【3巻発売&コミカライズ決定!】自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

48歳の主人公が異世界で12歳の少女になり、冒険者として生きるお話です
如月 雪名
如月 雪名

第283話 迷宮都市 地下14階 B級冒険者への昇格試験 2

公開日時: 2023年3月14日(火) 12:05
更新日時: 2023年8月14日(月) 00:38
文字数:2,553

 私はB級冒険者になる事が嬉しくて、意気揚々ようようと冒険者ギルドに入っていく。

 するとスキップ制度申請の受付をしてくれた受付嬢が、私達を見て驚きの表情を浮かべた。


 あっ、そうか……。

 普通はこんなに早く地下1階~地下10階を往復出来ないんだっけ?


 しまったな、いつも最短距離で駆け抜けてるからすっかり忘れていたわ。


 彼女は私達が戻るのは、早くて夕方だと思っていたに違いない。

 でも、ここまできたのに引き返すのはおかしいだろう。


「合格判定をもらってきました!」


「はっ、早かったですね……。じゃあ、手続きをするので少々お待ち下さい」


 2枚の羊皮紙と3人分のギルドカードを受付嬢に手渡すと、直ぐに処理をしてくれた。

 返ってきたのは鉄製ではなく、ミスリル製・・・・・のギルドカードだ!


 このカードを紛失して再発行を依頼すると、再発行手数料が金貨1枚(100万円)かかるらしい。

 絶対に失くさないよう、アイテムBOXに入れておかなくちゃね。


 ミスリル製のカードを見ると『B級 サラ 19歳』と表面に書かれている。

 裏面を見ると、今日の日付とA級昇格試験を受けられる日付が書かれていた。

 A級に上がるには、B級冒険者として10年の実績が必要になる。

 

 これもスキップ制度があるらしいけど、私達はまだ年齢が低いので受けない事にした。

 これ以上悪目立ちするのは余り良くない。


 再びダンジョンに戻って、地下11階まで駆け抜ける。

 途中地下7階で倒したガーゴイルも忘れず収納だ。

 

 兄がガーゴイルを収納している私を見て、「沙良、ガーゴイルを収納してどうするんだ?」と聞いてきた。


「この間ミリオネの子供達の家に行ってきた時設置したから、他の子供達の家の分も集めておこうと思って。防寒着を渡す時に一緒に設置してあげればいいでしょ?」


「覚えてたのか……。しかも、もうミリオネの町には設置済みとか……」


「子供達が初めて見る魔物に驚いてたよ!」


「そりゃ驚くだろうな……色々な意味で……」


 その後、兄とは地下11階で別れ旭と2人で地下14階の安全地帯に到着。

 2匹の従魔を連れて歩いているので、安全地帯にいた冒険者全員からかなり注目を浴びてしまった。


 その内見慣れると思うけど、自分も一緒に見られているようで少し落ち着かない。


 ダンクさんとアマンダさんのパーティーは、ちょうど昼食を食べているところだった。

 ダンクさんが私を見かけると直ぐに走ってきた。


「沙良ちゃん、従魔じゅうま登録したんだって? それも2匹! しかも1匹は迷宮タイガーじゃないか!」


 ダンクさんが、フォレストを見て興奮している。

 そこへアマンダさんも食事を投げ出してきた。


「この黄金色の魔物はどうしたんだい?」


ゴールデン・・・・・ウルフのシルバーと迷宮タイガーのフォレストです」


 ゴールデン・・・・・ウルフと聞いて2人は一瞬何か聞きたそうな表情をしたけど、何も言わずにいてくれた。


 冒険者は同じパーティーでもない限り、手の内を明かさない。


 危険な商売だから自分達の身の安全が第一だ。

 それには能力を隠す事が重要になってくる。


 敵対した相手に情報を知られないためにね。


「迷宮都市でテイムされた魔物を見るのは初めてだよ。少しでても大丈夫かい?」

 

 私は人懐っこいフォレストの方に、アマンダさんに背中を触らせてあげてとお願いする。

 フォレストは元気良く「ガルッ」と鳴いたので、了解してくれたんだと思う。


 アマンダさんにOKサインを出すと、彼女はゆっくりとフォレストの背中に手を当て優しく何度もでていた。


 猫好きなのかしら?

   

 2匹一緒にはマジックテント内には入らないので、テントの外で待機してねとお願いする。


 自宅に戻って昼食だ。

 兄には昇格試験を受けるので、朝お弁当を渡しておいた。


 今日のお弁当は、照り焼きチキンと厚焼き玉子が入った2種類のMIXサンドだ。

 私達はアイテムBOXに収納してある、熱々のフライドポテトも一緒に食べる。


 旭がコーラが欲しいと言うので出してあげた。

 2人は、やたら炭酸飲料を欲しがるんだけどこれは若返った所為せいかしら?


 きっと本来の57歳の体だったら、コーヒーを飲むんじゃないかな。

 私は炭酸が苦手なので、ミルクティーを飲む。


 子供の頃に、母から炭酸ばかり飲んでいると骨が溶けるわよと脅された事が怖くて、それ以来飲みたくなくなってしまった。


 照り焼きチキンサンドは、このマヨネーズと一緒になっているのがまたいいんだよね~。

 コカトリスキングの肉を使用してあるので、旨味もたっぷりジューシーな味わいです。


 きっと子供達も好きな味だろう。


 今までパンの代用品は『ナン』しか作ってこなかったけど、サヨさんが作ったみたいな『トルティーヤ』で食べてもいいかもね。


 昼食を終えてテントから出ると怪我人が待機していた。

 旭が怪我の状態を確認して、直ぐに治療をほどこす。


 最初にホーリーを掛け、次にヒールを掛けると一瞬で完了。


 キングビーの毒針に刺されて紫色にれ上がっていた太ももが元の状態に戻ると、冒険者がお礼を言って金貨16枚(1千6百万円)を支払い帰っていった。


 やっぱり、この階層は怪我人が多いなぁ。

 ポーションは売っているのに、毒消しに特化した治療薬は売ってないのかしら?


 特にキングビーの毒針に刺された時が非常に厄介だった。

 しかも集団で襲ってくるので、基本ここの冒険者は回避行動を取る事が多い。

 

 全部で8匹いるので、6人パーティーで討伐するのは難しいのだ。

 自分達より魔物の数が多いと、どうしても相手取れない2匹からの攻撃をかわす事が出来なくなる。

 

 更に毒針で刺されたら、攻略を中止して直ぐに帰還し地上で治療を受けないと刺された部分が壊死してしまうのだ。


 他に討伐対象の魔物がいないならともかく、無理をして相手をする必要はどこにもなかった。

 ただ近付き過ぎると襲ってくるので、安全地帯に逃げ込む前に襲われたら戦うしかないんだけど……。

 

 パーティーリーダーは、狩る魔物も指示を出さないといけないので大変だろう。


 私は名ばかりのリーダーなので、全くと言って良いほど苦労はしてないなぁ~。

 だって皆、単独行動してるからまとめる必要がないし、魔法で先制攻撃するから戦術? 何それ必要ですか? 状態だ。


 私のリーダーとしての役目は、2人の健康管理と何かあった時に代表で話す事くらいかな~。

 兄は相変わらず人前では話さないし、旭は男性冒険者が苦手らしい……。

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