家に移動しよう。
家へ移転すると、既に全員が揃っていた。
母がサラダを準備していたから、炊きあがったご飯に海鮮カレーを掛け頂きます。
プリプリのオマール海老がゴロゴロ入っているカレーは、大好評だった。
父は、お代わりをし2皿分も食べている。
兄と旭の分は最初から大盛にしておいた。
食べている最中、お代わりされると少し面倒なんだよね~。
兄からよくオマール海老が手に入ったなと言われ、スーパーにないのを思い出す。
あ~、忘れてたぁ~。
兄のマンションの住人さんの冷蔵庫に入っていた事にし、その場をなんとか凌いだ。
タワーマンションに住んでいるなら、高級食材を購入している家もあるだろう。
蟹や帆立は大型スーパーや百貨店に置いてあるけど、オマール海老は出さない方がいいかも……。
今日は2度も兄に突っ込まれてしまった。
気を付けないと色々バレそうで怖い。
翌日、日曜日。
パーティーメンバーと異世界の家へいき、子供達の炊き出しを行う。
お土産には、バナナとショートブレッドを渡してあげた。
皆が初めて見る果物に興味津々らしく食べ方を教えたら、お昼に食べるねと嬉しそうな顔をする。
大きいので1本食べれば、お腹一杯になるかもね。
お礼を言う子供達を見送って、ガーグ老の工房へ従魔に乗り移動する。
工房に着くと、先週は不在だった長男のゼンさんがいた。
ガーグ老と家具職人のお爺さん達は、少し疲れた顔をしている。
仕事が忙しいのかな?
少しやつれた感じがするけど……。
いつも通り、ガーグ老の一声で稽古が始まった。
2時間後、稽古が終了。
お昼の準備を始めようとする所に、長男のゼンさんがやってくる。
「サラ……さん。依頼されていた屋敷の持ち主ですが、ここ数百年は王家の所有物件でした。それ以前は、ロッセル・カーランド王の第一王妃の生家であったようです。ただ、この第一王妃は第二王妃に毒を盛った罪で処刑されております」
「調べて下さりありがとうございます。壁に掛けられていた肖像画の人物は、誰か分かりますか?」
「……第二王妃です」
おっと、なにやらきな臭い展開だ。
第一王妃は第二王妃を相当恨んでいたのか……。
まぁ、毒を盛るくらいだからねぇ。
あの破損されていた肖像画は、第一王妃の仕業なのかも?
妻が複数いると、王の寵を競うようなドロドロした人間模様があるんだろう。
女は怖い……。
リーシャの母親の肖像画だと思っていたけど、第二王妃の血縁なんだろうか?
数百年前の出来事じゃ、調べるのは難しそうだ。
既にハンフリー公爵家とは縁を切っているから、これ以上の詮索はしないでおこう。
あの他国からきた留学生は、偶々あの屋敷を購入したと言っていたから無関係か。
誘拐罪が、この国でどんな処罰を受けるのか知らないけど……。
ゼンさんが何も言わずにいる所をみると、適切な処分がされたんだと思う。
私はもう一度ゼンさんにお礼を言い、昼食の準備を始めた。
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