【3巻発売&コミカライズ決定!】自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

48歳の主人公が異世界で12歳の少女になり、冒険者として生きるお話です
如月 雪名
如月 雪名

第414話 迷宮都市 地下14階 大活躍するハニーのコロニー

公開日時: 2023年5月18日(木) 20:05
更新日時: 2024年1月17日(水) 21:38
文字数:2,950

 食事が終了した後、もう一度今日のお礼を言って工房から出ていく。

 初めて槍の使い方を習えた稽古は楽しかったな~。


 槍は突くだけではなく、ぎ払いも出来る。

 それは長槍の方が向いているだろうけど、上手くなれば防御にだって使えるらしい。


 Lvが高いお陰で身体能力が上がった私にも、習得出来そうだ。

 これが、日本にいた頃なら年齢的に厳しかったかも知れない。

 48歳の体で槍術を習うのは無謀むぼうすぎる。


 36歳若返った体で良かった~。


 人気のない路地に入りホームの自宅に戻ってきた。

 沢山運動した後は、糖分が必要だろうとデザートタイムにする。


 コーヒーをれて、それぞれの食べたいケーキを聞き皿に出す。

 兄はピスタチオのケーキ、旭は定番のモンブラン、私はフルーツがたっぷり入ったミルクレープにした。


 これは以前、兄が教えてくれたホテルのケーキバイキングの物。


 時間ぎりぎりまで注文と収納を繰り返し、自宅のアイテムBOXへ登録し×365個にしておいたので、もう一生分くらいあるかも?


 毎日食べる訳じゃないし、種類も沢山あるからかなり贅沢だ。 

 『手紙の人』ありがとう!


 まぁ今度行く時、食べ放題の仕様は変更になっているかも知れないけどね~。 


「沙良、ガーグ老は明らかに統括する立場にいた人間だな。他の9人の職人達は命令に従っている雰囲気ふんいきだった」


「うん、この世界だと騎士団長? でもしていたんじゃないかな? それが、国に仕えていたのか個人に仕えていたのか判断は出来ないけどね。高齢で引退したんだと思う」


「嘘でしょっ! あれは引退したお爺さんの動きじゃないよ! 俺を教えてくれた人は、絶対今でも鍛錬してると思う。そして、ちょっと怖かった……」


 旭は完全な初心者じゃないから、指導に熱でも入ったのだろうか?

 

「お兄ちゃんの方は、どうだった?」


「俺は、本当に基礎から教えてもらったからな。別に問題はなかったぞ?」


「私の方も、優しく教えてくれたよ? 槍の持ち方が間違っていて、ちょっと恥ずかしい思いをしたけどね」


「何で、俺を指導してくれたお爺さんだけ厳しかったんだろう?」


「見込みがあると思われたんだろう。武術の心得がある分、基礎的な事より応用部分を重視したのかもな」


 そう言って兄は旭をなぐさめている。

 旭は兄に言われて納得したのか、ようやくモンブランに口を付けた。


 私は、話しながらミルクレープを完食してましたよ~。

 2個目は、夕食が食べられなくなるので止めておこう。


 午後からは、途中だった兄のセーターの続きを編む事にした。

 今から、少しずつ時間を見付けて編んでおかないと。

 

 兄達が、2匹と一緒に遊びたいというので駐車場に呼び出してあげた。

 シルバーはどうか分からないけど、フォレストは兄の体に尻尾を巻き付けて喜んでいる。


 2人が従魔を構ってくれるので、寂しい思いをする事はないだろう。

 ガーグ老の工房に行く時、2匹を連れて行っていいか聞いてみようかな?


 全員体格のよいお爺さん達だから、怖がる事はないと思う。

 ダンジョン内で連携を取るために、シルバーには槍の動きを覚えて欲しいんだよね。


 久し振りに予定のない休日の午後。

 ソファーに座って編み物をしている間に、槍の稽古で疲れていたのか眠ってしまったらしい。


 目が覚めると、外は暗く完全に夜になっていた。

 編みかけのセーターは、ソファーの前にあるローテーブルの上に置かれ兄の字で書かれたメモが隣にあった。


 『旭と一緒に飲みに行ってくるから、夕食は作らなくてもいいぞ。18:00 賢也』


 私の体に寒くないよう、毛布を掛けてくれたのは兄らしい。

 時計を見ると21時。

 

 2日続けてお昼寝? してしまったようだ。


 お腹が空いているので、アイテムBOX内にある鮭弁当を食べる事にする。

 味噌汁はインスタントでいいか……。


 少しぼ~っとした頭で夕食を食べ終え、お風呂に入ると目が覚めた。

 もう少しだけ、セーターの続きを編んでおこう。


 内緒にして渡すはずのセーターが、完全にバレてしまった事は残念だなぁ。

 大きさから、自分達の分だと気付いたわよね?



 月曜日。

 今日から5日間またダンジョン攻略。

 階段へ一直線に、地下1階から地下11・・階まで駆け抜ける。


 兄とフォレストを置いて、私と旭は再び地下11階から地下14階まで駆け抜けた。

 安全地帯に着いてマジックテントを設置後、休憩したら攻略開始。


 アマンダさん・ダンクさんと挨拶を交わしながら、子供達の話を併せ伝えていく。


 ダンクさんの家の子供が1人E級冒険者に上がった事を話すと、彼は嬉しそうに「武器と防具を買わないとな」と笑っていた。


 家が3軒もあるから、ダンクさんが面倒を見る子供の人数は多い。

 稼いでいる冒険者パーティーのリーダーだし、両親の建ててくれた家に住んでいる分、出費は少なかっただろう。


 初心者用の武器と防具をそろえるくらい、訳もないはず……よね?


 でもリリーさんと結婚するなら、新しい家が必要になるかも知れないな。

 子作りにも、迷宮ウナギを食べてはげんでいる。


 少しでも安く家を建てられるように、結婚祝いはトレントの資材をプレゼントしてあげよう。

 迷宮ウナギの追加は必要ないかしら?


 2人別々に安全地帯を出て、それぞれ午前中のダンジョン攻略を始める。

 まぁ、攻略というよりは半分遊びに近い感覚だけどね。


 13階にハニーを迎えに行ったら、増えたコロニーを見せてくれた。

 54匹もそろった状態のキラービーは、圧巻の一言。

 

 これだけの数がいるならと、少し考えていた事をハニーに聞いてみよう。


「ハニー、この子達も魔力草を見付ける事が出来るかな?」


 ハニーは、私の言葉に頭を上下に振って答えてくれる。

 おおっ、これはすごい発見だ!


「じゃあ皆で魔力草を取ってきて、このマジックバッグ3㎥に入れてくれる?」


 ハニーは首を少し傾げた後で、コロニー全体に指示を出したようだ。

 一斉にキラービーが地面から飛び立つ。


 5分程待っていると、最初の1匹が魔力草を口にして持って帰ってきた。

 皆、なんて賢いの!


 地面に置いたマジックバッグ3㎥(旭から貰った)に、キラービーが脚を触れると魔力草が消えた。

 この魔道具は、人間じゃなくても使えるらしい。


 使用者権限のついた物は無理だろうけど、普通の物なら魔物でも大丈夫みたいだ。

 最初に帰ってきたキラービーの首にマジックバッグをくくりつけ、「魔力草の他に癒し草も入れてね」とお願いしておいた。

 

 養蜂は無理だけど、これで薬草採取は任せる事が出来る。

 ダンジョン内は薬草も毎日生えてくるから採取し放題だ。

 1日で、どれだけの量が採取出来るか楽しみね! 


 意外な従魔の活用方法が見付かったので、コロニーを順調に増やしてくれたハニーをめてあげよう。

 大きなしま模様がある背中をでてあげると、2本の触角をピコピコ動かして喜んでくれた。

 

 色も随分ずいぶんクインビーに近付いてきている。 

 ピンクと黒の変わった色合いだけど、これがもう少し蛍光ピンクに変化すれば進化は終了しそうだ。

 

「ハニー、クインビーになったらコロニーのキラービーもキングビーに進化するの?」


 もうひとつ気になっていた事を確認する。

 これには、ハニーがはねを大きく震わせ同意してくれた。


 統率する1匹に合わせ、コロニーも進化するなんて本当に驚きの事実だ。

 魔物の生態は奥が深い。


 そして相変わらずテイム魔法は謎だらけであった……。

 

 『手紙の人』~!

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